法務大臣閣議後記者会見の概要「移民や難民の受入れのための法整備に関する質疑について」(2022年8月2日)(外部リンク:法務省ウェブ)
移民や難民の受入れのための法整備に関する質疑について 【記者】 【大臣】
前回の記者会見に関することですが、「外国人との共生社会の実現は、歴史の本流であり、時代の要請であると考えており、これを実現するに当たっては、外国人の人権を尊重することはもとより、外国人がしっかりとキャリアパスを描けることが重要だと思う。」とも前回御発言されました。このことは、技能実習制度や特定技能制度に関わったことだけではなく、正面から中長期的に、移民や難民の受入れ政策に向き合う必要があるという意味だと私は受け取りました。
しかし実際には、日本には行政機関として出入国在留管理庁は存在しても、外国人の基本的人権を保障する法制度も、多文化共生社会を実現するための行政機関もまだ存在しません。現在、ウクライナ避難民の受入れ対策で、官民協力しながら様々な取組を行っていらっしゃいますが、中長期的な受入れのための法整備は行われていませんし、他の避難民や難民の受入れ対策はほとんど進んでいない状況です。仮放免の状態で苦しんでいる難民申請者とその家族もたくさんいらっしゃいます。
大臣は、歴史の流れということも前回おっしゃいましたが、正面から移民や難民の受入れのための法整備が政府全体の課題として今後必要になると考えていらっしゃるのでしょうか。基本的な考えをお聞かせください。
御質問の中で記者から言及があった移民や難民の受入れ政策に関する見解については、飽くまでも御質問者の見解として伺っておきます。
その上で、移民の受入れについて申し上げますと、「移民」という言葉は様々な文脈で用いられており、明確にお答えすることは難しいですが、政府としては、例えば、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人やその家族を、期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうという政策を採る考えはありません。
それから、難民認定については、難民条約の定義に従い、難民と認定すべき方を適切に認定しています。
難民と認められない方であっても、今回のウクライナ避難民のように、本国情勢等を踏まえ、人道上の配慮が必要と認められる方々については、我が国への在留を認めるなど、適切に対応しています。
本国の情勢不安を理由に、就労可能な「特定活動」の在留資格への変更は、これまでもミャンマー、シリア、アフガニスタンの方々などにも認めてきたところです。
その上で、法務省では、難民条約上の難民に該当しないものの、同様に人道的な配慮を要する方々などをより確実に保護できるよう、「補完的保護対象者」の認定制度の導入についても検討してきています。
いずれにしても、法務省としては、真に庇護を必要とする方々を適切に保護するために、必要な法整備に努めていきたいと考えています。