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2016.4.15 全難連より「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」に関する全国難民弁護団連絡会議緊急声明」を発表しました。 「声明/提言等」ページへ
2016.3.28 全難連より「難民認定手続迅速化のための提案」および「法務省発表「平成27年における難民認定数等について」を受けてのコメント」を発表しました。 「声明/提言等」ページへ
2016.2.1 「難民認定事務取扱要領」(2015年9月15日改正版)等を会員用ページにアップしました。
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新着情報

全難連監修『難民勝訴判決20選』信山社より10月30日付けで出版されることになりました。
新着情報 出身国情報や判例のリサーチ等について、Lawyers Association for Liberty and Society (LALS)から全難連にご協力を頂けることになりました。 
 

「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」に関する全国難民弁護団連絡会議緊急声明

2016年4月15日

  本年4月8日、与党は、参議院に対し、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」(以下「本法案」という)を提出した。

全国難民弁護団連絡会議は、以下のとおり、本法案、中でも、本法案が解消すべきとする差別的言動の対象が「適法に居住するもの」に不当に制限されていることに強く反対する。

1 本法案の概要と「本邦外出身者」の意味

本法案は、「本邦外出身者」に対する不当な差別的言動が許されないことを謳い(本法案前文)、「本邦外出身者」に対する不当な差別的言動の解消等を本法案の目的であるとし(本法案第1条)、さらに「本邦外出身者」に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めるなどと基本理念を規定する(本法案第3条)。

また、本法案は、「本邦外出身者」に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を実施すること等を国及び地方公共団体の責務として定め(本法案第4条)、「本邦外出身者」に対する差別的言動の相談体制の整備(本法案第5条)、「本邦出身者」に対する差別的言動を解消するための「教育の充実」(本法案第6条)、「本邦外出身者」に対する差別的言動の解消等の啓発活動(本法案第7条)を規定する。

しかしながら、本法案の全ての条文に規定される「本邦外出身者」は、「本邦の域外にある国又は地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの」と定義されている(本法案第2条)。

このように、解消されるべき差別的言動の対象を適法に居住する者に限定することは、以下のとおり容認されえない。

2 本法案と人種差別撤廃条約との関係

言うまでもなく、人種差別的言動はその対象者が適法に居住していなくても容認されるべきでないのであって、居住状況によって解消されるべき差別的言動か否かを区別すべきでないことは明らかである。

実際、日本は人種差別撤廃条約の締約国であるところ、人種差別撤廃条約委員会は、「在留資格(immigration status)を問わず、人種差別に対する法律上の保障が市民でない者に及ぶことを確保する」よう[1]求めている(人種差別撤廃委員会一般的勧告第30第7段落)[2]。ここに在留資格のない外国人が含まれていることは自明である。

また,同委員会は、2013年には、人種差別撤廃条約第1条で「人種差別」の定義として、「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づく」ものであるとし、人種差別は「第1条が認める集団を対象にしたものである。第1条は、人種、皮膚の色、世系または民族的もしくは種族的出身に基づく差別を禁止しているので、たとえば、先住民族、世系に基づく集団、ならびに、移住者または市民でない者の集団が対象となる。移住者または市民でない者の集団には、移住家事労働者、難民および庇護申請者が含まれる(一般的勧告35第6段落)[3]とし、人種差別撤廃条約上の人種差別からの保護の対象に庇護申請者が含まれていることを確認している。

さらに、人種差別撤廃委員会は,「第7回・第8回・第9回政府報告に関する人種差別撤廃委員会の最終見解」において,「締約国に人種差別的ヘイトスピーチやヘイトクライムから保護する必要のある社会的弱者の権利を擁護する重要性を喚起する。それゆえ,委員会は,締約国に以下の適切な措置をとるよう勧告する」とし,その中で,「(a) 憎悪及び人種差別の表明,デモ・集会における人種差別的暴力及び憎悪の扇動にしっかりと対処すること。…(d) ヘイトスピーチを広めたり,憎悪を扇動した公人や政治家に対して適切な制裁措置をとることを追求すること」等を勧告している。

人種差別撤廃条約の締約国は,かかる委員会の勧告にしたがい,難民申請者を含む在留資格のない外国人も含めた差別の撤廃に向けた義務を尽くすべきである。しかるに,本法案は,委員会の勧告を適切に履行しないばかりか、難民申請者らを含む在留資格のない外国人が差別的言動に曝されることを助長するものとなりかねず、人種差別撤廃条約の本来の趣旨及び目的に反する。仮にこの法案が成立すれば,委員会から法律の廃止,或いは適法居住要件の撤廃を求められることは目に見えている。そのような法律案を成立させるべきではない。

3 本法案が難民に及ぼしうる影響

難民申請者は、多くの場合、迫害から逃れ、我が国にときに正規の手続を経ずに入国し、さらに在留資格を有さないことも多い[4]。また、その在留資格なき外国人を親として本邦で生まれた子どもに対しても在留資格が与えられることはほとんどない。こうした在留資格を有さない難民申請者やその子どもたちは「本邦外出身者」に含まれず、本法案の適用対象とされていない。特に、近時の世界的な難民危機の中で,難民に向けられた外国人嫌悪の差別的言動・ヘイトスピーチが広がり、庇護制度の弱体化、難民に対する暴力・排除の圧力が強まることが懸念されている中、本法案は、迫害を逃れてきた者であっても、在留資格がなければ差別的言動が容認されるとの印象を与えかねない。UNHCR は人種差別や外国人嫌悪に対する戦略的アプローチが必要であるとして「すべての個人を人種差別及び様々な形態の差別から保護する法的義務の理解」と「ヘイトクライムの現象と難民保護への影響の評価」等を求めている[5]、本法案はかかる日本の人権諸条約の加盟国としての法的義務を理解していないことも露呈しており、難民保護の観点から極めて憂慮すべきものである[6]

4 結語

以上のとおり、その対象を「適法に在留する者」に限定する本法案は、難民申請者を含む在留資格なき外国人に対する差別的言動は本法案が規定する差別的言動に「あたらない」として、かえってかかる差別的言動を助長促進するおそれすらあり、社会に広く悪辣な差別的言動を蔓延させる結果となりかねない。

以上の次第であるから、全国難民弁護団連絡会議は、本法案、中でも、本法案が解消すべきとする差別的言動の対象が「適法に居住するもの」に不当に制限されていることに強く反対する。上記適法居住要件から外れる者に対する人種差別的言動が助長するおそれがある以上、上記要件は速やかに削除されるべきであり、万一削除がなされない場合には、その廃案を求める。

以上


[1] 原文:Ensure that legislative guarantees against racial discrimination apply to non-citizens regardless of their immigration status, and that the implementation of legislation does not have a discriminatory effect on non-citizens

[2] 人種差別撤廃委員会第65会期(200485)採択

[3] CERD/C/GC/35 人種差別撤廃委員会第83会期(2013812-30)採択

[4] 難民申請者らが合法的に我が国に在留することができる「仮滞在許可」制度があるが、同許可を受けている者は少数であり、かつ、仮滞在許可は「在留資格」ではないとされるため、本法案にいう「適法な居住」に含まれるか不明である。

[5] UN High Commissioner for Refugees (UNHCR), Combating Racism, Racial Discrimination, Xenophobia and Related Intolerance through a Strategic Approach, December 2009

[6] 「第7回・第8回・第9回政府報告に関する人種差別撤廃委員会の最終見解」23項では、日本における「難民及び庇護希望者」(内容的には無国籍者も含まれている)への人種差別に対して懸念が表明されている。

本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案(参議院ウェブ)
本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案要綱(参議院ウェブ)
 

難民認定手続迅速化のための提案

 

2016年3月28日

全国難民弁護団連絡会議

 

 

提案の骨子

1 難民認定申請手続(一次申請)については、その判断権限を事実の調査を担当する難民調査官に持たせること。

2 異議申立手続については、難民審査参与員が単独で担当できるようにした上、その判断権限を担当する難民審査参与員に持たせること。

 

提案の理由

1 現状:審査期間の長期化

  報道によれば、認定の可否の結果を待っている人の数が、昨年6月末段階で1万人を超えている。審査にかかる平均処理期間は、難民認定申請は四半期平均で7.3~8.5カ月(2015年)、異議申立てでは29.1カ月(2015年上半期)である。

 

2 判断権限移譲の必要性

(1)審理の長期化に対する法務省の改善案

法務省が主張するとおり、これほど審査期間が長期化している一因は申請者数の急増にあるものと思われる。そして、かかる事態に対応する者として、現在、法務省は、新たな運用を導入して、主として法務省の視点からすると難民該当性がないと思われるものの審理の迅速化を図っているようである。

(2)上記改善案では難民の迅速な保護につながらないこと

   しかしながら、本来、難民を正しく難民として保護するという難民条約締約国として果たすべき役割からすれば、より深刻なのは、難民として保護されるべきものが極めて長期間不安定な地位にさらされているということである。実際、法務省が新たな運用を導入する以前から、難民として認められる者は、難民として認められない者よりも審査期間が倍近くかかっている。すなわち、2014年に処理した異議申立てのうち、難民認定申請から異議申立の処理までに要した期間の平均は約37ケ月であるのに対し、異議申立に理由があるとして難民認定をしたものの難民認定申請から認定までに要した期間の平均は約69.7ケ月であり、認定者は申請者全体または不認定者にかかる期間のおよそ倍の期間がかかっている(第189回国会・質問第233号参議院議員石場知道弘議員の質問主意書に対する答弁書)。この事実は、難民である者を難民でないと誤って認定することよりも、難民でないものを難民として認定することをおそれ、難民該当性があると思われる者に対する調査がより慎重になされていることを示すものと言え、難民認定に消極的な法務省の姿勢を端的に示している。

   実務上、難民認定者について見ると、難民認定申請及び異議申立手続のいずれも、申請者に対するインタビューが行われてから結果が出されるまで、極めて長い期間がかかっている。そして、この傾向は、認定者において顕著であり、申請者に対するインタビューから結果の告知まで、難民認定申請及び異議申立手続いずれも1年またはそれ以上かかることが珍しくない。

   この点につき、法務省は、新しい難民認定要領の中で、難民条約上の難民である可能性が高い案件,又は,本国が内戦状況にあることにより人道上の配慮を要する案件については、優先的に事実の調査を実施するとしているが、それでは問題は解決しない。認定者につき、結果までに長い期間がかかっている主な原因は、調査や審尋を直接担当する難民調査官や難民審査参与員の手を離れてから、地方入国管理局長や法務省入国管理局において当該事案についての審査がなされ、特に法務省入国管理局における審査に時間がかかっていることにあるからである。

(4)特に異議申立手続きについて

異議申立手続においても、同様に、担当する難民審査参与員が判断を有する仕組みとするべきである。

   1の現状で述べたとおり、審査の長期化は、特に異議申立段階において顕著であり、早急の改善が求められるところ、現在の3人1組の審理体制を単独で審理できる体制に改めれば、少なくとも現在の3倍のスピードで審理をすることが可能である。また、難民審査参与員も、本来、難民条約についての十分な知識を有することを前提としているべきであり、その前提が満たされる限りは難民審査参与員が判断するにあたっても支障はないものと考えられることは、難民調査官の場合と同様である。

(5)適正な難民認定手続きの観点からも直接主義が要請されること

  本来、難民認定の手続の要請の一つとして、直接主義がある。証拠の乏しい難民認定の手続においては、申請者の供述が重要な意味を有し、その信ぴょう性を正確に判断するためには、申請者に釈明の機会を与え、直接にその供述を聞いたものが判断することが重要であると考えられ、多くの難民認定を行ういわゆる欧米諸国においては、この直接主義が取り入れられている。しかるに、日本においては、案件が法務省入国管理局に送られた後、誰がどのように判断しているかも全く不明である。正確な条約解釈が求められ、本来透明であるべき難民認定が、このような不透明な手続きにより行われているということも全く異常であるというほかなく、このことが不正確な難民認定の主要な原因の一つであると考えられる。

(6)小括

  以上からすれば、難民認定手続及び異議申立手続きいずれにおいても、その調査や審尋を担当した者が直接判断を下せるようになることが、現在の審査の長期化の抜本的改善という観点に加え、正確な難民認定という観点からも、早急に求められていることが明らかである。

 

3 具体的方策

 難民調査官や難民審査参与員が判断権を有するための方策としては、端的に権限を委譲することが透明性の観点からも最も望ましい。

しかしながら、完全な権限委譲がすぐには難しいということであれば、既に先例がある法務大臣からの権限の委任という方策も考えられる。

すなわち、平成13年の出入国管理及び難民認定法改正により、法務大臣は、一部を除き、出入国管理及び難民認定法に規定する法務大臣の権限を各地方入国管理局長に委任することができることとなった(出入国管理及び難民認定法69条の2)。これは、「入国管理局における業務量の増加にかんがみ、事務処理の合理化を図る」ために導入されたものである(平成13年11月16日衆議院法務委員会における森山真弓法務大臣の説明)。これにより、法務省が、高度な政治的判断が求められると説明してきた在留特別許可に関する権限も各地方入国管理局長に委任されることになった。

 他方、今回問題になっている難民認定は、難民条約という条約の解釈に関する問題であり、高度な政治的判断等は不要であり、むしろ、政治的判断等は介入すべきでなく、より権限の委任は容易であると考えられる。そして、難民調査官は、難民認定の事務を司る職員であることからすれば、当然に難民条約につき十分な知識を有することを前提とするべきであり、その前提が満たされる限りは直接主義を取り入れるにあたって実際上の不都合は存しないものと考えられる。

 

4 まとめ

  以上のとおり、難民として認められるべき者を迅速に正しく認定するという観点から考えたとき、現在の、法務省の改善案では、真の難民の迅速な保護につながらないことは明らかである。

  全国難民弁護団連絡会議は、2002年11月、包括的な難民関連制度改革のための提言を発表しており、その内容のほとんどがいまだ実現していないことについては失望を禁じ得ないが、昨今の状況に鑑み、改めて、直接主義の導入だけでも早急になされることを求めるものである。

以上

  

 

法務省発表「平成27年における難民認定数等について」を受けてのコメント

 

全国難民弁護団連絡会議

2016329

 

法務省入国管理局の発表によれば、2015年の年間の難民認定申請数が初めて7千人を超えた。一方で、難民認定者数は一次と異議を合わせて前年(11人)比で16人増となったものの、なお合計が僅か27人にとどまっている。また、人道配慮による在留許可数は79人であり、2年連続で減少した。難民認定者数と合わせた庇護数は106人となったが、これも2年連続の減少であり、前年(121人)比では15人減であった。

 

1 難民不認定率99パーセントの異常事態

難民不認定率(不認定数÷(難民認定数+不認定数))が、一次においては5年連続で、異議においては3年連続で99%を越えた。日本の一部メディアでは就労目的などの制度の「濫用」や「不正」に焦点を当てた報道がされている一方、グローバル・メディアや各国のメディアは、「不認定率99%」を表題として挙げ、批判や皮肉を交えて報道している[1]

また、申請者の出身国別でみると、トルコ出身者については、1982年の難民認定制度発足から前年までと同様に、2015年についても認定例はなかった。2015年はサハラ以南のアフリカ諸国出身者の認定数が5人であったが、エチオピア出身の3人以外の2人は、裁判で勝訴確定後の認定であった。近年国内情勢が悪化して日本でも申請数が増加したナイジェリアやマリなどの西アフリカ諸国出身者についても、これまでに認定例は報告されていない。また、2015年、ミャンマーが2002年以来で初めて認定者の出身国1位ではなくなったが、衝突が続く少数民族地域の出身者でさえも認定がされなくなっている。

現状からは、難民審査機関である法務省入国管理局が「不認定機関」であるとの批判は免れない。難民認定を審査する者は、申請のいわゆる「濫用」・「誤用」などを制限することをいたずらに強調するのではなく、真に「保護」を前提としたマインドセットに基づく仕組みを実現することが求められる。

 

2 審査手続きの長期化‐申請から認定までに7年超のケースも

2015年前半の難民審査待ちの件数が1万人に達したことが2月に報道されたが[2]、滞留案件数は2015年後半期にさらに増加した。法務省入国管理局の発表から計算すると、2015年末時点での未済案件数は、一次と異議を合わせて前年(9295人)比で4,533人(約50パーセント)増となり、13828人が一次または異議の審査手続中であった。

全難連は、現在までのところ、2015年の難民認定者27人のうち13人(12件)について把握している。法務省が一次で認定したとする19人のうち、少なくとも2人は、難民不認定取消訴訟での難民の勝訴確定後の認定であった。一人はコンゴ民主共和国出身の男性で、もう一人はウガンダ出身の男性であり、前者は初の難民義務付け訴訟での勝訴事案であった。コンゴ男性は2008年、ウガンダ男性は2009年にそれぞれ難民認定申請をし、申請から難民認定を受けるまでにそれぞれ7[3]6年かかり、その間収容または仮放免という不安定な状況にあった。

訴訟まで行かない場合でも、特に認定事案について、手続きが長期化する傾向がみられた。一次で難民認定された東アフリカ出身者の事案は、申請から認定告知までに2年強かかっていた。異議での難民認定事案は、一次申請から異議での認定告知まで、ネパール事案で約4年半、バングラデシュ事案では約6年、東アフリカ出身者の事案で約7年半の期間がかかったなど、手続きの長期化が続いていることがうかがえる[4]

難民は、その性質から、申請時に正規滞在か非正規滞在かによって区別されるべきではなく、裁判を含めた難民審査期間中の生活保障の充実化が求められる。その一方で、誤った審査機関の判断が迫害国への送還といった取り返しのつかない結果を招くおそれがある難民認定手続の特殊性を考慮し、適正手続を確保しつつ、早期の保護の実現に向けて制度改善をしていくべきである。

 

3 過度に厳しい難民認定基準

全難連は、難民該当性の評価において出身国情報の分析を重視する傾向(特に、申請者本人に迫害経験がない事例6、事例7など)を歓迎する一方で、法務省が依然として難民認定基準について極めて狭い(又は誤った)解釈を採用し、保護されるべき難民が適切に保護されていない状況があることを懸念している。現場で支援している者の実感としては、適正な難民認定基準で評価すれば数百人レベルで難民認定があってしかるべきであり、難民条約の趣旨と目的に沿った難民法解釈の適正化と運用がなされていくべきである。

[了]

《問い合せ先》

全国難民弁護団連絡会議事務局

160-0004 東京都新宿区四谷1-18-6 四谷プラザビル4

いずみ橋法律事務所内

電話:03-5312-4826 Fax03-5312-4543

Eメール:jlnr@izumibashi-law.net

URLhttp://www.jlnr.jp/



[1] 例えば、ロイター通信(英語)、AFP通信(フランス語)、EFE(スペイン語)、RT(ロシア語)、Al Jazeera(アラビア語)などのグローバル・メディアのほか、ABC放送(豪州)、RTBF(ベルギー)、Die Welt(ドイツ)、Metronieuws(オランダ)、La Vanguardia(スペイン)、L’Express(フランス)、G1 Globo(ブラジル)、United News of India(インド)、中国日報(中国)、Burunei Times(ブルネイ)、Agência Angola Press(アンゴラ)、L’Expression(アルジェリア)などで報道された。

[2] 「難民審査待ち1万人超 出稼ぎ目的の申請急増」東京新聞(2016219日)、http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021902000256.html;「難民審査待ち、1万人超え最多に 申請が急増 15年6月末」共同通信(掲載)(2016219日)、http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11H1W_R10C16A2000000/

[3] 「<日本の難民1>「イモトに元気づけられた」 難民認定まで「7年」コンゴ人男性の苦悩」弁護士ドットコム(2016118日)、https://www.bengo4.com/kokusai/n_4178/

[4] 2014年に処理した異議申立ての一次申請から異議の処分までに要した期間について、平均は約37ヶ月であるのに対し、認定案件については約69.7ヶ月と、不認定案件の倍の期間がかかっていることが明らかにされた。(第189回国会、質問第233号参議院議員石橋通宏議員の質問主意書に対する答弁書)。

資料1 難民認定数等の推移資料2 出身国別の申請・認定数資料3 海外メディアの報道
法務省発表「平成27年における難民認定数等について」 法務省入国管理局(2016年3月26日)
 
全難連監修『難民勝訴判決20選―行政判断と司法判断の比較分析』の出版について
 
この度、全難連監修の『難民勝訴判決20選―行政判断と司法判断の比較分析』が信山社より10月30日付けで出版されることになりました。
本書は、難民審査参与員制度導入後に異議棄却された事案のうち、その後の裁判で不認定処分が取消し又は無効確認された事案20件(ミャンマー16件、エチオピア、スリランカ、ウガンダ、アンゴラ各1件)について、行政判断と司法判断を比較分析したものです。
 
比較分析においては、出身国情報の分析、信憑性の判断、主な不認定・異議棄却理由の考察、全体的・総合的な評価などの視点から、司法判断では考慮されたが行政判断では考慮されなかったものについて分析をすすめています。
 
もちろん、司法の判断が万全であるということはできませんが、司法判断で示された水準とその内容が実践されることによっても,現在の難民認定行政の運用にかなりの変容が遂げられ得ると私たちは考えています。
 
本書の作成にあたっては、収録事案の難民本人や代理人弁護士はいうまでもなく、国連難民高等弁務官事務所や難民支援NGOの方々などたくさんの方々からご助力をいただきました。
 
難民認定審査に関わる難民調査官や難民審査参与員の方々、難民事件に関わる裁判官、弁護士やロースクール生、さらには難民問題に日々取り組まれている支援者の方々にも読んでいただき、本書が、日本の難民認定の質的向上と専門性を導くための一助になることを願っています。
 
全国難民弁護団連絡会議
代表 弁護士 渡邉彰悟(編集代表)

http://www.shinzansha.co.jp/book/b211027.html(信山社ウェブ)
 
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《書籍の紹介》
全難連監修『難民勝訴判決20選―行政判断と司法判断の比較分析』信山社、2015年
 
渡辺彰悟・大橋毅・関聡介・児玉晃一編『日本における難民訴訟の発展と現在」現代人文社、2010年 
 
 
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