声明・提言等(2023年10月10日)全難連より「 パブリックコメント(出入国管理及び難民認定法施行令の改正案等について) 」を提出しました

パブリックコメント(出入国管理及び難民認定法施行令の改正案等について)[PDF・156KB]

日付:2023年10月10日

団体:全国難民弁護団連絡会議

<意見全文> 

パブリックコメント(出入国管理及び難民認定法施行令の改正案等について)

1 一時庇護の上陸許可の申告書及び難民・補完的保護申請書について、上記の観点から検討されるべきであり、以下の修正を求めます。

(1)全体

庇護を求める意思を早期に確認するという観点から、申告書や申請書自体は簡易なものとし、詳しい内容を後日提出させる運用とすることが適切です。

個人の経験を、表形式で回答させること自体、困難を伴うので、表形式を改めるべきだと思います。

(2)   一時庇護上陸許可の申告書(規則別記第26号の2様式)

・その2 1-1で、5つの理由から本人に選択させること自体、困難を伴います。「わからない場合は、あなたが近いと思うものを選択してください。複数選択しても構いません」などの説明を記載すべきではないでしょうか。

・その2 1-2は、申請者としては、何を書くことが求められているのかわかりにくく、また、補完的保護の定義からしても、削除が適切と考えます。

・その2 1-1の直後に、3の質問をして、1-1の選択理由を具体的に書けるようにした方がいいのではないでしょうか。2が先にあると、質問が分断されてしまい、わかりにくいと思います。

・その2 2の質問が、迫害の定義を狭く捉えることを前提としており、不適切と考えます。「逮捕、拘留、拘禁その他身体の拘束を受け又は有罪の判決を受けたことがありますか」という質問の他に、「これ以外に、重大な人権侵害や差別を受けたことがありますか」という質問も設けるべきです。

・その2 4、5「敵対する組織」「敵対する政治的意見」は、用語が不適切であると考えます。

・その2 1、3、6は「迫害を受ける」「いかなる事態が生じますか」は、迫害の確実的発生を前提とするまたはそれを求めるものであり、定義と合致しません。「迫害を受けるおそれがあると考える」「いかなる事態が生じる可能性がありますか」などに修正されるべきです。

(3)規則別記第74号様式(難民・補完的保護対象者認定申請書)

  ・1-1で、5つの理由から本人に選択させること自体、困難を伴います。「わからない場合は、あなたが近いと思うものを選択してください。複数選択しても構いません」などの説明を記載すべきではないでしょうか。

・1-2は、申請者としては、何を書くことが求められているのかわかりにくく、また、補完的保護の定義からしても、削除が適切と考えます。

・4、5の質問が、迫害の定義を狭く捉えることを前提としており、不適切と考えます。「逮捕、拘留、拘禁その他身体の拘束を受け又は有罪の判決を受けたことがありますか」という質問の他に、「これ以外に、重大な人権侵害や差別を受けたことがありますか」という質問も設けるべきです。

・6,7の「敵対する組織」「敵対する政治的意見」は、用語が不適切であると考えます。

・1及び3は「迫害を受ける」「いかなる事態が生じますか」は、迫害の確実的発生を前提とするまたはそれを求めるものであり、定義と合致しません。「迫害を受けるおそれがあると考える」「いかなる事態が生じる可能性がありますか」などに修正されるべきです。

・15(生活費用),16(親族送金)は難民該当性判断と直接関係しない事項であり、削除すべきであると考えます。

(4)規則別記第74号の2(難民・補完的保護対象者認定申請書(再申請用))

  ・2の質問は、入管に記録があるため、不要と考えます。

・全体として、再申請に個別の「新たな迫害事情」が必要であるかのような構成・質問内容になっており、これは迫害が現実に起きたこと(迫害経験)を意味していると思われます。しかし、迫害が現に起きたことは、難民の要件ではなく、不適切です。現実の迫害経験以外にも、再申請の理由はありえます。なぜ再申請を行うかについて、自由に記述する欄を設けるべきであると考えます。

・「新たな迫害事情」に関し、申請者が何を新たな迫害事情と考えているかを先に記述する欄を設けるべきであると考えます。用語も「迫害事情」ではなく、「迫害を受けると思う理由」などにすべきです。この欄がないままに、入管庁は、本人または詳細を書くことを求められるために、適切な返答が困難です。

・個別の新たな迫害経験がなくとも、本国情勢に大きな変化があったことが再申請の理由である場合もありますので、本国情勢に関する質問は、「新たな迫害事情」の内容の中でなく、独立した項目とするのが適切であると考えます。

・5(6)「いかなる事態が生じますか」は、迫害の確実的発生を求めるものであり、定義と合致しません。「いかなる事態が生じる可能性がありますか」などに修正されるべきです。

・4の質問は、難民とは別の質問ですので、5より後に記載すべきと考えます。

2 難民・補完的保護の申請書の実際の運用にあたり、以下の改善を求めます。

(1)全ての項目について完全に記入できない限り受理しないという運用(“補正を指導”などの理由による返戻も、実質的には不受理です)は違法ですので、直ちにやめてください。

(2)現在の運用上、読み書きができない場合を除いて、本人の直筆以外の記入や印字による記入は認められていません。しかしながら、以前は日本語での記入も認められており、何らの法的根拠もなく、この運用を変え、印字や本人の直筆以外の記入を認めないとしている現在の運用は適切ではありません。他の入管手続と同様、署名を自筆ですることで足りるとすべきです。また、代理人弁護士による記入、提出についても当然受理するべきです。

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