更新情報 
2016.10.11 会員専用ページに難民認定事務取扱要領(2016年3月31日版)、ほかをアップしました。
2016.10.5 全難連より申入書(名古屋高裁判決をうけての難民認定実務の向上について)を発表しました。  「声明/提言等」ページへ
2016.913 会員専用ページの「判決」を更新しました。
2016.9.5 全難連より難民審査参与員の問題行動に係る抗議声明を発表しました。  「声明/提言等」ページへ
2016.8.18 全難連および名古屋難民支援室より「ウガンダ人女性に係る迅速な難民認定及び在留資格の付与を求める申入れ」を発表しました。  「声明/提言等」ページへ
2016.8.1 会員専用ページの入国者収容所等視察に関する要領等を更新しました。
2016.7.13 会員専用ページの出身国情報を更新しました。
2016.7.6 会員専用ページに論点別判例まとめをアップしました。
2016.7.6 会員専用ページの難民異議申立/審査請求手続を更新しました。
2016.5.12 会員専用ページの「迫害主体」を更新しました。
 
注目情報: 全難連監修『難民勝訴判決20選』信山社より10月30日付けで出版されることになりました。
注目情報: 出身国情報や判例のリサーチ等について、Lawyers Association for Liberty and Society (LALS)から全難連にご協力を頂けることになりました。 
 

2016年10月5日

申入書

法務大臣 金田勝年 殿

法務省入国管理局審判課 課長 君塚 宏 殿

法務省入国管理局総務課難民認定室 室長 福原申子 殿

 

全国難民弁護団連絡会議

代表 弁護士 渡辺彰悟

 

申入れの趣旨

近時出された2件の高裁判決につき、本申入れと共に、難民調査官や難民審査参与員に配るなどして周知に務められたい。

 

申入れの理由

平成28年7月13日、及び同月29日、名古屋高等裁判所のそれぞれ4部と3部において、難民不認定取消等請求事件につき、原告の請求を棄却した原判決をいずれも取り消し、難民不認定処分等を取り消した判決が出された。

両判決の判示には、以下に示すとおり、いずれも難民該当性の審理にあたって大変重要な事項が含まれている。7月13日判決においては、参与員の審理のあり方について直接的な言及もある。

したがって、法務省入国管理局におかれては、これらの判決を、本申入れと共に、難民調査官及び難民審査参与員に対して周知し、少なすぎると批判される日本の難民認定実務の向上に務められたい。

 

1 平成28年7月13日判決(ネパールのマオイストによる迫害を理由とする難民申請の事案。なお、平成28年9月7日にも、同高裁において、同種事案につき同種の判決がなされている。)

立証責任(判決5~6頁)、信憑性(10~12頁)、難民審査参与員の審理のあり方(12~13頁)、及び迫害の主体(14~15頁)について、UNHCR作成の難民認定基準ハンドブックなどにも言及し、以下のとおり判示している。

① 立証責任について

「立証責任は原則として申請人の側にあるけれども、関連するすべての事実を確認し評価する義務は申請人と審査官の間で分かちあうことになる」「証拠の要件は、難民の地位の認定を申請する者のよってたつ特殊な状況に起因する困難さに鑑み、あまり厳格に適用されなければならない」などと記載されたガイドブックを引用し、「処分行政庁(法務大臣)も、締約国として、迫害のおそれのある者を、みだりに送還してはならないのであって、難民認定手続を難民を保護するために実効性があるものとして、公正に行うべきことが求められている」とした。

② 信憑性について

主要な部分の一貫性を重視し、食い違いがあるようにみられるところについても、質問の仕方や、通訳の仕方、まとめ方によって異なり得るものであることを念頭に判断すべきであるとし、また、文書の信用性がただちに供述全体の信憑性に結びつくものでなく、また、その作成事情を検討したうえで信用性を判断すべきである旨判示した。

③ 難民審査参与員の審理のあり方について

「私たちは、ネパールの件を何件も担当していますが、この種のことは極めて一般的ですし、さらに言えば、これまで経験したケースと比べると、被害の度合いは極めて低い」との参与員の発言は、本件難民認定申請の理由とされている事実程度では、難民認定はしないとの意見を有しており、このような立場から法務大臣に対する意見を述べるのではないかとの危惧を生じさせるものであるとし、「当該事案の事実についての審査官の結論及び申請人についての審査官の個人的印象が人間の命に影響するような決定をもたらすことになるのであるから、審査官は正義と理解の精神で基準を適用しなければならず、申請人は『保護に値しない事案』であるかもしれないといった個人的な考慮によってその判断が影響されるようなことがあってはならない。」との難民認定ハンドブックの記載を引用して、難民審査参与員がこのような発言をすることは、法務大臣の難民の認定に関する処分について疑義が生じかねず、難民条約締約国の難民認定し関する姿勢として到底望ましいものではないとした。

④ 迫害の主体について

「政府が迫害を放置乃至助長している場合のほか、迫害の主体が公然かつ広範囲に迫害行為を繰り返し、政府がこれを制止し得ず、制止し得る確実な見込みもない場合も含まれる」とした。

 

2 平成28年7月29日判決(ウガンダ出身の女性の政治的活動を理由とする難民申請の事案)(ネパールのマオイストによる迫害を理由とする難民申請の事案)

信憑性(判決19乃至23頁)、迫害を受ける理由があるという十分に理由のある恐怖(23乃至25頁)の判断において、以下のように判示した。

① 信憑性

一貫していないようにも見える供述につき、母国語でない言語による長時間にわたる聞き取りの結果であることから、聞き間違いや言い間違いが生じ、不正確な内容が混入することは十分にあり得、また、控訴人の供述の理解によっては齟齬がないと理解する余地もあるなどとし、一般情勢との矛盾などもないことから、変遷や不一致を重視するのは相当ではないとした。

② 迫害を受ける理由があるという十分に理由のある恐怖の判断

「控訴人がウガンダ政府から、FDCの指導的立場にある者として個別的に危険視され、迫害すべき特定の対象として認識されていたとまでは認め難い。」としつつ、その出身国の状況から、「指導的立場になくとも、控訴人のように、FDC党員として実質的な活動をし、集会に参加して積極的な発言をしたり、動員役員としてFDC支援を募る優位な活動をしたりしていれば、ウガンダ政府から迫害を受ける恐れはあると認められる。」として、我が国の難民認定実務にはびこる、個別把握論及びリーダー論を明確に排斥し、難民該当性を肯定した。

 

3 その他

いずれも、正規旅券や合法出国の事実、申請の遅延は、それぞれの事案において難民該当性を妨げないとしている。

以上

(別添)

名古屋高等裁判所民事第4部 平成28年7月13日判決

名古屋高等裁判所民事第3部 平成28年7月29日判決

 

抗 議 声 明

 

全国難民弁護団連絡会議(以下当会議という)は、A難民審査参与員(以下、「A参与員」という)及びB難民審査参与員(以下、「B参与員」という)による難民審査参与員としての適性を完全に欠いた看過し難い言動に対して、以下のとおり抗議する。法務大臣において、事実関係を調査の上、A参与員及びB参与員について解任を含めた適正な措置を取るとともに、当会議に対して調査の結果及び措置の内容を回答するよう求める。

 

第1 事実関係

1 A参与員は、申請者に対し、「あなたは難民ではない。」、「あなたは難民としては元気過ぎる。本当の難民はもっと力が無い。」「もっと弱い人が大変な人が大勢いる。あなたならミャンマーに帰っても元気にやっていける。」「あなたの話は全く信用出来ない。」などと述べた。

2 A参与員は、「特定の社会的集団の構成員」に家族や家系が含まれるとの申請者の主張について、「そんなことはありえない。迫害理由に出自と明記されている条約があるのを貴方は知っているのか。知らないんでしょう。」、「アフリカ難民条約には『出自』と明記されている。難民条約にはそのような文言がないのだから、ごっちゃにしちゃだめでしょう。法律家なんだから。」と述べた。

3 A参与員とB参与員の両氏は、申請者が提出した資料を読んでいなかった。

4 上記3にも関わらず、B参与員は、「次の人が待っている。何回も同じこと言わないでいい。本人も代理人も意見書に書いてあることと同じことを言っているだけだ。次の人の審尋を受ける権利の侵害になりますよ。」と発言するなどし、速やかに手続きを完了させるように申立人及び代理人に圧力をかけた。

5 B参与員は、手続き途中、2回以上にわたって自己の携帯電話を取り出して、何らかの操作を行い、手続きに集中していなかった。

 

第2 問題点

1 難民条約(法)の知識の欠如

難民認定は、難民該当性の要件に申請者の個別事情を当てはめて確認する行為であり、当然のことながら難民該当性の要件を含む難民法の知識を有していることが前提となる。

しかしながら、A参与員は、明らかに難民法の知識を欠いている。

A参与員は、「特定の社会的集団の構成員」について、家族や家系が含まれることがありえないとの見解を明らかにした。しかし、別紙報告書に記載の通り、裁判例や難民条約解説書には、特定の社会的集団の構成員」について家族や家系が含まれる旨の解釈が示されているのであり、A参与員の「ありえない」との断定は難民法の理解を誤ったものである。また、OAU難民条約には、迫害の理由として「出自」との記載はない。さらには、難民該当性の要件に「元気でないこと」という新たな要件を独自に加えており、これらのことからA参与員が難民法の知見に欠けていることが明らかである。

2 入管法違反

入管法61条の2の10第2項は、「難民審査参与員は、人格が高潔であって、前条第一項の審査請求に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は国際情勢に関する学識経験を有する者のうちから、法務大臣が任命する。」と規定している。

しかしながら、A参与員及びB参与員は、上記のうちもっとも枢要な点である「難民不認定処分についての審査請求に関して公正な判断をする」という点において、難民審査参与員として重大な適格性の問題を抱えている。

すなわち、A参与員は、本国から逃げ出して異国で必死に生きる難民申請者に対して、「あなたは難民としては元気過ぎる」「あなたならミャンマーに帰っても元気にやっていける」などと難民の要件に関係しない言辞をもって侮辱し、その人間の尊厳を冒した。

また、申請者が提出した重要な資料を事前に確認することを怠っていた。

さらに、前記1の通り、A参与員は難民法の解釈において現在の到達点を認識しないままに審理に臨んでいたものであり,的確に難民を難民として判断する前提を欠いていたということにならざるを得ない。

B参与員においても、上記A参与員による難民申請者に対する上記侮辱的発言を止めることもないばかりか、当該発言を異議を述べていた弁護士の発言を遮り、発言を終えるように圧力をかけるというような誤った応対をしており、さらに審理中に携帯を操作する等審理に集中しておらず、A参与員と同様の問題を抱えている。

                                 

第3 結論

今般の手続きにおいて,日本での庇護を期待する申請者が感じた絶望ははかりしれない。

全国難民弁護団連絡会議は、上記の審尋手続きそのものに対して強く抗議する。A参与員及びB参与員の審尋での上記応対については,難民認定を公正になすべき難民審査参与員としてのふさわしくないものと断じざるを得ない。

法務大臣において、事実関係を調査の上、A参与員及びB参与員について解任を含めた適正な措置を取るとともに、当会議に対して調査の結果及び措置の内容を回答するよう求める。

この事態が改善されないようであれば、今後、当会議に属する弁護士が代理人を努める事案では、B参与員およびA参与員による審尋については、忌避することも検討せざるを得ない。

 

別紙:小川隆太郎弁護士「報告書」(2016年7月11日)

 

2016年9月5日

 
全難連監修『難民勝訴判決20選―行政判断と司法判断の比較分析』の出版について
 
この度、全難連監修の『難民勝訴判決20選―行政判断と司法判断の比較分析』が信山社より10月30日付けで出版されることになりました。
本書は、難民審査参与員制度導入後に異議棄却された事案のうち、その後の裁判で不認定処分が取消し又は無効確認された事案20件(ミャンマー16件、エチオピア、スリランカ、ウガンダ、アンゴラ各1件)について、行政判断と司法判断を比較分析したものです。
 
比較分析においては、出身国情報の分析、信憑性の判断、主な不認定・異議棄却理由の考察、全体的・総合的な評価などの視点から、司法判断では考慮されたが行政判断では考慮されなかったものについて分析をすすめています。
 
もちろん、司法の判断が万全であるということはできませんが、司法判断で示された水準とその内容が実践されることによっても,現在の難民認定行政の運用にかなりの変容が遂げられ得ると私たちは考えています。
 
本書の作成にあたっては、収録事案の難民本人や代理人弁護士はいうまでもなく、国連難民高等弁務官事務所や難民支援NGOの方々などたくさんの方々からご助力をいただきました。
 
難民認定審査に関わる難民調査官や難民審査参与員の方々、難民事件に関わる裁判官、弁護士やロースクール生、さらには難民問題に日々取り組まれている支援者の方々にも読んでいただき、本書が、日本の難民認定の質的向上と専門性を導くための一助になることを願っています。
 
全国難民弁護団連絡会議
代表 弁護士 渡邉彰悟(編集代表)

http://www.shinzansha.co.jp/book/b211027.html(信山社ウェブ)
 
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全難連監修『難民勝訴判決20選―行政判断と司法判断の比較分析』信山社、2015年
 
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