法相会見(2023年6月30日)難民審査参与員等

法務大臣閣議後記者会見の概要 令和5年6月30日(金)(外部リンク:法務省ウェブ



難民審査参与員等に関する質疑について 

【記者】
 難民審査参与員に関しましての質問です。参議院の法務委員会で、先日、参考人として招致された浅川晃広氏、彼の共著として「ザ・在日特権」といったものがあります。こうした本で述べられている在日特権という言葉は、現実には存在しないものをあたかも存在するかのように語り、在日コリアンへの差別、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムを助長させるものですが、こうした言葉を用いることの危険性について、法務省の見解をお聞かせください。また、こうした本に共著者として名を連ねる人物が、難民審査参与員として難民審査に関わることは不適切かと思われますがいかがでしょうか。「お答えできない。」「お答えは差し控える。」ではなく、はっきりとした見解をお聞かせください。

【大臣】
 まず、御指摘の著書における筆者の意図について、私はこうだああだというふうに、法務大臣として申し述べることは適当ではないと思います。
 その上で、御質問の中でありました、「在日特権」という言葉を用いることの危険性につきましては、それが差別的な意図によるものということであるならば、それは一般論として私は適当ではないというふうに思います。
 いずれにしても、特定の民族や国籍の人々を排除しようとする不当な差別的言動は、あってはならないと認識しております。
 それから、参与員の選任についてお話がありました。参与員は、入管法の規定にのっとりまして、人格、公正な判断をすることができる、かつ、法律又は国際情勢に関する学識経験を有する者のうちから任命することになっています。
 具体的には、日弁連やUNHCR等からの推薦を受けるなどしつつ、事実認定の経験豊富な法曹実務家、地域情勢や国際問題に明るい元外交官や国連関係機関勤務経験者、国際法、外国法、行政法の分野の法律専門家等の中から選任していまして、御指摘の浅川参考人につきましては、こういう基準に照らして、在オーストラリア日本国大使館での駐在経験や名古屋大学・大学院国際開発研究科講師としての勤務経験があるなど、国際情勢に関する学識経験を有する者として、先ほど申し上げたような考えに合致する者として、適切に選任されたものと認識しています。

【記者】
 在日特権という言葉を使う方であっても、人格は高潔であると判断された意味ということでしょうか。

【大臣】
 先ほど申し上げたとおりです。

【記者】
 参与員を、制度の完全な見直しは必要ないということですけれど、彼女の過多な配分ですね、全国111人もいるのに、2022年全体の4分の1を振り分けておりました。これが入管庁の判断です。こういったことはやはりおかしいのではないか。配分について見直すおつもりはありますか。

【大臣】
 まず、それぞれの委員の先生方のお仕事の関係で、どれだけ時間を投入できるかという問題もありますので、したがって、率が高いから低いからということではなくて、柳瀬さんが判断された結果がちゃんと適正なのかどうかということが、私は大事ではないかと思っております。そういう意味では、私どもは今まで、私も随分中身をチェックさせてもらいましたけれども、先ほど申し上げたような結論に私は至っているということであります。

【記者】
 今の関連ですけれども、国際人権法の御専門でベテランの参与員の先生、具体的に言うと阿部浩己先生ですけれども、難民調査というのは、書類審査だけでは分からないことが多いし、インタビューを参与員自身の過去の経歴ではなく、やはり専門的なケーススタディが具体的に必要だというふうに常々おっしゃっています。そういったことで、5月30日にも、現役の難民(審査)参与員の方とか、それから2014年の専門部会で専門員だった弁護士さんが記者会見をして、現行難民審査の在り方とか参与員制度の問題点について詳細な報告をされました。このような方々との定期的な意見交換、柳瀬さんとかのそういったケースも含めてですが、そういった意見交換の場がやはり必要ではないかと思いますけれど、大臣の考えを聞かせてください。

【大臣】
 「意見交換の場」というものの私の受け止めが正しいかどうか分からないところがありますけれども、適切な難民認定手続を行うに当たって必要な情報につきましては、難民認定業務に従事する職員や難民審査参与員に対しては共有するという方針でやっています。
 今回成立しました改正入管法の審議の過程では、参議院におきまして、申請者に質問をする際の手続の透明性・公平性を高める措置を検討し、十分配慮すること等を含む附帯決議がなされておりますので、その趣旨を踏まえて、難民認定手続の更なる適正化、御指摘のようなことも含めて、不断に取り組むとともに、真に保護すべき者を、私は一層確実、迅速に保護できるように努力していきたいというふうに考えているところです。

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