法相会見(2023年5月16日)入管法改正法案

法務大臣閣議後記者会見の概要 令和5年5月16日(火)(外部リンク:法務省ウェブ


入管法改正法案に関する質疑について 

【記者】
 難民審査参与員の柳瀬房子氏の発言内容に疑問の声が上がっている今、その審査の内容が適切なものであったのかどうかを確認しなければ、とても審議を継続できないのではないのかと思います。第三者による内部調査など、審査制度が適切に運用されていたかどうかを確認するつもりはありますでしょうか。

【大臣】
 まず、難民審査参与員制度は、外部有識者からなる難民審査参与員が、法務大臣から指揮を受けることなく、3名1組の班で審理を行って、その結果を意見書として法務大臣に提出する役割を負っている、いわば中立性、公平性が担保されている制度になっています。
 したがって、第三者による内部調査など、審査制度が適切に運用されていたかどうかを確認する必要はないと考えています。
 その上で、御指摘の柳瀬さんのお話ですけれども、参与員制度が始まった平成17年から現在に至るまで、最初から長年にわたり参与員を務めておられて、他の参与員の代わりに審理に入ることにも協力いただいている方であり、昭和50年代から長きにわたり難民を支援するNPO団体の設立に関わり、その運営もしっかりと務められてきた方です。
 このように難民認定に対する知識及び経験が豊富かつ長年にわたって難民の支援に真摯に取り組んできている方が、御自身の豊富な御経験に照らし、入管が見落としている難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができない旨や申請者の中に難民がほとんどいない旨を述べられているわけです。私は、この御発言は重く受け止めなくてはならないと思っていますし、我が国の難民認定制度の現状を長年にわたって見ているわけですから、的確に表しているのではないかと考えているところです。

【記者】
 4月18日の衆議院法務委員会での公明党の大口議員の質問に関して質問します。難民申請者の送還停止効の例外類型に該当する場合の行政訴訟についての質問がありました。それに対して、西山入管庁次長が、送還停止効の例外に該当するか否かに関する行政訴訟などを可能とする仕組みを設ける必要はないというふうに回答されています。これは、難民処分取消しですとか、退去強制令書発付処分の取消訴訟ができるからというお話ですが、ということは、3回目の難民申請が送還停止効の例外に当たるというふうに入管のほうで判断された場合には、訴訟を起こすことなく直ちに強制送還される可能性があるのかどうかということ。これは要するに、一昨年9月に、東京高裁で、難民不認定になった翌日にチャーター便で強制送還されたスリランカ人男性2名が国を訴える裁判で、これは裁判を受ける権利を侵害すると。なおかつ、難民申請の濫用かどうかの判断についても司法判断が必要であるという判決でした。送還停止効の例外類型に該当するということで行政訴訟を想定しないというのは、この東京高裁判決にも反するのではないかと思いますが、それについてどのようなお考えでしょうか。

【大臣】
 送還停止効の例外規定そのものに対して行政訴訟ができないということの御質問だと思いますけれども、まず、送還停止効の例外は、難民認定申請中であっても、送還可能となる類型を設けるというもので、送還停止効の例外に該当するか否かにつき行政訴訟等を認めても、難民と認定されることにはならないわけです。そして、難民認定を求める外国人にとっては、根本的な問題の解決とはならない、まずここは押さえていただきたいと思います。
 その上で、退去強制令書を発付された者が、難民認定を求めて入管当局の判断を争うというのであれば、退去強制令書発付処分ですとか、難民不認定処分等に対する行政訴訟を提起でき、併せて退去強制令書の送還部分の執行停止等を求めることもできるわけです。
 そのため、御指摘のような送還停止効の例外に該当するか否かに関して、行政訴訟等を提起できるということの必要性はないのではないかというのが我々の判断です。


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