法相会見(2023年10月20日)埼玉県川口市長からの要望;名古屋入管の視察

法務大臣閣議後記者会見の概要 令和5年10月20日(金)(外部リンク:法務省ウェブ

法相冒頭説明 

3件目。これは手短に申し上げますけれども、12月1日から補完的保護対象者の認定制度が始まります。ウクライナだけではなくて、紛争避難民の方々について、この制度が進みます。それに向けて今、最終の詰めをしているところです。補完的保護対象者の制度に多くの方々が移行していくだろう。特定活動と生活支援という今枠組みですけれども、これが特定活動から補完的保護対象者へ移っていくだろうという前提で組み立てていますけれども、(ウクライナ避難民に対する)この生活支援、経済支援の部分は2年間、今支給される金額があるわけですよね。それと、まだ最終決定できないですけれど、同程度の金額の生活支援金は、同じように、同じく2年間支給していこうという方針になってまいりました。加えて、日本語教育や生活ガイダンスというものも受講できるようになります。より手厚くなります。2年間生活費支援をやっていた。それはそのまま継続し、上乗せする形で生活ガイダンス、日本語教育。こういったものが補完的保護対象者の制度に移行する中で加わっていくというような形になりますので、また直前にもう少し詳しくイメージが湧くようにお話ししたいと思いますが、言いたかったことは12月1日に向けて着々とこういう枠組みで詰めていますよという御関心を是非持ってください。そういうことを申し上げたいと思います。


埼玉県川口市長からの要望に関する質疑について 

【記者】
 埼玉県川口市でクルド系とみられるトルコ人と地域住民との間でのトラブルが生じて、9月に川口市長が法務大臣に要望書を提出されました。法務省や出入国在留管理庁として、川口市におけるトルコ人をめぐるトラブルについてどのように把握されていますか。市長からの要望にはどのように応える所存でしょうか。
 また、改正入管法の完全施行によって、こうしたトラブルの抑制にはどんな効果があるとお考えか、それもお聞かせください。

【大臣】
 まさに目の前に起こっている問題です。9月1日に埼玉県の川口市長が法務省に来られて、齋藤前大臣が面会されて、詳しくそのときに要望書も頂いております。実情もそのときにかなり詳しく伺いましたが、その後、我々も地元の様々な関係者、自治体、警察、そういった方々と連携して、まず何が起こったのかと。何が起こっているのかという、今おっしゃった現状の把握を鋭意進めているところでもあります。この問題に対処していく大枠としては、やっぱり共生社会をどう作るんだという基本にやっぱり立つ必要が、改めて言うまでもないのかもしれませんが、あると思いますね。ルールにのっとって外国人を受け入れて適切な支援を行うと。でも、ルールに違反する人に対しては厳正に対処すると。この基本にのっとって対応していくというのが適切だと思います。厳正に対応していくという点で申し上げれば、不法滞在者対策として、しっかり警察等の関係機関と緊密に連携を図って、不法滞在者の摘発等に取り組まなければいけないし、また現に取り組んでいるところでもあります。共生社会を作っていく過程において、保護すべき人を保護する。また厳正に対処することの両方向ですよね。バランスというよりは両方向の取組が必要でありまして、この埼玉のクルド人の方々をめぐる問題についても、そういう基本的視点というものをしっかり踏まえて取り組みたいと思いますし、改正入管法は、まさにその両方向の取組をそれぞれに強めることを主旨とした法改正が行われたわけであります。保護すべき人をより保護する、より支援する。だけど、そうではないルールも守らない方にはより厳正に、送還忌避への対応も含めて対応する。強める。その入管法の改正が、これから来年はその施行が順次始まっていきますので、ベースはこれをしっかりとその主旨に沿った運用を、執行をしていくという形で、このクルドの問題も含めて対応していきたいというふうに思います。地元の自治体の方々、警察等とは引き続き連携を緊密にして、しっかりウォッチしていきたいと思っております。


名古屋入管の視察に関する質疑について 

【記者】
 大臣、先日、NHKのニュースの中で、名古屋入管を視察し、医療体制の見直しについても取り組んでいる旨の発言をされました。改めて、具体的にどのような体制の見直しを行っているのか、また、入管を視察された感想を併せてお答えください。

【大臣】
 名古屋入管の視察を行ってまいりました。特に、ウィシュマさんの事案後における医療体制あるいは情報共有の在り方、業務体制の在り方、そういったものがちゃんと正しい方向に向かって取組を進んでいるかと。それを確認しに行ったわけであります。名古屋局、全体の印象として申し上げれば、非常にウィシュマさんの問題をしっかりと、また深刻に受け止めて、何とか新しい体制で同じことが二度と起こらないように何とかしたい。そういう緊張感あるいはチームワーク、そういったものをすごく感じることができました。特に、新しいお医者さんが入って来てくださっていてお会いしましたが、大変立派な方でした。また、非常に行動的な方でした。非常に情熱を持った方でいらっしゃいまして、その新しい常勤医師を中心に、正看護師さん、准看護師さん、そして入管局の医療関係のスタッフが一丸となってチームワークを形成しているということも強く感じました。その医師の方が、細かくは申し上げませんけれど、やっぱり的確な指示を、あるいはアドバイスを、提案をしているのですよね。こういう体制でやろうじゃないかということを。その医師の方は救急が専門の分野の一つとして持っておられる方なので、大変的確です。異常が起こってから救急車を呼ぶまでの時間を例えば短くするには何を見れば良いのか、色々なバイタルがありますけれど、何をどう見ればすぐ動けるのかというようなところも含めて、非常に緻密に医療の専門的な知識も織り込みながら、若い職員も含めてこの医師の指導を受けると。やっぱり非常に心強く思いました。また、人員も補強していくということが今進められています。
 もう一つは、今度は外国人の方ですよね。この医療体制が整っても、コミュニケーションが十分取れていくのかという、そこがまた大きな問題ですよね。体調が悪い、でも母国語ではそのまま通じない。その問題も確かにあったと思います。そういう点についても、医師の診察のときは通訳を置くと。あるいは、翻訳機器というものを十分に配備するということで、言葉の壁がそういうときに起きないように、きめ細かく配慮しているというところも見てまいりました。これは名古屋入管だけではなくて、全体の問題でもありますよね。そういう意味では、主要6官署において、今申し上げた医師、常勤の良い医師をとにかく確保するというのは非常に重要な課題だというふうに思っております。また、そういう医師が確保されることが前提ですけれども、庁内医師がいてくださる場合には、体調不良の訴えがあった場合には、全件直ちに診察を行うという仕組みもその中で可能になるわけでありまして、これからも刑務所もそうですけれど、入管もそうですけれど、医師の確保をやっぱりきちっと法務本省としてもバックアップしていくということが、長期的に見たときに重要なテーマの一つだなと。そんな課題も感じながら視察に行ってまいりました。


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