法相会見(2023年12月19日)出入国管理行政

法務大臣閣議後記者会見の概要 令和5年12月19日(火)(外部リンク:法務省ウェブ

出入国管理行政に関する質疑について 

【記者】
 冒頭のイミグレーション・フォーラムですか、これとも関連してくるとは思うのですけれども、昨日12月18日は、1990年に国連総会で採択された、全ての移住労働者の権利条約にちなんだ国際移住者デーでした。それでグテーレス国連事務総長もメッセージを出して、移住者の人権尊重に根差した安全な移住のためのガバナンスが緊急に必要であるというふうに訴えられていました。それでその後ですね、国連総会で、難民と移民の保護を促進するためのニューヨーク宣言が採択され、その評価基準として、詳細な行動目標を明記した難民と移住者それぞれのグローバル・コンパクトが2018年に国内採択されました。この中には、具体的な政策課題が明記されているのですが、法務省のホームページにはそのことが掲載されておりません。それで日本政府は12月13日から3日間ジュネーブで開催された第2回グローバル難民フォーラムの共同議長国でしたけれども、なぜ法務省は、難民と移民の保護を促進するための有力宣言を具体的に履行するグローバル・コンパクトに積極的に取り組もうとしないのでしょうか。これは日本政府が、移民政策は取らない。それから難民もできれば受け入れたくないという、そういった姿勢の現れと考えてよろしいのでしょうか。大臣の御見解をお願いいたします。

【大臣】
 まず、御指摘の難民グローバル・コンパクトでありますけれども、これは難民受入れ国の負担軽減、難民の自立支援、第三国での解決策の拡大、安全で尊厳のある帰還環境整備を目指すものであります。このグローバル難民フォーラムは、この難民グローバル・コンパクトのフォローアップ会合として位置付けられているわけです。この第2回会合では、先ほど申し上げた難民グローバル・コンパクトに沿った形で、各国が様々な宣言、プレッジを行っています。我が国としても、プレッジを行いました。第三国定住による難民の受入れの確実な実施のほか、補完的保護対象者の認定制度の導入による適切な認定と支援について、プレッジをさせていただいています。したがってグローバル・コンパクトに取り組もうとしないという御指摘は当たらないと思うのですが、法務省としては、今後このフォーラムでの議論や世界の潮流を踏まえて、人道上、真に保護する必要がある方々を確実に保護していくと。そういう取組をですね、実践的にしっかりと引き続き取り組んでいこうというふうに思っています。

【記者】
 関連ですけれども、先週、在日歴が33年に及ぶナイジェリア人の女性の難民申請者の在留特別許可を求める意見書が、茨城県牛久市議会で採択されました。この難民申請者の権利保障についても、今言ったグローバル・コンパクトにも明示されていますけれども、日本では多くの難民申請者が、国や基礎自治体の行政サービスから排除され、住民登録もされず、就労許可もされずといったことで、非常に困難な生活状況に陥っていることは、大臣は御存じだと思います。それで、12月1日から補完的保護制度が施行されたわけですけれども、在留特別許可の運用の見直しも早急に進めるお考えはあるでしょうか。齋藤前法務大臣も、以前、日本で生まれた201人の仮放免中のお子さんを主な対象に在留特別許可を検討するといった方針を出していらっしゃいましたが、法務省入管庁の対応が不透明で、該当する御家族も非常に困惑していますので、そのへんの進捗状況のことも含めてお答えをお願いします。

【大臣】
 まず、一般論として申し上げれば、法令に従い手続を進めた結果として、退去強制が確定した外国人は速やかに我が国から退去するというのが大原則です。そうしないと、国内の法秩序が守れない。大きな公益性がそこにはあります。ただ、個々の状況に当てはめたときに、問題があってはいけない。そういう観点から、退去強制の手続の中で個々の事案に応じて、例外的・恩恵的に在留特別許可を出すという形を取っているわけです。当然のことですが、この在留特別許可の判断は、個々の事案ごとに在留を希望される理由、家族の状況、素行、人道的な配慮の必要性など、諸般の事情を総合的に勘案して、適切な対応を我々は行っているという認識を持っています。この在留特別許可の本来の趣旨をいかせる運用をしっかり今させていただいてるというふうに認識しております。その中で齋藤(前)大臣が主導されたこの201人の仮放免中のお子さんの在留特別許可の進捗状況ですけれども、一斉に同時並行にはできませんので、多少遅い・早いはありますが、相当数の御家族の方に連絡がいき、既に在留特別許可がなされた御家族もいます。できるだけ速やかに、できるだけスムーズに進められるように、今、鋭意、取り組んでいるところであります。


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