国会質疑等(2020年10月2日)櫻井周議員(立憲民主・衆)質問主意書への政府回答[長期収容]

202回国会質問第6号 議院議員櫻井周議員「「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」のうち送還を促進するための措置の在り方に関する質問主意書」(2020916日)(外部リンク:衆議院ウェブ

[202衆-06] 200916質-櫻井周(立憲民主)_201002答-菅義偉首相 [収容・送還][PDF]

答弁書第6号 衆議院議員櫻井周君提出「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」のうち送還を促進するための措置の在り方に関する質問に対する答弁書(2020102日)

「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」のうち送還を促進するための措置の在り方に関する質問主意書

一 提言の効果について以下質問する。

1 「送還忌避・長期収容」が問題化する背景には、強制退去令書の発付を受けた者の中に、本邦で生まれ育った者、本邦に家族を有する者及び本国において迫害の危険がある者など、母国に帰国することが困難な者が相当数存在することが挙げられる。この者らは、退去を強制されても行き先がないため、非正規滞在という形になっても、収容された状態もしくは仮放免された状態で本邦に在留し続けることになる。この問題を政府はどのように認識しているか。

2 右提言では、前項の問題の根本的な解決にならないと考えるが、政府の見解を示されたい。

一について

退去強制を受ける者は、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)第53条第1項に定める国に送還することができないときは、本人の希望により、同条第2項各号に掲げる国(同条第3項各号に掲げる国を除く。)のいずれかに送還されるものとするとされており、御指摘の「退去を強制されても行き先がない」者に該当するものはなく、「前項の問題の根本的な解決にならない」との御指摘は当たらないと考えている。

二 「送還忌避者の増加」について以下質問する。

1 「収容・送還に関する専門部会」の設置の趣旨には、「送還忌避者の増加」を防止する方策を検討することが挙げられている。他方で、「『2013年から2018年の各年における「送還忌避被収容者」の数』については、いずれも集計を行っておらず、お答えすることは困難である」との答弁(内閣参質200第84号)が存在する。送還忌避者の増加を示す統計は存在しないということでよいか。

二の1について

令和元年11月11日に開催された「収容・送還に関する専門部会」(以下「専門部会」という。)第2回会合で配付した「6月以上の被収容者に関する統計」に示されているとおり、収容期間が6か月以上の被収容者の数が近年増加傾向にあったところ、そのような被収容者の大部分が送還忌避者に当たると考えられること等から、送還忌避者が以前と比べて増加しているとの認識の下で、同年10月21日に開催された専門部会第1回会合で配付した「第7次出入国管理政策懇談会における「収容・送還に関する専門部会」の開催について」において、「送還忌避者の増加や収容の長期化を防止するための方策」が専門部会における検討課題である旨を記載したものである。

2 送還忌避者が本邦を退去できない理由や原因について、今のところ調査・検討は行われていないということでよいか。

二の2について

退去強制を受ける者が自ら本邦を退去する意思がない旨を表明している場合には、入国警備官が、必要に応じて、その理由等についてその者から事情聴取を行っており、その内容を検討して分析している。

三 「在留特別許可数の変化」について以下質問する。

1 いわゆる入管白書の数値を基に、在留特別許可率(分母を異議の申出に理由がない旨の裁決数、分子を在留特別許可数とする。)を算出したところ、平成23年82%、平成24年77%、平成25年64%、平成26年65%、平成27年65%、平成28年60%、平成29年52%、平成30年59%であったが、そのとおりでよいか。

三の1について

法務省入国管理局(当時)が発行した平成24年から平成30年までの各年版「出入国管理」及び出入国在留管理庁が発行した令和元年版「出入国在留管理」において公表している平成23年から平成30年までの各年の退去強制手続における「理由なし」の裁決の件数に対する各同年の「法務大臣が在留を特別に許可した件数」の割合は、おおむね御指摘のとおりである。

2 前項によれば、在留特別許可率が平成24年頃から減少しており、このことが送還忌避者の作出の原因になっていると考えるが、政府の見解を示されたい。

三の2について

退去強制手続における三の1の割合の減少傾向と送還忌避者の発生との間に因果関係が認められるとは認識していない。

3 在留特別許可を出すか否かは「諸般の事情」を総合的に勘案して判断されるとのことであるが、過去20年間で、その判断方法が変わった回数、時期及びその内容を示されたい。

三の3について

在留特別許可の許否の判断について、個々の事案ごとに、「諸般の事情」を総合的に勘案して行うという判断方法を変更したことはないが、在留特別許可の透明性及び公平性の更なる向上を図る観点から、平成18年10月に在留特別許可の許否の判断に当たり考慮する事項を明示した「在留特別許可に係るガイドライン」を策定し、その後、平成21年7月には当該事項をより具体化するため、同ガイドラインを改訂している。

四 「難民認定率」について以下質問する。

1 我が国における難民認定数及び難民認定率は、難民条約(難民の地位に関する条約及び難民の地位に関する議定書)締結国の中でも著しく低いという認識は有しているか。

2 難民認定率が数十パーセントにのぼる国と我が国とでは、その難民認定率の差異は何に由来するとの分析がなされているか。

3 分析がなされていない場合、我が国では難民として認められなかった者でも、他国では難民認定が受けられたであろう者が相当数存在する可能性が残されていると考えてよいか。

四について

お尋ねの「難民認定数及び難民認定率は、難民条約(難民の地位に関する条約及び難民の地位に関する議定書)締結国の中でも著しく低い」の意味するところが必ずしも明らかではないが、大量の難民・避難民を生じさせる国との地理的要件など各国の状況が異なっていることから、他国と単純に比較することは適切でないと考えている。いずれにせよ、我が国においては、難民の地位に関する条約(昭和56年条約第21号。以下「難民条約」という。)第1条の規定又は難民の地位に関する議定書(昭和57年条約第1号)第1条の規定により難民条約の適用を受ける者を、難民認定申請(入管法第61条の2第1項の規定による難民の認定の申請をいう。以下同じ。)の内容により個別に審査し、適切に難民と認定している。

五 「複数回難民申請者」について以下質問する。

1 難民認定される者(抗告訴訟の結果認定される者を含む。)には、複数回申請者が一定割合存在するが、これらの者が初回申請の際に難民認定されなかった原因は分析しているか。

2 初回申請では真の難民を適切に保護しきれていない可能性があるといってよいか。

五について

平成28年から平成30年までの間に難民の認定をしない処分後に行われた難民認定申請において難民と認定した者(審査請求(入管法第61条の2の9第1項の審査請求をいい、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第69号)第75条の規定による改正前の入管法第61条の2の9第1項の異議申立てを含む。)手続において認定した者を含む。)の数は5人(速報値)であるところ、これらの者はいずれも、前回の難民認定申請に係る難民の認定をしない処分後に判明した新たな事情によって難民と認定されたものである。

右質問する。

[了]

[202衆-07] 200916質-櫻井周(立憲民主)_201002答-菅義偉首相 [収容・送還][PDF]

202回国会質問第7号 議院議員櫻井周議員「「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」のうち収容の在り方に関する質問主意書」(2020916日)

答弁書第7号 衆議院議員櫻井周君提出「「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」のうち収容の在り方に関する質問に対する答弁書(2020102日)

「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」のうち収容の在り方に関する質問主意書

令和元年10月、法務大臣の私的懇談会である第7次出入国管理政策懇談会の下に、「収容・送還に関する専門部会」が設置され、令和2年6月、当該専門部会から「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」が出された。今後、この提言を反映した新たな法整備がなされるとのことであるため、右提言のうち、収容の在り方に関し、以下質問する。

一 「全件収容主義」について、収容の長期化を防止するためには、全件収容主義を変更することが迅速かつ容易であると考えるが、収容期間が6カ月以上の長期に及んでいる場合にも、個人の身体の自由より「円滑な送還の実現」と「在留活動の禁止」の目的によって得られる利益が優越するとの認識か。

一について

御指摘の「個人の身体の自由より「円滑な送還の実現」と「在留活動の禁止」の目的によって得られる利益が優越する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)は、「入国警備官・・・は、退去強制令書を執行するときは、退去強制を受ける者に退去強制令書又はその写しを示して、速やかにその者を次条に規定する送還先に送還しなければならない。」(第52条第3項本文)、「入国警備官は、第3項本文の場合において、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を・・・収容することができる。」(同条第5項)と規定している。

二 「収容に関する司法審査」について以下質問する。

1 退去強制手続における収容は、身体の自由に対する重大な制約という点で、刑事手続における拘留と性質を同じくする。右提言においては、退去強制手続における収容は、三審制という慎重な手続を経ていること、事後的な司法審査によって救済を得られること、から、司法による事前審査は必要ないという意見が記載されている。この意見を前提にすると、刑事手続にも同様の仕組みを採用すれば、逮捕・勾留・保釈等の判断に司法審査が必要なくなるということになってしまうが、政府としても、右意見は退去強制手続における収容には司法審査が必要ないことの理由になりうると考えるか、見解を示されたい。

2 退去強制手続の収容において、司法審査を受ける必要性がないとの説明は存在するが、それ以外に司法審査制度を設けることの弊害は存在するか。

二について

退去強制手続における収容については、入国審査官による審査、特別審理官による口頭審理、法務大臣に対する異議の申出を経て慎重に判断することとしていること、収容に関する処分に不服があれば行政訴訟を提起することができることなどから、司法審査を行う必要性はないと考えており、そのような必要性がないにもかかわらず、退去強制手続における収容について司法審査を行うことは相当ではないと考えている。

三 手続保障について、行政手続法は「行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資すること」(行政手続法第1条)を目的としているところ、この趣旨は、収容に関する判断や在留特別許可に関する判断にも妥当する。右提言の意見にも同趣旨の指摘が複数見受けられる。したがって、出入国在留管理行政のうち、少なくとも収容に関する判断と在留特別許可に関する判断においては、可能な限り、行政手続法と同様の手続保障をすべきであると考えるが、そのことに何らかの支障は存在するか。

三について

外国人の出入国に関する処分については、国家の主権に関わる事項であるため、行政手続法(平成5年法律第88号)第2章から第4章の2までの規定は適用しないこととされており、「行政手続法と同様の手続保障」をすることは相当ではないが、可能な限り同法を踏まえた手続の保障をすることが望ましいことから、退去強制手続においては、入国警備官の請求により主任審査官が発付した収容令書又は入国警備官による違反調査を経て行われる入国審査官による違反審査、特別審理官による口頭審理、法務大臣の裁決という判断の主体を異にする慎重な手続を経て主任審査官が発付した退去強制令書により収容することとしているほか、在留特別許可についても、その基本的な考え方及び許否の判断に係る考慮事項を「在留特別許可に係るガイドライン」として公表しており、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図っている。

四 「国連機関からの勧告」について以下質問する。

1 我が国は、国連機関から、繰り返し、庇護申請者の収容は可能な限り最短にすること、難民認定手続きをノン・ルフールマン原則に一致させるよう努力すること、収容期間に上限を設けること、収容について審査の機会を確保すること、等を勧告されている(自由権規約委員会第6回日本定期報告審査に関する総括所見パラグラフ19、人種差別撤廃委員会第7回・第8回・第9回日本定期報告に関する総括所見パラグラフ23、同第10回・第11回日本定期報告に関する総括所見パラグラフ36、拷問等禁止委員会第2回日本定期報告に関する総括所見パラグラフ9、等)。これらの勧告通りに是正する努力はどのくらいなされてきたか。

2 これらの勧告は今回の法整備及びその後の運用の際の考慮要素となると考えてよいか。

四について

退去強制手続においては、従前から、個々の事案ごとに、被収容者の健康状態その他の事情を考慮して人道上の観点から配慮が必要な場合に仮放免の措置をとるなどし、また、難民認定手続においては、従前から、難民の地位に関する条約(昭和56年条約第21号。以下「難民条約」という。)第1条の規定又は難民の地位に関する議定書(昭和57年条約第1号)第1条の規定により難民条約の適用を受ける者を、難民認定申請(入管法第61条の2第1項の規定による難民の認定の申請をいう。)の内容により個別に審査して難民と認定するなど、退去強制手続及び難民認定手続の適正な運用に努めてきたところであるが、更なる適正化を図るため「収容・送還に関する専門部会」が取りまとめた報告書「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」及び「難民認定制度に関する専門部会」が取りまとめた報告書「難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)」を踏まえ、これらの報告書で示された論点について、現在、法務省において検討を行っているところである。

右質問する。

[了]

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