声明・提言等(2021年2月26日)全難連を含む3団体より緊急共同要請を出しました。

「入管収容施設における新型コロナウイルス集団感染に対する緊急共同要請」[PDF]

日付:2021年2月26日

発出者:全国難民弁護団連絡会議、入管問題調査会、全件収容主義と闘う弁護士の会 ハマースミスの誓い

受信者:出入国在留管理庁

入管収容施設における新型コロナウイルス集団感染に対する緊急共同要請

内閣総理大臣 菅義偉殿
法務大臣 上川陽子殿
出入国在留管理庁長官 佐々木聖子殿

2021年2月26日

全国難民弁護団連絡会議
入管問題調査会
全件収容主義と闘う弁護士の会 ハマースミスの誓い

 2021年2月19日、22日、25日付け出入国在留管理庁「東京出入国在留管理局収容施設における新型コロナウイルス感染の状況」の発表を受けて、私たちは入管収容施設に今も収容されている外国籍の方々、入管職員、さらには日本社会に暮らすすべての人々の生命と健康のために、以下の要請をします。

要請の趣旨

1 現在、東京出入国在留管理局を含む全ての入管収容施設で収容されている人について、新型コロナウイルスの陰性が確認された場合は、全て解放してください。

2 現在、入管収容施設に収容されている人について、新型コロナウイルスの陽性が確認された場合は、収容施設外と同等の医療水準を保障すると共に、解放して外部医療の受診、療養ができるようにしてください。

3 被収容者の外部交通権を保障し、特に新型コロナウイルスに関する情報を共有するため、被収容者と家族・関係者の接触を断つことなく、電話やインターネットで双方向に連絡が取れるようにしてください。

要請の理由

 私たちは、昨年4月20日に発表した緊急共同要請において、収容施設内での新型コロナウイルスの感染拡大の危険性を訴え、日本国内に受入れ先のある被収容者を直ちに解放するよう求めました。入管においては昨年、仮放免の運用によって、従前よりも多くの人を釈放し、被収容者の人数を大幅に減らしましたが、一定数の人々については収容されたままとなりました。その結果、今月25日の出入国在留管理庁の発表によると、前日24日までに東京出入国在留管理局の被収容者55人、職員6人が新型コロナウイルスに感染し、うち2人が入院したことに加え、頭痛、喉の痛み、嗅覚・味覚症状を訴える者が16人、38度台の発熱がある者が1人、37度台の発熱がある者が11人という、大規模な集団感染が発生し、さらに拡大しつつあります。当時、約130人が収容されていたため、被収容者の約40%が感染、男子ブロックにおいては約半数が感染したということになり、これは極めて深刻な事態と言わざるを得ません。

 折しも今冬、刑務所や拘置所などの刑事施設において集団感染が報じられていたところで、その現実的な危険性が認識されていたことからすれば、入管においては、全ての被収容者を解放するべきでした。新型コロナウイルスに感染する可能性があるのは誰しも同じであり、誰を解放して誰を収容するかという扱いに差別があってはなりません。私たちは、入管において収容し続けた人たちを新型コロナウイルスに感染させてしまったこと、そして今も感染する高いリスクに晒し続けていることについて強く抗議します。また、他の入管収容施設においても同様の問題が起こりうることは、もはや時間の問題と考えます。私たちは改めて、東京出入国在留管理局を含む全ての入管収容施設で収容されている人について、新型コロナウイルスの陰性が確認された場合は、生命及び健康を守るため、全て解放することを求めると共に、新型コロナウイルスの陽性が確認された場合は、収容施設外と同等の医療水準を保障すると共に、解放して外部医療の受診、療養ができるよう求めます。

 さらに、現時点において弁護士等を除き、家族等の外部面会を中止していることから、収容場内の感染対策や生活状況について、情報を共有できないという問題が生じています。被収容者には外部交通権が保障されなければならず、現時点の集団感染という状況においては一層の保障が必要です。外部から被収容者への電話や、インターネットを用いての通信を可能にしたり、被収容者に対して一定の無料電話の提供をすべきです。

 被収容者、入管職員、日本社会に暮らすすべての人々の生命と健康を新型コロナウイルスの脅威から守り、人間らしい生活ができるよう、上記事項について要請します。

 本書面到達後直ちにご対応いただきたく、対応結果について速やかにご回答いただきたけますようお願いいたします。

以上


参考:2020年6月3日付け3団体「申入書」、2020年5月15日付け3団体「申入書」2020年4月24日付け3団体「申入書」

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