法務大臣閣議後記者会見の概要 令和7年7月8日(火)(外部リンク:法務省ウェブ)
外国人の受入れの在り方に関する質疑について
【記者】 政府はですね、訪日外国人や在留外国人をめぐる問題に対応を強化するためにですね、司令塔となる事務局組織を来週にも新設する方針です。こうした司令塔組織の必要性や期待することについて大臣のお考えを伺います。 またですね、今回の参院選では、外国人の政策に関して与野党がですね、こぞって政策を打ち出している状況でして、一つの争点になっています。中には日本人ファーストというものを掲げる政党もある状況です。大臣これまで私的勉強会も実施されてきたかと思いますが、日本として外国人の受入れにどのような姿勢で臨むべきかお考えをお願いします。 【大臣】 今御指摘がありました司令塔組織について、まずその点を申し上げますが、本日の閣僚懇談会において、石破総理から、来週の初めに内閣官房に外国人施策の司令塔となる事務局組織を設置するとの方針が示されたところです。 我が国の成長型経済への移行、これを確実なものにするためには、海外活力の取り込みが不可欠ですが、他方で一部の外国人による犯罪や迷惑行為、各種制度の不適切な利用など、国民の皆様方が不安を感じている、そういった状況も生じています。 そうした中で、ルールを守らない方々への厳格な対応や、あるいはこうした状況に対応するための制度・施策の見直しが必要です。こうしたことを踏まえ、来週の初めに、先ほどの繰り返しとなりますが、内閣官房に外国人政策の司令塔となる事務局組織を設置し、この司令塔を中心に外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた様々な施策を総合的に推進するとの方針が総理から示されるとともに、関係閣僚において一層の御協力をお願いしますと、そういった協力を求める旨の指示があったところです。 私どもとしても、これまで法務省として、今年の5月に公表した「国民への安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」に基づいて、ルールを守らない外国人を速やかに我が国から退去させるための対応策を実施してきています。 また、先ほど御指摘もありましたが、今年の2月からは法務大臣の下で、有識者の皆様方をお招きして、外国人の受入れに関して、中長期的な観点から検討すべき課題についての勉強会を行っています。 各種在留資格についても、様々な要件の適正化に向けた検討を行っているところです。 総理におかれましても、こうした状況を踏まえて、この課題における政府の取組状況の発信をするとともに、具体的な取組の加速に向けて、関係閣僚の一層の協力を求めるべく、閣僚懇談会での発言をされたものと承知しています。まさにこれは政府として、あるいは法務省として、当然のことながら、日本の経済を考えれば、彼らの活動の取り込みは極めて大事ですが、同時に国民の皆様方の安全・安心をしっかりと守っていくことも極めて重要です。これは当然の前提であると考えています。 そのために、私どもとして万全を期すために、こうした様々な取組をこれまでも進めていく中で、出入国在留管理適正化の取組を進めていますが、今回、総理の指示も踏まえながら、そうしたところに引き続き万全を尽くしてまいりたいと考えています。 【記者】 関連で伺います。今ルールを守らない外国人への言及もありましたけれども、参院選の街頭演説などではより過激な形で外国人を一括りにして、犯罪と結びつけるような主張も聞かれて、排外主義の高まりが懸念されています。 法務省としては、出入国在留管理とともに人権擁護も所管されているわけですけれども、こういった今現在の状況について、その双方を所管する大臣として、お考えをお聞かせください。 【大臣】 繰り返し申し上げていますが、ルールを守らない外国人が不法に滞在をしている、そういった外国人の方々については、しっかりと日本から退去いただく、これは当然のことではないかと思っています。 ただ、同時に私どもとしても、外国人との秩序ある共生社会、これは極めて重要だと思っており、そうした中で、排外主義といったようなことには当然なってはならないと考えています。まさにそうしたメリハリをきちんとつけた形での出入国管理・在留管理行政を行っていく、そうしたことに私どもとしては尽きると考えています。 【記者】 関連してなんですけれども、大臣、結構その「ルールを守らない外国人」というワードを使われると思うんですけれども、大臣がおっしゃる「ルールを守らない外国人」っていうのは、例えばどういったことを指しているのか教えてもらえますか。 【大臣】 まず、在留資格という意味で、まさに不法滞在と言われるような状況になっていることも、一つ当然あろうかと思います。あるいは、当然のことながら、日本は法治国家ですので、様々な法令に反する行為を行うことが、そうしたルールを守らないということに該当すると、私としては考えています。 【記者】 基本的にはルールとおっしゃっていますけれども、法律を守らないという理解でいいのでしょうか。 【大臣】 当然のことながら、法令ということもあります。どうしてもこれは、ルールを守らないという定義は若干微妙なところもあるかと思いますが、共生社会ということを考えたときに、日本社会との共生ということは外国人において、あるいは日本社会においても、共生を行っていくためのいろいろな取組や啓発等に我々も取り組んでいますが、そうしたことを通じて共生を図っていくことも、もう一つの面としてはあります。 ただ、ルールを守らない外国人にこの国から退去いただくという意味においては当然のことながら、これは法令ということになろうかと思います。 【記者】 先ほどルールを守らない外国人について御説明いただいたんですけれども、様々な事情から非正規滞在の状況になっていらっしゃる方たちと、刑法犯とかですね、犯罪を犯した人たちっていうのを一括りにはできないところがあると思います。 そうしたものをルールを守らない外国人っていう形で、一括りにしてですね、政府が発信することによって、外国人がルールを守っていないというイメージを広げることに繋がる懸念もあるのではないかと思うんですけれども、それは政府の発信の仕方が、先ほど大臣があってはならないとおっしゃったその排外主義をですね、広げるようなことに繋がってはいけないと思うんですけれども、その点については、その発信の仕方に問題がないかどうか、そこは大臣どうお考えでしょうか。 【大臣】 当然のことながら、私どもとしても、そうした排外主義ということ、これはあってはならないことですので、適切な発信を行ってきていると考えていますし、そういった意味での誤解が広がっているような状況ではないと私としては考えています。政府の発信によってそういった誤解を招いている状況ではないと考えています。 【記者】 今、盛んにおっしゃっている、そのルールを守らない外国人への対応という発信の仕方には問題はないという、今の認識だという理解でよろしかったでしょうか。 【大臣】 ルールを守らない外国人の方がいる。これは事実でありますので、そうしたことを事実として申し上げることに問題はないと考えています。