法相会見(2023年8月8日)送還忌避者のうち本邦で出生したこどもの在留特別許可に係る対応方針

法務大臣閣議後記者会見の概要 令和5年8月8日(金)(外部リンク:法務省ウェブ


送還忌避者のうち本邦で出生したこどもの在留特別許可に係る対応方針に関する質疑について 

【記者】
 先週末の金曜日に大臣が発表されました、こどもへの在留特別許可、特例ですね、措置ですね。これについて色々な波紋が広がっております。この措置についてですね。色々お聞きしてみますと、全難連、移住連などもコメントを発表して、それから色々な当事者の方々の声も聞こえてきたのですけれども、一定程度、この方針については評価されると。今まで入管庁の論理だけではできなかったことを大臣の御決断でやられたということは、非常に有り難いことという評価の一方で、やはりこれは限定的であると。線引きの合理性がなかなか見えてこない部分があると。例えばこどもの年齢で、生まれているかどうかで区別してしまうと、2歳で日本に連れてこられて17歳まで育っている子は対象にならない一方で、日本で生まれて、小学生のこどもは対象になると。これは日本に基盤があるかどうかということを本質的に考えた場合、全く差はないのですけれども実際には。日本で出生しているかどうかで区別してしまうと、ここに合理性がない。例えば、相当期間を日本で育っている、日本で生まれていなくても6割は日本で過ごしていると、こういう説明であれば一定程度の合理性があると思うのですけれども、日本で出生したかどうかということを区別の対象にする、これは全く合理性がない。普通に考えてわからない。その辺についての疑問が多いです。
 それから親の不法行為によってこどもが一緒に帰国させられてしまうと、これについても入管庁は今まで、最低でも親が不法で入国した場合もこどもについては在留特別許可を与えるというようなことを、これも問題があるのですけれども、分断になってしまうので。最低でもそういうことをやってきたのにそれよりむしろ後退してしまうのではないかと。結局、大臣は5月17日の国会答弁で18歳未満の295人のこどもについては真剣に考えるのだというふうにおっしゃっていたのですけれども、結局、蓋を開けてみれば140人、半分以下なんですね。なので、基準が厳しいところ、ここについて再考される余地はあるのか、運用で再考されるかどうか、もうちょっと柔軟にやられるかどうか教えてください。

【大臣】
 改めて考えを御説明する必要があるかなと思うのですけども、前提として今回の方針の検討対象となりましたのは、既に退去強制令書が発付されて我が国から退去が確定した違法状態が継続しているこどもについてです。このときバランスの問題を前回もお話しさせていただきましたけれど、仮にこどものみに在留特別許可を与えるものとすれば、こどもの生活が立ちゆかなくなってしまいかねず、一方で、帰責性のある親を含めて無条件に在留特別許可を与えた場合には、適正な出入国在留管理行政に支障が生じかねないという、このバランスの中で、今回の方針は適正な出入国在留管理行政を維持しつつ、できる限りそのようなこどもの保護を図るというバランスを実現していきたいということでした。これも前回御答弁したと思うのですけれども、どこかで線を引かなくてはいけないわけでありますけれども、おっしゃるように生まれた後に来た場合につきましても、今、新たなガイドラインの策定を行って在留特別許可の見直しを行っているところでありまして、未成年者であるかどうかにかかわらず、要するにこどもであるかどうかにかかわらず、入管法改正法施行前に、退去強制令書が発付された不法滞在者全体を対象として適用される在留特別許可の判断の在り方に関する見直しを検討中であります。その中で、家族の関係についてもガイドラインで規定をしていくということになりますので、そこで今回漏れた人たちについても個別に判断をされていくということになるということであります。
 やはり私、色々な批判を受けていますけれども、前回も申し上げたように、バランスを取るということについて非常に難しい問題であると考えながらも、決断したわけですので、あらゆる批判は甘受せざるを得ないと思っていますけれども、私の考えとしては、今回の方針というものが先ほど申し上げました、相矛盾する二つの要請をなんとかクリアする最善なのだというふうに考えております。

【記者】
 実際問題として、こういうケースは多いと思うのですけども、両親がいてお姉ちゃんは中学校3年生だと、だけど2歳のときに来ていると。だけど、弟さんは日本で生まれて今、小学校の6年生だと。こういうケースはすごく多いと思うのですよね。この場合は、弟は日本生まれ、お姉ちゃんは日本生まれじゃないけど日本で大半を過ごしている。このケースはどういうふうに判断されるか。
 それからもう一つ、そもそも発表された後、当事者の方とか弁護士の方もこの問題については関心がある、自分の人生が決まる話ですから。なので、これは速やかに分かりやすい言葉でホームページで公表すべきだと思うのですけども全く公表されていない。不安ばっかり呼んでいると。早く公表すべきではないでしょうか。

【大臣】
 いずれにしても前者の質問につきましては、先ほど申し上げたように、今回の措置の対象にはなりませんが、新しいガイドラインの中で個別のケース、例えば両親がどういうケースかなど、総合的に判断しなくてはいけないので、私がこの場で今のケースは良いですとか悪いですとかと言うことはできないというのは御容赦いただきたいなというふうに思います。
 それから公表につきましては、どういう状況になっているか、今確認しないといけませんので。私としては記者会見で一生懸命説明させていただいたつもりなのですけれども。またこの間の答弁で申し上げましたけれど、今回の措置に必要な作業については、出入国在留管理庁から地方入管局に対して、必要な作業に着手するよう、既に(先週)金曜日の午後に指示をしています。入管法の施行を待たずに、順次、在留特別許可の許否判断を行っていくように指示はしています。ただホームページでの公表については確認をさせていただきたいと思います。


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