法相会見(2023年7月4日)難民審査参与員等

法務大臣閣議後記者会見の概要 令和5年7月4日(火)(外部リンク:法務省ウェブ


難民審査参与員等に関する質疑について 

【記者】
 難民審査参与員についてお尋ねします。齋藤大臣は、柳瀬氏の発言に疑義があると指摘された後も、柳瀬氏以外にも同様の発言をしている参与員がいるという主張を繰り返し、難民はほとんどいないという柳瀬氏の認識を追認する発言を繰り返してきました。ところが、現在、難民審査参与員を務めているあるいは務めていた元参与員の方々からも、柳瀬氏の審査には大きな疑問の声が上がっています。なぜこのような難民審査参与員の方々の声を無視し続けるのでしょうか。柳瀬氏の発言と比べて、大臣にとっては重く受け止める必要のない声ということだと思われますが、いかがでしょうか。なお、大臣が柳瀬氏の発言を信頼する根拠として、長年のNGOでの経験などを挙げられていましたが、柳瀬氏は、自身が名誉会長を努めるNGOから、先日、事実上の解任をされています。当該団体は、現在の日本における難民受入れ審査に関する専門性は有していないことも明言されています。大臣が柳瀬氏の発言を重く受け止める根拠も改めて御説明ください。

【大臣】
 これも、恐縮ですけれども何度もお話ししている話ですが、御質問ですのでお答えします。
 柳瀬氏は、難民認定に対する知識及び経験が豊富かつ長年にわたって難民の支援に真摯に取り組んでいる方であり、その知識及び経験等に基づく御発言は、重く受け止めるべきと私は考えています。
 その上で、これも何度もお答えしていますが、柳瀬氏だけではなくて、本年の参議院法務委員会において、参考人となった3名の参与員及び元参与員の方も、ごく一部の事案でしか難民認定すべきとの意見を出さなかった旨を述べられております。
 さらに、難民不認定処分の適否が争われた訴訟において、平成30年から令和4年の過去5年間で109件中104件で国が勝訴しているわけであります。誤解してほしくないですが、5件と少なかったから良いとか悪いとか言っていません。この5件についても、なぜそうなったかというのをしっかり検証して次にいかしていかなければならないと思っていることは、付け加えさせていただきたいと思っています。
 つまり、柳瀬氏以外の方の御発言や訴訟の状況も、柳瀬氏の御発言を裏付けるものになっていると、私は思います。私は、なかなか見つからないという傾向について述べているわけでありまして、強いて言えば、申請者の中に難民がいるとかいないとかを述べているものではありませんので、そこは御理解いただきたいというふうに思っています。
 それから、NPO法人の名誉会長退任の件です。これはもちろん法人内部の事情であるため、私が所感を述べることは差し控えたいというふうに思います。

【記者】
 割振りが年間1,000件以上、柳瀬さんに振っている一方で、認定率が上がった途端に年に1件か2件、若しくはもっと減ってしまったという、そういう方の参与員の話も出てきました。割振りに関しては、はっきり言って入管庁が差配しているゆえに、不当な、一部の参与員に異常に偏った割当てがあると思います。これ、見直すかと言う点と、それから、昨日、中日新聞が報じていますが、名古屋で、改正入管法成立後に、ウガンダ国籍の少年17歳と母子4人に、これまでお父様と弟たちには認められていましたが、認められていなかった母子4人に在留特別資格が与えられたと。これは、入管法改正をめぐる議論でこどもの利益ということが、法案審議で度々指摘されていました。これを受けてではないかということですが、この4人に資格を認めたということですけれども、これが、大臣がこれから検討したいと言った、強制退去令書が出ていて強制送還の対象となっている18歳未満の201人、この中にいた4人、こどもさんだと3人なのかと。お姉さんが20歳なので、もしかしたら含まないかもしれませんが、少なくともこの少年と中学生の弟、17歳14歳は、201人の中に含まれていたかというのをお聞かせいただきたいのと、やはりそこでも、在特は認めたけれども、お母さんとお姉さんには就労が認められていないと、理由も言わないと。やはり理由が不明確であり、ひたすら大臣の裁量に任せられているというところにも、まだ疑問が出ています。これをどう受け止めるか。

【大臣】
 一つ目は、柳瀬さんの審査件数の話がありました。これも今まで何度もお答えしていますけれど、難民審査参与員があらかじめ定めた3人の参与員によって構成された、まず常設班に所属しています。他の常設班への応援や、迅速な審理が可能かつ相当な事件を重点的に配分している臨時班に掛け持ちで入ることに御協力いただける場合には、他の参与員よりも担当する処理件数が多くなると。これは通常である反面、参与員としての職務以外の仕事をお持ちの方もたくさんおられますので、そういった参与員としての職務以外の職務の状況ですとか、御本人の御家族の状況ですとか、異なる専門分野の難民審査参与員によって班が構成されるよう配慮するなどの事情から、処理件数が少なくなる方ももちろんあるわけであります。その上で、申し上げたような結果になっているということでありますので、柳瀬さんだからとか、そういうことは運用でしていないということを強く申し上げておきたいと思っております。
 それから、二つ目のウガンダの件ですけれども、まず、これは私がかねがね申し上げている、在留資格のないこどもやその親の問題につきましては、できるだけ早く結論が出せるよう、今、精査しているところという状況は変わりありません。
 御指摘の件につきましては、個別事案に関するものでありますので、詳細についてお答えを差し控えますが、個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に考慮して適切に在留特別許可の許否を判断した結果、そのような報道に結び付くようなことになったということでありますので、もっと有り体に言えば、私が検討しているものと直接の関係はないということです。

【記者】
 201人には入らないということですね。

【大臣】
 入らないと言うか、私の言うものは精査をしていますので、前も申し上げたように一刀両断でなかなかできない話でありますので、それ(その検討)と本件は直接関係ないということです。


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