国会質疑等(2022年6月14日)石橋通宏議員(立憲民主・参)質問主意書への政府回答[難民保護]

我が国における難民認定の状況に関する質問主意書(外部リンク:参議院ウェブ

提出者:石橋通宏議員(立憲民主党)
番号:第208回国会 質問57号
提出日:2022年6月3日
答弁書受領日:2022年6月14日

[208参-57]220603質-石橋通宏(立憲)_220614-岸田文雄首相 [難民認定状況](合体版)[PDF・432KB]

我が国における難民認定の状況に関する質問主意書

一 難民認定の実態について

1 難民認定申請者について

(1) 2020年末及び2021年末時点で、難民認定申請中の者の数を示されたい。

(2) 2020年末及び2021年末時点で、審査請求(行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律による改正前の出入国管理及び難民認定法第61条の2の9第1項の規定による異議申立てを含む。以下同じ。)中の者の数を示されたい。

一の1の(1)及び(2)について

令和2年末時点で難民認定申請(出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)第61条の2第1項の難民の認定の申請をいう。以下同じ。)中の者の数及び審査請求(入管法第61条の2の9第1項の審査請求をいい、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第69号)第75条の規定による改正前の入管法第61条の2の9第1項の異議申立てを含む。一の4の(1)についてを除き、以下同じ。)中の者の数は、それぞれ1万7,061人及び6,660人である。

令和3年末時点で難民認定申請中の者の数及び審査請求中の者の数は、それぞれ、1万3,324人(速報値)及び3,295人(速報値) である。

(3) 2021年の難民認定制度の「濫用」の件数を示されたい。

一の1の(3)について

令和3年に地方出入国在留管理局等(地方出入国在留管理局及び地方出入国在留管理局支局をいう。以下同じ。)における振り分けの段階で明らかに濫用・誤用的な案件として振り分けられたB案件又はC案件(「難民認定事務取扱要領」(平成17年5月13日付け法務省管総第823号法務省入国管理局長通知)に「B案件」又は「C案件」として一記載されているものをいう。以下同じ。) の数は、B案件が33件であり、C案件が1,196件である。

(4) 2022年5月に公表された「令和3年における難民認定申請者数等について」によれば、2021年の難民認定申請者のうち、402人が二十歳未満であった。そのうち、難民認定申請時に在留資格を有していなかった件数を示されたい。

一の1の(4)について

令和3年に難民認定申請をした者のうち、難民認定申請時に二十歳未満であったもので在留資格を有していなかったものの数は214人(速報値) であり、このうち入管法第22条の2第11項の規定により本邦に在留していたものの数は156人であり、不法に本邦に在留していたものの数は58人(いずれも速報値) である。

(5) 2022年5月に公表された「令和3年における難民認定申請者数等について」によれば、2021年に仮滞在を許可した者は29人であった。このうち、二十歳未満の者の数とその年齢の内訳を示されたい。

一の1の(5)及び二の3について

令和3年に仮滞在許可(入管法第61条の2の4第1項の仮滞在の許可をいう。以下同じ。)を受けた者のうち、仮滞在許可を受けた時点で二十歳未満であったものの数は9人(速報値)であり、その年齢別の内訳は、0歳が6人、1歳が3人(いずれも速報値)である。

また、同年に仮滞在の許否の判断をした者のうち、東京出入国在留管理局成田空港支局(以下「成田空港支局」という。)、東京出入国在留管理局羽田空港支局(以下「羽田空港支局」という。)、名古屋出入国在留管理局中部空港支局(以下「中部空港支局」という。)及び大阪出入国在留管理局関西空港支局(以下「関西空港支局」という。)におけるお尋ねの「仮滞在が許可された人数及び許可されなかった人数」については、いずれも0人である。なお、その余のお尋ねについては、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

2 難民認定者及び人道配慮による在留許可者について

(1) 2021年に難民として認定された者(審査請求手続における認定者を含む。以下同じ。)のうち、複数回申請者及び退去強制令書発付後に難民として認定された者の数を示されたい。

(2) 2021年に難民としては認定されなかったものの、人道的な配慮により在留を認められた者(審査請求手続の結果、在留を認められた者を含む。以下同じ。)のうち、複数回申請者及び退去強制令書発付後に在留特別許可された者の数を示されたい。

一の2の(1)及び(2)について

令和3年に難民と認定した者(審査請求手続において認定した者を含む。)74人のうち、2回目以降の難民認定申請に対して難民と認定したものの数は4人(速報値)であり、退去強制令書発付後に難民と認定したものの数は2人(速報値) である。

また、同年に難民と認定しなかったものの、人道上の配慮を理由に在留を認めた者580人のうち、2回目以降の難民認定申請に対して難民と認定しなかったものの、人道上の配慮を理由に在留を認めたものの数は123人(速報値) であり、退去強制令書発付後に在留を特別に許可したものの数は114人(速報値) である。

(3) 2017年から2021年(全期間の統計がとれていない場合はとれている期間)に難民として認定された者全てについて、難民認定申請から難民の認定を受けるまでに要した期間を示されたい。

(4) 難民認定事務取扱要領は、難民認定申請案件を「難民条約上の難民である可能性が高い案件、又は、本国が内戦状況にあることにより人道上の配慮を要する案件」(A案件)、「難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を主張している案件」(B案件)、「再申請である場合に、正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返している案件」(C案件)及び「上記以外の案件」(D案件)の四類型(以下「四類型」という。)に振り分けている。2019年から2021年(全期間の統計がとれていない場合はとれている期間)に難民として認定された者について、四類型別の内訳を明らかにされたい。

(5) 前記一2(3)及び前記一2(4)において、仮に「通常の業務において集計しておらず」、「膨大な時間を要することから、お答えすることは困難」である場合は、通常の業務において集計していない理由及び集計に要する時間の見込みを示されたい。

一の2の(3)から(5)までについて

お尋ねについては、集計に当たって難民認定申請の受付及び処分を行う地方出入国在留管理局等に調査を行わせ、その結果を精査するなどの作業に膨大な時間を要することから、通常の業務において集計していないものであり、お尋ねの「集計に要する時間の見込み」を含め、お答えすることは困難である。

(6) 2021年に難民として認定された者のうち、いわゆる「新しい形態の迫害」に当たる者は含まれているか。含まれているのであれば、その人数及びどのような迫害を受けていたのかを明らかにされたい。

一の2の(6)及び六の2について

御指摘の「いわゆる「新しい形態の迫害」」に係る御指摘の「仕組み」の内容については、難民審査参与員からの提言や諸外国の実例なども参考にしながら、現在においても引き続き検討中であり、このいわゆる「新しい形態の迫害」」を受けたことを理由に令和3年に難民の認定を受けた者はいない。

(7) 2021年に難民として認定された者のうち、性的指向及び/又はジェンダー・アイデンティティを理由として難民と認定された者は含まれているか。含まれているのであれば、その人数及び「認定者の認定事由」のどれに当たるかを明らかにされたい。

一の2の(7)について

お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

(8) 2021年に難民として認定された者のうち、不服申立てで「理由あり」とされた者(難民認定者)9人の国籍の内訳を示されたい。

一の2の(8)について

令和3年に難民として認定された者のうち、不服申立てで「理由あり」とされた者9人の国籍別の内訳は、イランが2人、ウガンダが2人、中国が2人、ガーナが1人、カメルーンが1人、パキスタンが1人である。

3 一次審査について

(1) 2022年5月に公表された「令和3年における難民認定者数等について」によれば、2021年の一次審査の平均処理期間は約2月と、2010年以降最長を記録している。本来、難民認定申請は速やかに処理されるべきだが、処理期間が長期化している理由について、政府の見解を示されたい。

一の3の(1)について

平成22年から平成29年まで難民認定申請数が増加を続けていたことに伴い、審査期聞が長期化している未処理案件が生じていた中で、それらを集中的に処理したことから、難民認定申請から処理までに要した期間の平均が長期化したものであると考えている。

(2) 2021年にD案件に振り分けられた1,145人のうち、現に有する在留資格(「短期滞在」及び別表第二の在留資格を除く。)に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を行った又は出国準備のために在留を認められた期間に難民認定申請を行ったとされた者の数を示されたい。

一の3の(2)について

お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

4 審査請求について

2022年5月に公表された「令和3年における難民認定者数等について」によれば、2021年に不服申立てに「理由あり」とされた者及び「理由なし」とされた者のうち、720人に口頭意見陳述等期日が実施され、6,021人には口頭意見陳述等期日が実施されていない。また、口頭意見陳述等期日を実施しなかった者のうち、3,198人が口頭意見陳述の申立てを放棄したとされている。

(1) 口頭意見陳述の開催を希望した審査請求人について、口頭意見陳述の機会を与えるか否かを、難民審査参与員以外が判断することはあるか。

一の4の(1)について

口頭意見陳述(行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「新法」という。)第31条第1項本文に規定する意見の陳述をいい、新法による改正前の行政不服審査法(昭和37年法律第160号。以下「旧法」という。)第48条において準用する旧法第25条第1項ただし書に規定する口頭で意見を述べる機会を含む。以下同じ。) の申立てをした者に対し、その機会を与えるか否かは、審査請求(入管法第61条の2の9第1項の審査請求をいう。)においては審理を主宰する難民審査参与員が判断し、異議申立て(行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第75条の規定による改正前の入管法第61条の2の9第1項の異議申立てをいう。) においては難民調査官が難民審査参与員の意見を聴いた上で判断している。

(2) 2016年9月9日に開催された難民審査参与員協議会の議事概要メモにおいて、「・・・行政不服審査法上では、本人から審査請求があると直ちに各班に割り振らなければならないとされているところ、2年先に手続開始の可能性があるものを現時点で各班に割り振るというのは効率的な運用の面で問題がある。そこで、臨時的措置として、難民認定制度に関する知識又は経験の豊富な参与員にお願いして、臨時的措置による臨時班を編制し、そこに形式的に案件を割り振り、具体的事案を見て早期案件か否か判断し、早期処理案件であれば臨時的措置による臨時班で早期処理を行い、早期処理案件に該当しなければ指名替えを行い、常設班への割振りを行うという形をとり効率的な処理を行っていきたいと考えている。」と当時の審判課長が述べているが、現在においても早期案件か否かの判断が「臨時班」においてされているか否か、現在は「臨時班」において判断されていない場合はいつまでされていたかを明らかにされたい。

一の4の(2)について

現在においても、臨時的措置として、必要に応じて事件を「臨時班」に配分した後、当該「臨時班」おいて早期処理が見込めないと判断した場合、当該事件を他の班に配分することがある。

(3) 2022年4月21日時点の難民審査参与員118人のうち、「臨時班」に関与している難民審査参与員の人数を示されたい。

一の4の(3)について

お尋ねの「「臨時班」に関与している難民審査参与員」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

(4)口頭意見陳述等の期日が実施されていない6,021人のうち、口頭意見陳述の開催を希望したにもかかわらず、口頭意見陳述等の期日が実施されなかった人数について、①合計及び所管地方局別の人数、②判断をした難民審査参与員の班がある事務局設置局別(東京・名古屋・大阪)の人数をそれぞれ示されたい。

一の4の(4)について

審査請求に係る口頭意見陳述及び質問(新法第36条に規定する質問をいい、旧法第48条において準用する旧法第30条に規定する審尋を含む。)の期日が聞かれなかった6,021人のうち、口頭意見陳述及び質問を申し立てたが、期日が聞かれなかった人数の合計は、2,823人である。

その余のお尋ねについては、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

(4) 口頭意見陳述等の期日が実施された720人のうち、原処分庁への質問が申し立てられた件数、及びそのうち原処分庁が口頭意見陳述の期日に招集された件数を示されたい。

一の4の(5)について

お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

5 訴訟について

難民不認定処分取消請求訴訟及び難民不認定処分無効確認請求訴訟について、2021年に提起された件数及び終局裁判がなされた件数をそれぞれ明らかにされたい。加えて、難民不認定処分の取消し若しくは無効が確定した後、又は、難民認定処分の義務付け訴訟で国側が敗訴した後、難民認定がなされず、在留資格が付与されなかったケースはあるか。あれば、その理由について、政府の見解を示されたい。

一の5について

出入国在留管理庁において把握しているところでは、難民不認定処分取消請求訴訟及び難民不認定処分無効確認請求訴訟について、令和3年に提起された件数は35件、同年に終局裁判がなされた件数は第一審、控訴審及び上告審の合計で26件である。

また、同年において難民不認定処分取消請求訴訟、難民不認定処分無効確認請求訴訟又は難民認定義務付け訴訟における国の敗訴が確定した事案はない。

6 本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置の実施状況について

(1) 2021年末時点で難民認定申請中のミャンマー人2,889人のうち、非正規在留者の192人について、難民認定申請を行った年の内訳を明らかにされたい。

(2) 2021年に複数回申請を行ったミャンマー人248人のうち、A案件及びC案件に振り分けられた者の数を明らかにされたい。

一の6の(1)及び(2)について

お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

(3) 「人道的な配慮を理由に在留を認めた」とされるミャンマー人498人のうち、難民とは認定されなかった456人について、一年未満の在留資格が付与された者は含まれるか。456人に対して付与された在留資格の内訳と併せて明らかにされたい。

一の6の(3)について

お尋ねの「「人道的な配慮を理由に在留を認めた」とされるミャンマー人498人のうち、難民とは認定されなかった456人」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

(4) 「人道的な配慮を理由に在留を認めた」とされるミャンマー人498人のうち、難民認定手続の結果が出ていない42人について、在留資格の内訳を明らかにされたい。

一の6の(4)について

お尋ねの「「人道的な配慮を理由に在留を認めた」とされるミャンマー人498人のうち、難民認定手続の結果が出ていない42人」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

(5) 2021年末時点で難民認定手続中かつ緊急避難措置に係る在留資格「特定活動」を有しているミャンマー人1,730人のうち、42人について「人道的な配慮を理由に在留を認めた」とした理由について、政府の見解を明らかにされたい。

一の6の(5)について

お尋ねの「2012年末時点で難民認定手続中かつ緊急避難措置に係る在留資格「特定活動」を有しているミャンマー人1,730人のうち、42人について「人道的な配慮を理由に在留を認めた」」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

(6) 2021年5月に公表された「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」では、「難民認定申請者については、審査を迅速に行」うとされていた。2021年末時点で難民申請中のミャンマー人の数は2,889人にのぼるが、迅速な審査が行われているといえる状況か、政府の見解を明らかにされたい。

一の6の(6)について

お尋ねの「迅速な審査が行われているといえる状況か」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、引き続き迅速な案件処理に努めていく考えである。

二 空港等での庇護申請関係の統計について

政府は2015年9月から「難民の迅速かつ確実な庇護」を推進するための難民認定制度の運用の見直しを行っているという。空港は難民保護のまさに最前線であり、上陸審査時に難民認定申請を希望した者に適切に対処できているかどうかは、「難民を迅速に庇護」できているか否かを示す、重要な指標である。

1 2020年及び2021年に一時庇護上陸許可を申請した者の数及び許可状況を国籍別に示されたい。

二の1について

令和2年に一時庇護上陸許可(入管法第18条の2第1項の一時庇護のための上陸の許可をいう。以下同じ。) の申請をした者の数は7人であり、その国籍・地域別の内訳は、イランが3人、イエメンが1人、カメルーンが1人、シリアが1人、南スーダンが1人である。同年に一時庇護上陸許可を受けた者の数は、南スーダンが一人である。

令和3年に一時庇護上陸許可の申請をした者の数及び一時庇護上陸許可を受けた者の数は、現在集計中であり、現時点でお答えすることは困難である。

2 2018年から2021年の我が国の空港支局等における難民認定申請件数を、申請が行われた空港支局別(成田・羽田・中部・関西)及び福岡空港出張所について年別に示されたい。

二の2について

過去4年間に、地方出入国在留管理局の各空港支局及び福岡出入国在留管理局福岡空港出張所(以下「福岡空港出張所」という。) において、難民認定申請を行った者の数は、成田空港支局については、平成30年が23人、平成31年及び令和元年が17人、令和2年が7人、令和3年が0人、羽田空港支局については、平成30年が1人、平成31年及び令和元年が2人、令和2年が1人、令和3年が1人、中部空港支局については、平成30年が0人、平成31年及び令和元年が0人、令和2年が0人、令和3年が0人、関西空港支局については、平成30年が1人、平成31年及び令和元年が2人、令和2年が0人、令和3年が0人、福岡空港出張所については、平成30年が0人、平成31年及び令和元年が0人、令和2年が0人、令和3年が0人である。

3 2022年5月に公表された「令和3年における難民認定者数等について」によれば、2021年に仮滞在を許可した者は29人、仮滞在の許否を判断した人数は625人である。そのうち、空港支局等(成田・羽田・中部・関西空港支局及び福岡空港出張所)において仮滞在が許可された人数及び許可されなかった人数をそれぞれ明らかにされたい。

一の1の(5)及び二の3について

令和3年に仮滞在許可(入管法第61条の2の4第1項の仮滞在の許可をいう。以下同じ。)を受けた者のうち、仮滞在許可を受けた時点で二十歳未満であったものの数は9人(速報値)であり、その年齢別の内訳は、0歳が6人、1歳が3人(いずれも速報値)である。

また、同年に仮滞在の許否の判断をした者のうち、東京出入国在留管理局成田空港支局(以下「成田空港支局」という。)、東京出入国在留管理局羽田空港支局(以下「羽田空港支局」という。)、名古屋出入国在留管理局中部空港支局(以下「中部空港支局」という。)及び大阪出入国在留管理局関西空港支局(以下「関西空港支局」という。)におけるお尋ねの「仮滞在が許可された人数及び許可されなかった人数」については、いずれも0人である。なお、その余のお尋ねについては、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

三 難民認定申請者の収容について

1 2021年末時点で出入国在留管理庁の収容施設に収容されていた者の数と、そのうち、難民認定申請中、審査請求中及び難民不認定処分の取消しを求める訴訟係属中の者の数をそれぞれ明らかにされたい。

三の1について

令和3年末時点で出入国在留管理庁の収容施設に収容されていた者の数は124人(速報値) であり、このうち、難民認定申請中のものの数は13人、審査請求中のものの数は6人(いずれも速報値)であるが、難民不認定処分取消請求訴訟係属中のものの数については、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

2 2020年6月に公表された報告書「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」では、「仮放免を不許可とする場合及び仮放免の取消処分をする場合は、その理由をより具体的に告知するものとすることを検討すること」及び「一定期間を超えて収容が継続する場合にその要否を吟味する仕組み」を設けることを検討することを求めている。これらはそれぞれ法改正を要しない施策と考えるが、政府の見解を示すとともに、現在の検討状況を示されたい。

三の2について

お尋ねの「施策」については、過去の国会における御議論等も踏まえ、法改正の要否を含め検討しているところである。

四 保護費の支給状況について

1 2021年度(全期間の統計がとれていない場合はとれている期間。以下四5まで同じ。)について、保護費を申請した者の数、保護費を受給していた者の数をそれぞれ明らかにされたい。

四の1について

令和3年度において、難民認定申請をしている者のうち生活に困窮するものにする支援としてする保護費の支給(以下「保護措置」という。) の申請をした者の数は、148人であり、保護措置を受けた者の数は、250人である。

2 2021年度に保護費を受給していた者の申請から受給決定までの平均待機期間、平均受給期間をそれぞれ示されたい。

四の2について

外務省においては、難民認定申請者保護事業等の実施を公益財団法人アジア福祉教育財団難民事業本部(以下「委託先」という。) に委託しているところ、令和3年度における、委託先が保護措置の申請を受け付けてから保護措置を開始して差し支えない旨の結果通知を同省から受けるまでの期間の平均は、約85日である。

また、同年度における保護措置を受けた者の平均受給期間は、約18箇月である。

3 2021年に保護費を申請したが受給できなかった者の数、国籍の内訳、申請から結果が出るまでの平均待機期間を明示されたい。

四の3について

令和3年において、保護措置の申請をしたものの保護措置の開始が不適当と判断された者の数は、67人であり、その国籍は、イラン、ウガンダ、エジプト、カメルーン、ガンビア、ジンバブエ、スリランカ、セネガル、タンザニア、中国、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、マリ及びミャンマーである。

また、同年における、委託先が当該申請を受け付けてから保護措置の開始が不適当である旨の結果通知を外務省から受けるまでの期間の平均は、約146日である。

4 2021年度の難民認定申請者緊急宿泊施設(以下「ESFRA」という。)の利用者数を性別、国籍別に示されたい。また、保護費の申請からESFRAの利用開始までの平均日数、最短日数及び最長日数をそれぞれ示されたい。

四の4について

令和3年度において、保護措置の対象者のうち直ちに住居を確保する必要があるものに対する支援として提供している難民認定申請者緊急宿泊施設(以下「緊急宿泊施設」という。)を利用した者の数は、4人であり、その男女別の内訳は、男性が2人、女性が2人であり、国籍別の内訳は、カメルーンが1人、ガンビアが1人、コンゴ民主共和国が1人、セネガルが1人である。

また、保護措置の申請から緊急宿泊施設の利用開始までの平均日数は約20日、最短日数は0日、最長日数は78日である。

5 2021年度について、①保護費、②生活費、③住居費、④医療費のそれぞれの支給額を示されたい。また、2021年度のESFRAの予算額及び執行額をそれぞれ示されたい。

四の5について

お尋ねの令和3年度の支給額は、①保護費が1億520万8,931円、②生活費が6,850万7,254円、③住居費が2,628万5,044円、④医療費が1,041万6,633円である。

また、同年度の緊急宿泊施設の予算額は、300万9,600円であり、執行額は、現在精算の手続を行つているところであり、現時点で具体的な金額をお示しすることは困難である。

五 「送還忌避者の実態」について

2019年10月に公表された「送還忌避者の実態について」で示した以下の事項について、2021年末時点での統計を示されたい。

1 「送還忌避」被収容者について

(1) 退去強制令書の発付を受け、収容中の者の数

(2) 被収容者のうち送還を忌避する者の数及びその国籍の内訳

(3) 前記五1(2)のうち有罪判決を受けている者の数及び「犯罪の態様」の内訳

(4) 前記五1(2)のうち退去強制処分を複数回受けている者の数

(5) 前記五1(2)のうち仮放免中の逃亡や条件違反により仮放免が取り消された上で再収容されている者の数

(6) 前記五1(2)のうち難民認定申請を行ったことがある者の数及びその国籍の内訳

(7) 前記五1(2)のうち複数回の難民認定申請を行ったことがある者の数及びその国籍の内訳

(8) 前記五1(2)のうち退去強制令書の発付後に初めて難民認定申請した者の数及びその国籍の内訳

五の1について

お尋ねの各数値のうち、令和3年末時点の「(8)前記五1(2)のうち退去強制令書の発付後に初めて難民認定申請した者の数及びその国籍の内訳」については、集計を行っておらず、その余の(1)から(7)までの各数値は、現在集計中であり、現時点でお答えすることは困難である。

2 退去強制令書の発付を受け、仮放免中の者の数

五の2について

令和3年末時点で退去強制令書の発付を受けて仮放免されていた者の数は4,174人である。

3 2021年末時点及び現時点で拒食継続中の者の数

五の3について

出入国在留管理庁が各収容施設からの報告に基づいて把握した拒食中の被収容者の数は、令和3年末時点で0人、令和4年6月8日時点で1人(いずれも速報値)である。

六 難民認定制度のあり方について

1 2014年12月に公表された「難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)」は、「難民該当性に関する判断の規範的要素を、我が国でのこれまでの実務上の先例や裁判例を踏まえ、また,UNHCRが発行する諸文書、国際的な実務先例及び学術研究の成果なども参照しつつ、可能な限り一般化・明確化することを追求するべきである」と提言している。この「一般化・明確化」について、現在の検討状況及び今後の作業予定を示されたい。

また、私が提出した「我が国における難民認定の状況に関する質問主意書」(第204回国会質問第82号)に対する答弁書(内閣参質204第82号、以下「前回答弁書」という。) の「一の2の(7)」で「UNHCRの意見を聴くことを予定している」とされているが、現在までのUNHCRとの協議の状況を明らかにされたい。

六の1について

御指摘の「一般化・明確化」については、難民認定制度の透明性向上の観点から、現在、我が国及び諸外国の実例や国連難民高等弁務官事務所(以下「UNHCR」という。)が公表した文書なども参考にしながら検討中であり、所要の作業が終わり次第、できる限り早期に公表する予定である。

また、お尋ねの「UNHCRとの協議の状況」については、UNHCRとの間で意見交換を継続的に実施しているところである。

2 法務省は、2015年9月に公表した「難民認定制度の運用の見直しの概要」の5の(1)においていわゆる「新しい形態の迫害」を申し立てる者が難民条約の適用を受ける難民の要件を満たすか否かの判断に関して「難民審査参与員が法務大臣に提言をし、法務大臣がその後の難民審査の判断に用いるようにするための仕組み」を構築するとしている。

この「仕組み」に関して、前回答弁書 の「一の2の(6)」で「現在においても引き続き検討中」とされていたが、現在の状況を明らかにされたい。

一の2の(6)及び六の2について

御指摘の「いわゆる「新しい形態の迫害」」に係る御指摘の「仕組み」の内容については、難民審査参与員からの提言や諸外国の実例なども参考にしながら、現在においても引き続き検討中であり、このいわゆる「新しい形態の迫害」」を受けたことを理由に令和3年に難民の認定を受けた者はいない。

3 2020年12月に公表された第7次出入国管理政策懇談会による報告書「今後の出入国在留管理行政の在り方」は、「適正手続保障の観点から、代理人の立会いを認める範囲など、申請者の置かれた立場に配慮した一次審査における適切な事情聴取の在り方を検討する必要がある」としている。

事情聴取における代理人の立会いは、難民認定審査の透明性や、難民認定申請者が安心して審査を受けることができる環境を確保するに当たり欠かせないと考えるが、政府の見解を示されたい。また、「代理人の立会いを認める範囲」に関する現在の検討状況を明らかにされたい。

六の3について

難民認定申請に対する一次審査における難民認定申請をした者に対する事情聴取は、当該者から本国での迫害状況等の難民となる事由を聴取してその内容を確認するとともに、当該者の供述態度等からその供述の信用性を慎重に吟味することを目的として行うものであることに鑑みると、難民認定申請に対する一次審査における事情聴取に際して代理人の立会いを認めることについては、慎重に検討すべきものであると考えている。

なお、平成29年3月から、難民認定申請に対する一次審査における難民認定申請をした者に対する事情聴取に際して、親を伴わない年少者、重度の身体的障害を有する者、精神的障害を有する者、重篤な疾病を抱える者等、特に配慮が必要な者については、医師、カウンセラー、弁護士等の立会いを認める取扱いを実施している。

その上で、難民認定手続においては、従前から、難民の地位に関する条約(昭和56年条約第21号。以下「難民条約」という。)第1条の規定又は難民の地位に関する議定書(昭和57年条約第1号。以下「難民議定書」という。)第1条の規定により難民条約の適用を受ける者を、難民認定申請の内容により個別に審査して難民と認定するなど、難民認定手続の適正な運用に努めてきたところであるが、更なる適正化を図るため令和2年12月に第7次出入国管理政策懇談会が取りまとめた報告書「今後の出入国在留管理行政の在り方」を踏まえ、当該報告書で示された論点について、現在、法務省において検討を行っているところである。

4 2020年12月に公表された第7次出入国管理政策懇談会による報告書「今後の出入国在留管理行政の在り方」は、「行政の公正性や適正性を維持する観点から、難民認定業務の専門性・独立性をより高めるために、その組織の在り方について検討することを求めたい」としている。

公平・中立な難民認定審査を行うに当たり、独立性を有する組織の設置は必須と考えるが、政府の見解を示されたい。また、「難民認定業務の専門性・独立性をより高めるため」の「組織の在り方」に関する現在の検討状況を明らかにされたい。

六の4について

お尋ねの「独立性を有する組織の設置」については、難民認定手続とその他の出入国在留管理行政の様々な手続とは密接に関連しており、難民の認定に関する事務を出入国在留管理庁において行うことには合理性があり、新たに独立した機関を設置する必要はないものと考える。

その上で、難民認定手続においては、従前から、難民条約第1条の規定又は難民議定書第1条の規定により難民条約の適用を受ける者を、難民認定申請の内容により個別に審査して難民と認定するなど、難民認定手続の適正な運用に努めてきたところであるが、更なる適正化を図るため令和2年12月に第7次出入国管理政策懇談会が取りまとめた報告書「今後の出入国在留管理行政の在り方」を踏まえ、当該報告書で示された論点について、現在、法務省において検討を行っているところである。

5 2021年7月に行われた、UNHCRとの協力覚書の交換において、「難民調査官等への研修についての協力」の継続が施策の例に挙げられている。国際基準を踏まえた難民認定審査を行うためにUNHCRによる研修は欠かせないと考えるが、政府の見解を示されたい。また、UNHCRの研修を受けることがないままに、入国審査官が難民調査官に指定されることはあるか、明らかにされたい。

また、2022年4月1日現在の難民調査官に指定されている者の数及び難民調査官に指定されてからの平均期間を明らかにされたい。

六の5について

お尋ねの「UNHCRの研修」の意味するところが必ずしも明らかではないが、難民に該当するか否か審査を行う上で、難民調査官の調査能力の向上は、難民を迅速かつ確実に保護するために重要であると考えており、従前から、UNHCR等の協力を得て、難民調査の手法等に関する研修等(以下「研修等」という。)を実施し、難民調査官の調査能力の向上を図っているところである。

また、難民調査官は、難民認定申請者の国籍国等の人種、宗教、社会、政治等の圏内情勢や日々刻々と変化する国際情勢について専門的な知識や情報を収集し、これらを十分に理解することが必要であるところ、出入国在留管理庁においては、入国審査官の中から、このような難民調査官にふさわしい資質を備えた者を難民調査官に指定しており、当該指定の前後を問わず、研修等を通じて難民調査官の調査能力の向上を図っているところである。

また、令和4年4月1日現在の難民調査官に指定されている者の数は405人であり、その余のお尋ねについては、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

右質問する。

[了]

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