法相会見(2025年3月18日)改正入管法の送還停止効の例外規定

法務大臣閣議後記者会見の概要 令和7年3月18日(火)(外部リンク:法務省ウェブ

改正入管法の送還停止効の例外規定に関する質疑について

【記者】
 出入国在留管理庁は14日、難民認定申請中は強制送還できない規定を見直し、3回目以降の申請者を送還できるようにした改正入管法が施行された2024年6月10日以降、24年中にこの規定を適用して17人を強制送還したと発表しました。入管庁は慎重に実施した結果と説明していますけれども、この規定を適用し得る対象者が何人いたのか、そういう分母がわからないと、なかなか評価も難しいのではないかと思われます。17人という結果の受け止めと、把握し得るこの規定の対象の全体像について教えてください。

【大臣】
 お尋ねの令和5年改正入管法の規定を適用し得る対象者の人数につきましては、大変申し訳ございませんが、公表を前提とした統計を作成していないために、正確な数をお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
 また、公表した運用状況については、令和5年改正入管法の施行から約7か月間の数字ということであり、上下するということもありますので、分析評価をするには、期間が短いということで、更に今後の状況を確認していく必要があると認識しています。
 もっとも、退去強制が確定した外国人は、速やかに我が国から退去させることが原則であるにもかかわらず、従来の入管法においては、難民認定申請を繰り返すことで送還を忌避する者については、送還することができなかったということがありました。
 この点、令和5年の改正入管法の施行によって、3回目以降の難民認定申請を行った者は、難民として認定を行うべき相当の理由がある資料の提出があった場合を除き、我が国からの送還が可能となりました。
 引き続き、保護すべき者を迅速かつ確実に保護した上で、退去強制が確定した者については、改正入管法の規定を適切に運用して迅速に送還を実施してまいりたいと考えています。

【記者】
 今の質問に関連して、埼玉県川口市では、クルド人が難民申請を5回却下された状態で、20年以上日本に滞在している事例もありますが、この状況をどのように受け止めていらっしゃるか。また、今後の対策や対応についても御検討されていることがあれば教えてください。

【大臣】
 お尋ねについては、個別の案件を前提としたものということでお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で、一般論として申し上げれば、退去強制が確定した外国人は、速やかに我が国から退去することが原則です。送還の実施に当たっては、被退去強制者ごとに退去のための計画を策定することとなっています。この計画の策定の際に、送還することができない事情がある場合は、その状況を把握するとともに、その事情が解消した後、速やかに、あるいはそのような事情がない者には、速やかに、旅券の有無や健康状態の把握、送還便の確保や、関係機関との調整など実務的な準備を行い、順次、送還を実施しているところです。
 なお、改正入管法が施行された後の難民等認定申請が3回目以降であれば、送還停止効の例外になり得るものの、施行前の難民等認定申請は、経過措置により、手続が終わるまで一律に送還することができないという事情は、御理解いただきたいと思います。
 引き続き、保護すべき者を迅速かつ確実に保護した上で、退去強制が確定した者については、改正入管法の規定を適切に運用して、迅速に送還を実施してまいりたいと考えています。
 先ほど、難民申請を5回却下された状況で20年以上も日本に滞在しているとおっしゃっていましたけれども、もしそういった事例があれば、これは極めて不適切ですので、遺憾であると考えています。

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