国会質疑等(2025年5月9日)上村英明議員(れいわ・衆)質問主意書への政府回答[難民保護費]

難民認定申請者の保護に関する質問主意書(外部リンク:衆議院ウェブ

提出者:上村英明議員(れいわ新選組)
番号:第217回国会 質問162号
提出日:2025年4月23日
答弁書受領日:2025年5月9日

合体版(質問&答弁)[PDF・257KB]

質問&回答テキスト 

難民認定申請者の保護に関する質問主意書&答弁書

 難民認定申請者の中には、命からがら本国から逃れてきたために資産などを有しておらず、日本での生活に困窮し、難民認定申請の審査結果を待っている間に、更に生活状況が悪化してしまう者もいる。そのような場合を想定して、政府において、いわゆる難民認定申請者保護事業が行われている。しかし、当該事業による保護費(以下「保護費」という。)の受給者数は、年間200から600人台で推移しており、日本における難民認定申請者数が1万人を超える昨今、生活に困窮する難民認定申請者に対する保護の目的を達成することができていないと考える。難民認定申請者が野宿を経験する状況も報道されている。そこで、保護事業の拡充に向けて、以下質問する。

一 所管省庁について
 本年4月より、難民認定申請者保護事業の所管が外務省から出入国在留管理庁に移管されたものと承知している。難民認定事務と難民認定申請者保護事業を同一の省庁が担うことで、生活に困窮する難民認定申請者の存在を政府がいち早く認識し、速やかに保護事業の対象とすることが期待される。

1 難民認定申請者保護事業の所管の移管理由を示されたい。

一の1について
 「難民認定申請者への支援について」(平成16年7月8日難民対策連絡調整会議決定)における「難民認定申請者に対する保護措置」(以下「保護措置」という。)については、従来、難民認定申請者(出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第61条の2第1項の難民の認定の申請をした者をいう。以下同じ。)の保護については外務省が実施し、他方、補完的保護対象者認定申請者(同条第二項の補完的保護対象者の認定の申請をした者をいう。以下同じ。)の保護については出入国在留管理庁が実施してきたところ、これらの一貫性及び効率性の確保を目的として、令和7年度から、同省が実施してきた保護措置についても、同庁が実施することとしたものである。

2 政府答弁書(内閣参質213第184号)によると、2023年度において、保護事業の委託先である公益財団法人アジア福祉教育財団難民事業本部(以下「RHQ」という。)が保護措置の申請を受け付けてから保護措置を開始して差し支えない旨の結果通知を外務省から受けるまでの期間の平均は、約61日とされている。所持金のない難民認定申請者もいる中で、このような待機期間が発生していることは誠に遺憾である。出入国在留管理庁への移管によって、当該期間は短縮されるべきと考えるが、その見込みはあるのか、政府の見解を示されたい。

一の2について
 保護措置の実施に当たっては、難民認定申請者のうち保護措置の申請を行ったものの居所を含む生活条件の調査を行った上で総合的に判断しているところ、御指摘の「保護措置の申請を受け付けてから保護措置を開始して差し支えない旨の結果通知」を受けるまでの期間は、当該申請の数やその増減の程度等の外的要因に左右されるため、お尋ねの「見込み」について予断をもってお答えすることは差し控えたい。その上で、保護を必要とする者に対しできるだけ速やかに援助を行うことができるよう努めてまいりたい。

3 RHQのウェブサイトにおいて「難民認定申請者に対する支援(案内)」と題する文書が掲載されている。地方出入国在留管理局において、難民認定申請を行った者に対して当該文書を配付しているのか。そうでないのであれば配付すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

一の3について
 御指摘の「難民認定申請者に対する支援(案内)」については、地方出入国在留管理局及び地方出入国在留管理局支局において、申請者の求めに応じて提供している。

二 2025年度の保護費予算について
 2025年2月6日の衆議院予算委員会での難民関係業務の予算額に関する私の質問に対して、法務大臣より「令和7年度の政府予算案、難民及び補完的保護対象者の認定申請者に対する救援業務及び難民及び補完的保護対象者に対する定住支援業務等、合わせて全体で約12.7億円ということでございます」との答弁があった。

1 2025年度の難民認定申請者に対する救援業務の予算額を示されたい。
2 2025年度の補完的保護対象者認定申請者に対する救援業務の予算額を示されたい。

二の1及び2について
 お尋ねの「2025年度の難民認定申請者に対する救援業務の予算額」及び「2025年度の補完的保護対象者認定申請者に対する救援業務の予算額」については、個別にお示しすることは困難であるが、合わせて約7億900万円である。

3 2025年度の難民に対する定住支援業務の予算額を示されたい。
4 2025年度の補完的保護対象者に対する定住支援業務の予算額を示されたい。

二の3及び4について
 お尋ねの「2025年度の難民に対する定住支援業務の予算額」及び「2025年度の補完的保護対象者に対する定住支援業務の予算額」については、個別にお示しすることは困難であるが、合わせて約5億5,600万円である。

三 難民認定申請者保護事業委託先との契約に基づく額について
 政府答弁書(内閣参質213第125号)によると、2024年度における難民認定申請者に対する保護費の予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額のうち、①「難民認定申請者に対する保護費」が約2億5,900万円、②「難民認定申請者緊急宿泊施設の提供にかかる」ものが約1,100万円とされている。

1 2025年度における難民認定申請者に対する保護費の予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額のうち、前記①及び②に相当する額をそれぞれ示されたい。
2 2024年度補正予算における難民認定申請者に対する保護費の予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額のうち、前記①及び②に相当する額をそれぞれ示されたい。
3 2023年度当初予算及び補正予算における難民認定申請者に対する保護費の予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額のうち、前記①及び②に相当する額をそれぞれ示されたい。

三について
 令和5年度から令和7年度までの各年度における保護措置は、いずれも公益財団法人アジア福祉教育財団(以下「委託先」という。)に委託して実施する事業であり、御指摘の答弁書(令和6年5月17日内閣参質213第125号)一の1及び3についてでは、御指摘の「①「難民認定申請者に対する保護費」」及び「②「難民認定申請者緊急宿泊施設の提供にかかる」もの」について、各年度における委託先との契約に係る金額をお答えしたものであるところ、お尋ねの「2025年度における・・・前記①及び②に相当する額」、「2024年度補正予算における・・・前記①及び②に相当する額」及び「2023年度当初予算及び補正予算における・・・前記①及び②に相当する額」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和7年度における委託先との契約に係る「難民認定申請者に対する保護費」及び「難民認定申請者緊急宿泊施設の提供にかかる」経費については、難民認定申請者の保護に係るものと補完的保護対象者認定申請者の保護に係るものを個別にお示しすることは困難であるものの、その合計額は、それぞれ、約4億100万円及び約5,000万円である。また、令和6年度における委託先との契約に係る「難民認定申請者に対する保護費」は約3億8,200万円であり、「難民認定申請者緊急宿泊施設の提供にかかる」経費は約1,100万円である。さらに、令和5年度における委託先との契約に係る「難民認定申請者に対する保護費」は約3億2,700万円であり、「難民認定申請者緊急宿泊施設の提供にかかる」経費は約5,000万円である。

四 住居支援について
 1982年7月の難民行政監察結果に基づく勧告において、当時の行政管理庁は「我が国に庇護を求めてきた外国人が難民として認定されるまで又は第三国に出国するまでの間、衣食住(特に住居)に欠け、保護を要する場合について、生活援護を行うための体制は整備されておらず、また、予算措置も講ぜられていない状況にある」と指摘し、援護体制の整備を求めた。それを受けて開始したのが、現在の難民認定申請者保護事業である。しかし、当時の行政管理庁が指摘した難民認定申請者に対する住居支援の欠如は、現在においても深刻な課題であると考える。

1 2024年度末時点での難民認定申請者緊急宿泊施設の利用者数について政府の把握するところを示されたい。

四の1について
 お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

2 難民認定申請中の者のうち、住居に欠ける者の存在を政府において把握しているか。
3 難民認定申請中の者のうち、住居に欠ける者はすべて保護措置の対象者に該当すると考えるが、政府の見解を示されたい。

四の2及び3について
 お尋ねの「難民認定申請中の者のうち、住居に欠ける者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、保護措置の実施については、限られた予算の中で保護を必要とする者に対する援助を確保する必要があることから、難民認定申請者のうち保護措置の申請を行ったものの居所を含む生活条件の調査を行った上で総合的に判断している。当該調査の結果、当面の居所を自力で確保できない者を把握した場合は、その者に対し難民認定申請者緊急宿泊施設を提供するなどの保護措置を実施している。

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