法務大臣閣議後記者会見の概要「入管法改正案等に関する質疑について」「名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について」(2021年4月16日)(外部リンク:法務省ウェブ)
入管法改正案に関する質疑について 【大臣】 【記者】 【大臣】 名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について 【大臣】
入管法改正案についてお伺いします。
先日,国連の特別報告者からの書簡が公開されましたが,その後,4月9日付けで,UNHCRから法案について非常に重大な懸念を生じさせる側面があるとの見解が公表されました。
これについて大臣の受け止めと,入管法改正案が本日審議入りする中でどのように説明を尽くされていくかをお聞かせください。
令和3年4月9日でありますが,UNHCR駐日事務所から,入管法の改正法案に対する見解が表明されたことは承知しております。
これにつきましては,4月14日,出入国在留管理庁とUNHCR駐日事務所との間でオンライン会議を行いまして,懸念があるとされました部分につきまして,我が国の法制度の在り方や同庁の考え方を改めて説明したところでございます。
出入国在留管理庁におきましては,難民認定制度の適切な運用を図るために,UNHCRとの連携を重視しておりまして,引き続き,UNHCR駐日事務所から示された提案も踏まえまして,適切な運用の在り方を検討するなどの必要な措置をとってまいりたいと考えております。
本日審議入りする入管法改正案ですが,法案では3回目の難民申請以降は相当の理由がない限り,原則送還忌避罪の対象となるということですが,UNHCR等からも指摘のある日本の難民認定率の低さ,また,地裁が難民と認めても入管が難民とは認めず,高裁まで争い入管が敗訴したケースというのもありました。
難民申請の乱発を防ぎたいという入管庁の意図は分かりますが,今回の改正で,これによって,これまで以上に救われる可能性のある難民を救えなくなってしまうという懸念が,支援団体,弁護士等から出ています。この点について,大臣はどうお考えでしょうか。
3回目以降の申請者を送還停止効の例外とするということについて,いろいろと御心配,御懸念がある旨の意見ということでございますが,そもそもこの送還停止効という制度でありますが,難民申請中の者の法的地位の安定を図るために設けられたものでございます。
その上で,既に二度の難民等の不認定処分が行政上確定した者は,二度に渡りまして,難民等の該当性について判断がされ,その審査が十分に尽くされたものでございます。
そのような者につきましては,法的地位の安定を図る必要はないと考えられるところでございます。もっとも,3回目以降の申請におきましても,難民等の認定を行うべき相当な理由がある資料を提出した場合につきましては,送還を停止することとしているところでございます。
今回そうした新しい制度も盛り込んだ上で提出させていただいております。
今日から衆議院本会議で審議が始まるということでございますが,この制度をしっかり理解していただくことができるように,説明を尽くしてまいりたいと思っております。
スリランカ人女性が入管の収容所で亡くなった件ですが,一部報道で,御遺族が取材に応じまして,娘が点滴をしてほしいと訴えたがなぜ対応してくれなかったのか,何とか助けてほしかった,死ぬ前に私のことを誰も助けてくれないと考えていたかと思うと胸が苦しいと,母親がお話をされておりました。
報道等を見られたと思うんですが,この御遺族のお話の受け止めをお聞かせください。
今回の事案でございますが,庁内診療室や外部病院での診療などの医療的対応を行っている最中に死亡に至った事案であると承知しております。
今回の中間報告は,これまでの事実関係の調査によりまして,今の段階で判明している,医療に係る部分などの状況に基づきまして,亡くなられた方の収容中の診療経過などの客観的な事実関係を取りまとめたものでございます。
中間報告でもお示ししているところでありますが,亡くなられた方が様々な体調不良を訴えておられたということでございます。
また,支援者の方からも,この健康状態につきまして,懸念するという申入れもなされていたことは事実でございます。そうした中で死亡に至ったということにつきましては,大変重く受け止めているところでございます。
その上で,御指摘のような観点からの問題も含めまして,死亡に至るまでの対応全般の適否などにつきましては,今後は司法解剖の結果や第三者の方々の御意見も踏まえまして,適切な時期に最終調査報告及び必要な改善策を取りまとめる予定でございます。
この事案が発生して直ちに,実態につきまして調査をするようにという指示をいたしました。命に関わる部分を扱っているところでございますので,この事案の解明を通じて,また,医療の体制あるいは庁内における体制につきましても,特に医療については,しっかりと対応していくべき事柄であると,これは一貫してそうでありますが,こうした大変痛ましい事案という,お亡くなりになったということでございますので,そのことを本当にきっちりと対応してまいりたいと思っております。