発言者:矢倉克夫議員(公明党)
日付:2025年3月13日
会議:第217回国会 参議院 法務委員会
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テキスト抜粋 第217回国会 参議院 法務委員会 第2号 令和7年3月13日
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。
大臣始め各位、お疲れさまです。ありがとうございます。また委員各位の皆様もありがとうございます。
今日は所信に対する質疑でございますので、大臣所信にのっとって質疑をしていきたいと思います。
まず、大臣、所信伺って、出入国及び外国人の方々の在留ということについて、公正な管理、こちらを安定感を持ってというふうに冒頭でおっしゃっておりました。じゃ、この安定感というもののためには、どういう体制で、どういうまた今後の運用の改善等も含めて必要なのかという点で幾つか伺いたいんですが、まず、事実関係として、この外国人の入国者数及び在留外国人数、これを十五年前である二〇一〇年、平成二十二年と比較した場合の増加率、どれぐらいになっているのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(杉山徳明君) 最新の公表数値で申し上げますと、外国人の入国者数については、平成二十二年は九百四十四万三千六百九十六人であるのに対し、令和六年は速報値で三千六百七十七万九千九百七十六人となっておりまして、増加率は二八九・五%、約三・九倍となっております。
また、在留外国人数につきましては、平成二十二年末時点で二百八万七千二百六十一人であるのに対し、令和六年六月末現在で三百五十八万八千九百五十六人でありまして、増加率は七一・九%、約一・七倍となっております。
○矢倉克夫君 それだけ増えていると。それに合わせてですが、じゃ、例えば入管の職員の方が今どれくらい増えているのか。これについては、私も改めて事前に聞いておりましたけれども、二〇一〇年のときに比べると、今、令和六年では大体一・七倍ぐらいしか増えていない。入国警備官はほとんど増えていない。入国審査官の方も倍ぐらいしか増えていないという形になる。今の、いろいろ業務が相当、特に入国の管理等も含めて相当増えている中で、やはりかなり増えている、業務が、という状況に関する改善というのはやはり必要だというふうに思います。
前回の質疑のときにも、財務大臣政務官も来ていただいて、この法務行政というのは国の根幹を担う大事な重要な部分であるという認識の下でのしっかりした対策も取るということも答弁もいただいたわけでありますので、まず、要望として、改めて、大臣、この入管に関する職員の増加ということは今後も引き続き強く働きかけをしていきたいというふうに思います。よろしくお願いを申し上げます。
その上で、今難民の入国審査官が二倍ぐらいになっているというふうに伺ったところですけど、じゃ、一方で、難民申請数が、今言った二〇一〇年と比較した場合、今どれくらいになっているのかを伺いたいと思います。
○政府参考人(杉山徳明君) 最新の公表数値であります令和五年の難民認定審査数は一万三千八百二十三人であり、平成二十二年の千二百二人から約十一倍に増加しているところでございます。
○矢倉克夫君 もう十一倍ということで、職員数、全体の職員数は一・七倍しか増えていない、入管の管理官も二倍しか増えていないのに、職員数はそれだけ増えていると、あっ、申請数はそれだけ増えているということになります。
今、十五年前の、平成十年のときとの比較をあえてしたわけでありますが、なぜこの平成十年かと申し上げると、このとき、失礼、平成二十二年というふうに申し上げると、このときに難民認定申請から六か月経過後に一律に就労を認める運用がこれ開始をされて、激増したわけですよね、難民申請が。その後、平成二十九年、三十年という形で運用を改めて、若干減りはしているわけでありますが、当時、二〇一〇年のときには申請が千人台であったのが、今は、今もおっしゃっていただいたように一万、多いときには二万近くになっていたということになります。
これについて、やはり安定的な難民の受入れのためにはどうすればいいか。当然、審査期間が、今も、前回の質疑のときにも出たように、二〇一五年のときには審査期間が大体七・三月だったものが、一次審査の場合、昨年は二十六・六月だというふうに聞いております。この状態を放置したままですと、どんどんどんどん審査期間も延びてしまう。やはり、より難民として保護されるべき人を保護すべきための難民申請の対処というのができなくなる。
どうすればいいかといえば、やはりまずは人数を増やす。また、申請数そのものを何とか絞るということもあるかもしれませんが、やはり申請に対しての審査を効率化、合理化もしていくというようなことも重要であると思います。
そのためにどういうやり方もあるかというところでありますけど、今日は資料もお配りもしております。今、一枚目、二枚目の方で、事前に、この審査の強弱というわけではありませんけど、しっかりした情報を仕入れた上で、やはり区分けをしていくということは大事だと思うんですよね。その区分けの在り方として、AからDまで分けている。Aが難民である可能性が高いと思われる案件云々、Bは難民条約上の迫害に明らかに該当しない事情を主張している案件、Cは再申請、D、それ以外ということです。
一つ気になったのが一枚目、これは令和五年ですけど、令和五年の方だと、B案件というのが総数に占める割合は〇・八だったんですが、二枚目の方は、これ平成三十年になります、資料としては三十一年ですけど、そのときはB案件というのは一七・四%。当時あれだけ該当しないというふうに思われていたものがこれだけ急に減るということは、これは私の意見ですけど、例えばいろんな関係の機関なども入っていって、この難民申請が通りやすいというか、本来の申請の意図とは違う形で申請の仕方も変えていき、B案件を下げるような案件というのもやはり増えてきたのではないかというふうに推測もするところであります。
一つの区分けの仕方として、より合理的に、本来難民として受け入れられる人をしっかりしたその審査に集中するためには、この区分けの在り方というのも更に精度を上げていく必要はあるかというふうに思います。
こういう観点から、どのように入管庁としても対応をしていくのか、答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(杉山徳明君) 委員御指摘いただきましたとおり、我が国の難民認定制度におきましては、難民である可能性が高い申請者等の迅速な保護及び濫用、誤用的な申請の抑制を目的といたしまして、申請の段階で案件の振り分けを行い、振り分け結果に応じて迅速処理の対象とする等の措置をとっているところでございます。
もっとも、振り分けは個々の申請書の記載内容等を踏まえて行った結果でございまして、濫用、誤用的な申請を含め、案件の適切な振り分けを行うことが重要であると考えております。そのためには、申請書の記載内容に加えまして、申請者の国籍に応じた出身国情報を踏まえて判断する必要があり、出身国情報の充実に努めながら適切に振り分けを行っており、またこれを行ってまいりたいと考えているところでございます。
○矢倉克夫君 この難民申請を受け入れるに当たっては、当然、受け入れるべき者はしっかり受け入れつつ、他方で、例えばその国の、出身国、そこで対応することが可能な申請者の方に対しては、やはりこの出身国がしっかり対応するというのも一つの原則であるというふうに思います。
要は、その出身国が本当に対応できるような状況にあるのか。紛争が起きているところとかであれば当然難民として受け入れる可能性は高くなる。そういうところはしっかりと選別するとともに、そうでない国、その国の統治機構がしっかりとある意味機能している、本来、いろいろ課題もある中ではあるけど、その課題はその国でしっかりと対応することができる国であれば、そこはまた区分けのところで配慮する必要はあるというふうに思います。
その上で、じゃ、大事なのは、申請をしている人のその出身国がそういう状況にあるのか、その申請をしている人の属性が、出身国としては問題ないけど、申請をしている人の属性がその出身国の内部事情の中で何か特段の事情があるのか、そういうことも含めた出身国情報がより精度が上がっていけばいくほど、今申し上げたA、B、C、Dのこの区分けというのはよりやりやすくなる。この精度を上げていくことが、やはり最終的な、最終的なこの審査期間の延長というか、長くなっていくという事情をなくしていって、本当に難民として受け入れる人をしっかりと受け入れるための在り方として必要だと思います。
改めて、この出身国情報、COIというふうに言われているというように理解しておりますけど、これの精度を上げていくにはどういうふうにすればいいのかということを入管庁からまた伺いたいと思います。
○政府参考人(杉山徳明君) 御指摘いただきましたとおり、適切に振り分けを行うためには出身国情報の充実が重要であると考えております。
入管庁におきましては、これまでも、外務省、UNHCR等の関係機関と適切に連携しながら、最新の情報を積極的に収集しております。さらに、難民を多数受け入れている諸外国の当局と出身国情報に関する情報交換等を積極的に行うなどの取組を通じて、出身国情報の一層の充実を図ることとしております。
その他、この点に関する人員体制の整備も重要であると考えており、令和六年度予算において、出身国情報の収集等を担当する課長補佐級ポスト二つが増設されたほか、当該業務に専従する職員七人が増員されているところでございます。
今後も、必要な体制整備に努めつつ、出身国情報の充実を図ってまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君 今、人員の話もあったけど、やっぱりもっとこれ増やさなきゃいけないと思います。
あと、例えば外務省からもこの関係との情報を、より連携もいただきながらしっかり受ける、また、諸外国との様々な情報機関も含めたいろんな連携なども必要、こういう部分を、予算をしっかり増やしていくことで対応を強化していきたいというふうに思いますので、この点も大臣、よろしくお願いします。これは意見であります。
その上で、もう一つ、前回の、この外国人との共生という点でやはり大臣にお伺いしたいと思うんですが、申し上げた点は、やはり今、日本各地でいろんなあつれきというか、対立みたいのが起きて残念な状況になっております。差別感情が助長しないような国にするという意味合いで私申し上げたのは、やはり日本人と外国人が相互に信頼するためにはルールを守り合うということは非常に重要だと思っています。
今回、大臣も所信の方ではルールを守るということをおっしゃっていた。それについて念頭に置かれているのは今言った入管法のような法規的なルールだと思いますが、一方で、今、一つまた課題になっているのは、私も今埼玉県ですけど、例えばいろんな地域の中でこの外国人の方がコミュニティーになってしまっている。そこで、騒音の問題であるとか、またトラックが非常に速いスピードで動いていく、危険だ、危ないと、たまにこうぶつかったりとかすることもある、壁とかに。そういうことに対してのコミュニケーションがなかなか取れない。
こういうような、その法規とはまた別、まあ法規にも関わるところもあるかもしれませんけど、地域で共生し合うために、お互い守り合うようなものは守り合うということの理解増進というものがないと、結局、双方が差別意識を持って対立し合うという形になり、本当の共生というのはやっぱり生まれないと思うんですよね。
これは、法務大臣、まさに共生社会の所管をされるという法務省の大臣としての決意、また政府の一員としての決意でありますが、これは入管庁も今頑張っています。いろんな、共生するためにはこういう情報をというその情報提供のところはあるんですけど、それ以上にいろんな全省的な、支援の枠組みも含めてでありますけど、お互いがルールを守り合うために外国人にもどうやって働きかけるかということも、もっとほかの省庁も巻き込んでやり遂げなきゃいけないと思います。
こういう部分について、大臣としてどういうふうに進められるのかということを決意も含めてお伺いもしたいと思います。