国会質疑等(2025年2月6日)上村英明議員(れいわ)@衆・予算委員会

発言者:上村英明議員(れいわ新選組)
日付:2025年2月6日
会議:第217回国会 衆議院 予算委員会 第6号

参照:


抜粋テキスト 

第217回国会 衆議院 予算委員会 第6号 令和7年2月6日

○上村委員 れいわ新選組の上村英明と申します。
 今日はちょっと緊張していますが、よろしくお願いいたします。
 本日は、難民の保護、特に難民申請者の保護についてお尋ねしたいというふうに思います。
 まず、法務大臣、国際的な難民の保護というのは、いつ頃から、またどのように始まったというふうに認識されておりますでしょうか。よろしくお願いします。
○鈴木国務大臣 我が国においては、難民の受入れを国際社会において果たすべき重要な責務と認識をしておりまして、昭和五十六年に難民条約、そして五十七年には難民議定書に加入をするとともに、難民認定手続に係る必要な体制を整えてきたところであります。
 我が国といたしまして、申請者ごとに申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定しているところであります。
 そして、令和五年十二月からは補完的保護対象者の認定制度が開始をされておりまして、保護すべき方々の一層確実な保護に取り組んでいるところでもあります。
 そして、難民及び補完的保護対象者とは認定しない場合であっても、人道上、本邦での在留を認めるべき者については在留を適切に認め、保護をしているところであります。
 個々の外国人の方の置かれた状況に配慮しながら、保護すべき者に在留を認めて保護していくことが重要であると私どもは認識しておりますので、引き続き適切に進めてまいりたいと思います。
○上村委員 ありがとうございました。
 今、政府の公式見解の概要を述べていただいたと思いますけれども、ちょっと私個人としては寂しいなという気はあるんですが。
 もう少し詳しく言いますと、難民保護というのは、正確には第一次大戦後に始まります。当時のドイツ、オーストリア・ハンガリー、オスマントルコ、ロシアという四つの帝国が崩壊し、本来の国家の保護を失い、あるいは財産を失い、移動を余儀なくされた人々の人権を守るために始まったのが難民の保護という活動であります。
 国際社会の成立とほぼ同じ時期に、一九三〇年に国際連盟の下にナンセン国際難民事務所が設立されます。これは、北極探検で有名なノルウェーのフリチョフ・ナンセンという方がその事務所を始められたんですけれども、同じようなことは第二次大戦後も起こります。
 皆さんはよくお分かりだと思いますが、今年は戦後八十年ですけれども、大日本帝国という国家が崩壊して、財産を失い、移動を強いられた人たち、特に日本に引き揚げてきた人たちが当時五百万から六百万いた。実は、私の家族は台湾から引き揚げてきた、そういう家庭に生まれました。ですから、本来であれば、難民の問題というのは、ここに、日本のある種の始まりがあるというふうな認識をされると大変ありがたいなというふうに思うんですけれども、残念ながら、難民条約から始まるというのが今の日本の認識だと思います。
 これはどういうことかといいますと、日本の国内にも難民の経験者というのはこの私も含めていまして、それは、難民行政が、やはり、他国からやってこられた、自分たちの経験と違う人たちなんだという認識をされるととても残念だなというふうに思います。
 それからもう一点が、今指摘したように、難民の保護は、国際社会の成立と同時に生起した普遍的な人権遵守に関わる問題であるということを御認識いただければ、道義的責任の問題であるということもかなり弱い認識だなというふうなことを考えております。
 今日の本題に入りますけれども、法務大臣、今回の予算で、従来の外務省予算から法務省に移管される難民関係の予算があると思いますけれども、どういう事業に関わるものであるか、また、移行期ということなので細かい数字はお尋ねしませんが、二〇二五年度の当該事業の予算の大枠をお示しいただければ大変ありがたいです。よろしくお願いします。
○鈴木国務大臣 いわゆる保護事業について申し上げれば、難民及び補完的保護対象者の認定申請に対する救援業務に係る金額ということで、約七・一億円でございます。
 そして、難民及び補完的保護対象者全体ということで申し上げますと、令和七年度の政府予算案、難民及び補完的保護対象者の認定申請者に対する救援業務及び難民及び補完的保護対象者に対する定住支援業務等、合わせて全体で約十二・七億円ということでございます。
○上村委員 ありがとうございます。
 今お話しになったように、外務省から今回法務省に移管される難民認定保護事業というのがございまして、それについてお話を伺ったんですけれども、皆さんにお配りしてある資料一の新聞を見ていただきたいんですけれども、これは何というテーマでやられたかというと、大臣、連載のサブタイトルには何て書いてあるか、お分かりでしょうか。
○鈴木国務大臣 先生提出のこの資料、朝日新聞の夕刊、二〇二四年十二月九日ということでございますが、ここのタイトルだけ読ませていただきますと、そのサブタイトルでしょうか、「ホームレス難民」と書いていると承知をします。
○上村委員 ありがとうございました。
 これは「ホームレス難民」と書いてあるんですけれども、ホームレスの方が難民化するという意味ではなくて、正確に言えば、難民あるいは難民申請者の方たちがこの日本でホームレス化しているという記事であります。
 この中には妊婦さんや子供さんもいるということがございまして、先ほど大臣がおっしゃられた難民認定申請者保護事業は大変重要な一つの難民行政だと思うんですけれども、こうした認定申請者の方たちはまだ就労資格がありません。さらに、こうした条件の中で何なりかの保護が必要だということで先ほどの保護事業があり、その意味があるというふうに考えているわけなんですけれども、残念ながら、その事業の恩恵を受けられずに野宿をしている難民申請者の方がこの日本にいらっしゃるという現状が報告されています。
 資料二は、難民認定申請者と保護費の受給者の割合ですけれども、保護費というのは、住居費、医療費、それから生活費などをカバーしますけれども、例えば二〇二三年には、一万三千八百二十三人の申請者に対して受給者は六百五十八名、僅か五%です。こうした状況、申請者自体がこのとき増えているんですけれども、それを踏まえても、大体五%の方たちにしかこういうものが支払われていないということがあります。
 これに追加して、次の資料三は、政府の支援で用意されたこうした難民認定申請者へのシェルターの利用者が八十八名であったという統計であります。
 こうした難民として日本に来られた方たちは、まず住むところがないという。実は、私たちの家族が帰ってきたときも親戚のうちの鳥小屋の中で何か月も過ごしました。住むところがないんです、本当に。そういう方たちのために政府がある種の緊急宿泊施設を用意はしていても、これを利用する方が少ないということがあり、民間のNGOでの施設の利用者の方が多いというこうした現状を政府はどういうふうにお考えなのか。
 特に、鈴木法務大臣は外務副大臣もやられていたので、今日の所管の予算概要の説明の中でも法務省の国際貢献ということをおっしゃられていたので、是非この辺、御意見を伺えればと思います。
○鈴木国務大臣 難民認定申請者の方々のうち、生活に困窮する方に対してということであります。
 先ほど来、資料にもありましたけれども、外務省で業務委託をしているアジア福祉教育財団難民事業本部において生活費、住居費等の保護費の支給やあるいは緊急宿泊施設の提供などの保護措置を行っているというふうに承知をしておりまして、今後、令和七年度からは、この難民の認定申請者に対する救援業務、これは法務省で実施することとなる、そういった状況であります。
 そういった中で、この提供は十分なのか、先ほど民間のお話も引かれて、十分なのかという、そういったことがございましたが、現在、外務省の委託事業として実施をされている難民認定申請者に対する保護費の支給やあるいは緊急宿泊施設の提供につきましては、難民認定申請者の方々のうち生活に真に困窮する方々が適正な保護を受けられるように、難民認定申請者の方々の生活状況の調査を行った上で総合的に判断をしていると私どもとしては承知をしております。
 入管庁に移管後ということでありますが、適正な保護をしっかり実施していけるように、私どもとしても最大限の努力を行ってまいりたいと思っております。
○上村委員 ありがとうございました。
 もちろん、調査をして抜本的な制度の改革をしていただくというふうな意味だというふうに思いますので、それは高く評価したいなと思うんですけれども、例えば、これから冬が、まだまだ寒い時期が来ますので、できれば緊急対応を、何か手法があれば、先ほどおっしゃったように、委託先は難民事業本部があるんですけれども、現状でも入管庁からも予算は出ていると思いますので、何かいいアイデアがあれば、こうした難民の方たちがホームレスにならない国というのを是非実現していただきたいと思います。
 さらに、最後になりますけれども、現行の難民政策は、難民の認定基準とか、それから認定手続、基準に関しても問題があるというふうに言われていますし、私もそう思っているんですけれども、将来的には、出入国管理に含めるだけではなくて、難民基本法のような特別立法に向かってかじを切るようなことがあるべきかなというふうに思っています。
 その辺は、最後に、法務大臣、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 今おっしゃった、特化した法律あるいは第三者機関のようなものという趣旨だと思いますけれども、難民等認定手続とその他の出入国在留管理行政上の様々な手続とは、上陸時に庇護を求める者への対応であったり、あるいは、難民認定等を申請中の者や難民又は補完的保護対象者と認定された者に係る在留管理、難民不認定等が確定した者に係る迅速かつ確実な送還といった点が密接に関連をしているものでありまして、こうしたことから、認定業務については出入国在留管理庁において行うことが適当だと考えておりますし、また、そういったことから、第三者機関あるいは難民に特化した法律が必要であるとは、私どもとしては考えておりません。
○安住委員長 時間が参りましたので。
○上村委員 どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

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