国会質疑等(2025年3月12日)津島淳議員(自由民主党)@衆・法務委員会

発言者:津島淳議員(自由民主党)
日付:2025年3月12日
会議:第217回国会 衆議院 法務委員会

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テキスト抜粋 

第217回国会 衆議院 法務委員会 第2号 令和7年3月12日

○島田(洋)委員 日本保守党の島田です。
 まず、難民認定制度に関してお伺いします。
 去る二月二十七日に、大阪高裁において非常に重要な判決が出ました。簡単に経緯を述べると、北アフリカのチュニジア出身の男性が、自分がホモセクシュアルだという理由で、母国に帰ると迫害を受けるおそれがある、難民認定してほしいと申請したわけですよね。それに対して、国、入管庁は、この男性はホモセクシュアルであるという理由で家族から暴力を受けたと主張しているけれども、国、政府から迫害を受けたという証拠は認められない、したがって難民認定できないという判断をしたわけですけれども、それに対して男性が裁判に訴えて、一審の大阪地裁は、国の難民不認定は取り消せ、また、難民認定しろという判決を下して、それに対して国が控訴して、その控訴審の判決が先月の二十七日に出て、男性の言い分を認めて国側の控訴棄却ということになったわけですね。
 言うまでもなく、LGBT、性的少数者であるという理由で差別や迫害がなされてはならないと、言うまでもないことですけれども、一方で、日本に行って、私はLGBTで迫害のおそれがあるんだと言えば難民認定してもらえるとなれば、潜在的には何億人という人が日本に押しかけてきかねない、その中には偽装LGBT難民も含まれるでしょう、そうなると、日本の出入国在留管理制度は崩壊するということになりかねない。
 大臣は、この大阪地裁、高裁の判断に納得しておられるのか。この上告の期限が、あしたですね、あしたが期限です、上告されますか。
○鈴木国務大臣 今お尋ねの判決でありますけれども、そもそも、私どもとしては、LGBTであることのみを理由にチュニジア政府による迫害を受けるおそれがあるとは認められないということであり、あるいは、家族から迫害を受けているということに疑問があり、仮にこの点をおいたとしても、国籍国の保護であるチュニジアの保護を受けることができないとは認められないということで、控訴をしたところでありました。
 お尋ねの判決、国の、私どもの主張が認められなかったということであります。先ほど、明日が上訴期限ということをおっしゃいましたけれども、現在、判決の内容を精査をいたしまして、上告又は上告受理申立ての理由があるのかどうか、そこについて、これは当然最高裁への上告ということになりますので、そこの理由があるかどうかについて慎重に検討しているところでありまして、上訴期限である明日の三月十三日木曜日までに適切に対応してまいりたいと考えております。
○島田(洋)委員 これは結構、世界から注目されていますから、難民認定に関する法務行政の立場というのを明確にする意味でも、私は、上告して、しっかり議論してもらいたいと思っています。
 この男性のチュニジアという国は、これは、アフリカはたくさん国がありますけれども、その中で、三つの国だけ日本はビザ免除しています、その一つがチュニジアなんですよね、あとはモーリシャスとレソトですけれども。ビザ免除しているということは、相対的に見て信頼できる国だという判断があるからでしょう。その信頼できるチュニジアから、チュニジア政府のパスポートの発給を受けて、航空券も買えて、そして空港から何の問題もなく日本に来れている。私はこの段階で、難民と認定すべきじゃないという外形的な条件が全部そろっていると思うんです。
 そして、チュニジアという日本がビザ免除している国の国民を難民認定したとなると、これは日本とチュニジアとの外交関係にも悪影響が及びかねないと思いますが、この辺り、外務省の判断、お聞きしたいと思います。
○三宅政府参考人 お答え申し上げます。
 難民認定申請がなされた場合は、法務省において、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定していると承知しております。
 こうした個別の事案が二国間の外交関係に影響を与えるとは考えてはおりません。
○島田(洋)委員 ついでに言うと、クルド系の方々の、要するに、実質的には出稼ぎなのに、難民申請を繰り返して滞在期間を延ばしている、これも問題になっていますけれども、トルコもビザ免除国なんですよね。私はやはり、これは、外務省と法務省がもっと連携して、その辺りの対処を考えるべきじゃないかと思います。
 この、LGBT難民と一応言っておきますけれども、これはちょうど二年前には、ウガンダ人のレズビアンだという女性に関して同じような判決があったんですけれども、これは、大阪地裁において、このウガンダ人の女性はレズビアンで迫害を受けているというんですが、国側の主張は、ウガンダ刑法には自然の摂理に反する性交渉は違法だという項目があるけれども、実際、それで有罪になった人はいない、また、反同性愛法というのが二〇一四年にできているんだけれども、これはウガンダの憲法裁判所が違憲判決を下して、再びこういうものが作られる余地もない、かつ、ウガンダでは、LGBTデモが行われている、それを警察が保護している、そういう実態があるから、この方は難民に当たらないということを国側が主張した。私は、これは合理的な主張だと思います。
 ところが、大阪地裁では、このウガンダ人女性に関して難民認定しろという判決が下された。問題は、控訴しなかったんですよね、法務省は。当時は齋藤健法務大臣ですけれども、この大阪地裁の判決が納得できるものだと思ったから控訴しなかったんですか。
○鈴木国務大臣 お尋ねの判決でありますけれども、これも国の主張が認められなかったものと承知をしております。
 個別の敗訴判決について、控訴をしなかった理由の詳細については、将来の同種の訴訟に与える影響に鑑み、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、本国の情勢や原告の個別事情等を慎重に検討した上で、控訴をしないという判断を行ったものと承知をしているところであります。
○島田(洋)委員 今の答弁、納得できませんが、ちょっと時間の関係もあるので。
 ともかく、LGBT偽装難民がどんどん押し寄せるという事態を防ぐために、是非、今回のケース、チュニジアのケースですね、上告してしっかり議論してもらいたい。これは法務大臣に強く要請しておきます。
 次の問題として、大臣の所信の中で、北朝鮮による日本人拉致問題に関して、関連情報の収集、分析を進めるというのがありました。ところが、我が国の外交に関して重大な情報欠落があるわけですね。
 これは、私、最近質問主意書で明確にしましたけれども、つまり、小泉第一次訪朝の直前に田中均当時の外務省の局長が北朝鮮で行った極めて重要な二回の交渉の記録が欠落している。これは、初めて日本政府が、ありませんということを認めました。これはとんでもない話ですね。後任に引継ぎもできませんし、一体何を合意したのか、変な裏合意をしたんじゃないか、そういう疑惑を持たれても仕方がない。
 この田中均さんというのは、石破首相のブレーンですよね。石破さんが主張している連絡事務所を設置して、いわゆる日朝合同調査なるものをして、そして、類推できるところでは、北朝鮮も誠実に協力してくれて調査しました、その結果、残念ながら皆さん亡くなっていた、残念だけれども、日朝国交正常化という名前で利権正常化を進める、私の言い方によればですね、という方向に行くんじゃないかと。拉致被害者家族会の人たちなんかも非常に心配しているわけですが。
 これはまず外務省に聞きますけれども、その重要な交渉記録二回がないというのは、これはそもそも、作るなと田中均局長が命じたのか、作ったものを破棄したのか、それとも誰かが持ち去ったのか、どういうことなんでしょうか。
○津島委員 ありがとうございます。
 今行われている取組、とりわけ、安全を確保するためと、それから保護司活動の充実をもってして立ち直りを支援、それがより実効性あるものにしようという、そういう営みが行われているということをお聞きしました。
 面接場所についても様々確保をしていく必要があろうかと思いますし、そして、保護司の活動、それぞれ地域差があると思います。より広いエリアを担当している方自体、そのエリアをカバーするということも御負担になっている、そういう側面もあるということは是非御理解をいただきたい。地方においては、やはり移動とかそういったことも負担になっているという現実もあるということは是非受け止めていただきたい、そのように思います。
 さて、ちょっと話題を、ウクライナ避難民のことについて質疑をさせていただきたいんですが、今日は高村副大臣においでをいただきました。私だけ指名したので何だか申し訳ない気持ちでありますが、よろしくお願いいたします。
 ロシアによるウクライナ侵略が始まって三年がたちました。その侵略が始まったとき、私は法務副大臣を務めておりまして、ウクライナ避難民のことでポーランドに行って、実態というものを見て、聞いて、避難民の方ともお話をさせていただきました。あのとき見た、命からがらお母さんと逃げてきた少女、今どうしているだろうか。確かめたくても、あちらに行くことはかなわず、なかなかもどかしい思いがあるわけであります。やはり日本に来られた方の、避難民に対する心をずっと寄せ続けるということが、せめて自分に今できることだろうと思っているところです。
 その日本には、今年の一月末時点で累計二千七百四十七人の避難民がいらっしゃっております。彼らは、これから本当に、特に日本にいるという選択をした避難民の方々に、なおさら自立支援ということは大きな課題になるわけであります。
 その一方で、昨今、避難民支援への関心が薄れているという感じを持っていることに、非常に危機感を覚えております。
 副大臣に是非伺いたいんですが、我が国で受け入れているウクライナからの避難民について、制度改正して補完的保護対象者、そしてその対象者として自立に向けた支援を継続していく必要があると思いますが、法務省の見解を是非副大臣からお願いいたします。
○高村副大臣 津島先生、ありがとうございます。
 委員御指摘のとおり、ウクライナ避難民が我が国で自立していくためには、就労支援や日本語教育を含む自立に向けた支援を継続して実施することが重要であると認識をしております。
 私自身も、私の友人の奥さんがウクライナ人で、その親戚を日本に受け入れるお手伝いをしたり、本当に、ウクライナの方々が日本で苦労している現状もしっかりと見させていただいております。
 そして、政府としては、ウクライナ避難民の方々に対して様々な支援を行ってまいりましたが、令和五年十二月の補完的保護対象者の認定制度の創設後は、補完的保護対象者として認定されたウクライナ避難民に対し、自立に向けた継続的な支援を行っております。
 具体的には、令和六年四月から補完的保護対象者に対して、五百七十二時限の日本語教育や百二十時限の生活ガイダンスを受講できる定住支援プログラムを提供しております。
 また、就労支援については、厚生労働省所管のハローワークにおいて、全ての地域でではございませんが、ウクライナ語を含む外国語による職業紹介や雇用主に対する助成金による雇入れ支援を行っていると承知をしております。
 法務省といたしましては、引き続き、ウクライナ避難民の方々が安心して我が国で自立した生活を送ることができるよう、適切に支援をしていきたいと思っております。
○津島委員 副大臣から力強い決意が述べられました。私自身も、ずっと心を寄せ、また、どういった支援が有効なのかということは、様々意見を聞いて提案してまいりたい、そのように思います。
 あと二問、最後までたどり着けるかどうか微妙になってまいりましたが、スピードアップします。在留外国人支援について伺います。
 今ほど申し上げたウクライナ避難民も含め、在留する外国人支援の一元的窓口としてFRESCがございます。その役割は今後ますます重要になると考えます。私は、このFRESCというもの、そういう新しい建物を造れということではなくて、そういう横串を通した、省庁をまたいだ機能が各道府県にできるということが望ましいと考えています。そういった意味での水平展開について、入管庁次長さんから伺いたいと思います。
○杉山政府参考人 委員御指摘のFRESC、外国人在留支援センターでは、外国人の在留支援に関係する法務省、外務省、経産省、厚労省、四省庁の八機関がワンフロアに集まり、必要に応じ複数の機関の担当者が同席するなどして、外国人からの相談等に対応しているところでございます。
 こうした地域における一元的相談対応の水平展開ということにつきましては、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップや外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策におきまして、関係機関の連携、協力を推進し、地域における外国人向けの相談体制等を強化するとされていることを踏まえ、地方出入国在留管理局等が関係機関と合同相談会を実施するなどの取組を行っているところでございます。また、東京出入国在留管理局の横浜支局におきましては、横浜市のみなとみらい地区に、在留相談室、Y―FORAというものを設置いたしまして、神奈川県や横浜市を含む地域の関係機関と相互に連携協力して相談対応等に取り組んでいるところでございます。
 入管庁におきましては、引き続き、FRESCでの取組を参考として、地域における関係機関との連携協力関係を強化していくこととしているところでございます。
○津島委員 引き続き、出入国においては適正な出入国、そして在留管理も行っていただくと同時に、やはり、共生社会というものを実現するためにしっかりバランスを取った行政ということを望みます。
 最後まで行けそうでございます。最後の質問であります。司法外交について。
 現在の世界情勢、とりわけアメリカの動きなどを見ていると、今こそ、法の支配という価値が、国際社会にそれらを浸透させていくということは本当に重要なことだと私は認識しております。先ほど触れたウクライナの復興ということも考えたときにも、法制度整備支援ということをEU諸国と連携して行うということが大事なことなんじゃないかと私は考えるんですが、この点について国際課の方ではどのように考えておられるか、担当審議官の方からお答えいただきたいと思います。
○堤政府参考人 お答えいたします。
 法務省では、法の支配や基本的人権の尊重といった価値を世界に発信し、浸透させていく司法外交を展開しておりますところ、現下の国際情勢に鑑みますと、その重要性は一層増していると認識しております。そして、司法外交を更に推進する上では、EU加盟国を始めとする法の支配等の価値を共有する国や国際機関との連携が効果的であると考えております。
 御指摘のウクライナに対する法制度整備支援を含む法務、司法分野における協力は、復興に当たって必要な資金の公正かつ効果的な活用などのために重要な意義を有しております。
 そこで、法務省は、令和五年から、EUを含むG7メンバー及び国際機関により構成されるウクライナ汚職対策タスクフォースを事務局として運営して、EUを含む各参加国、機関間の連携の強化とウクライナにおける効果的な汚職対策の実現にリーダーシップを発揮しております。
 また、昨年八月に当時の小泉法務大臣がウクライナを訪問した際に当省とウクライナ司法省との間で署名、交換した協力覚書に基づき、法務総合研究所では国際協力部、ICD、及び法務省が運営する国連アジア極東犯罪防止研修所、UNAFEIにおきまして、汚職対策、司法改革のほか、人材育成を含む法務及び行政分野における法制度整備支援について、ウクライナ当局や国連薬物犯罪事務所、UNODC等の関係機関との間で協議、調整を進めております。
 引き続き、EU加盟国を始めとする価値を共有する国や国際機関等と連携しながら、効果的な支援を実施してまいりたいと考えております。

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