令和3年6月17日付け入管庁警第82号出入国在留管理庁出入国管理部長指示「送還実施に当たっての留意事項について」

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入 管 庁 警 第 8 2 号
令 和 3 年 6 月 1 7 日
入 国 者 収 容 所 長 殿
地 方 出 入 国 在 留 管 理 局 長 殿
地方出入国在留管理局支局長 殿
出入国在留管理庁出入国管理部長 丸 山 秀 治
(公印省略)
送還実施に当たっての留意事項について(指示)
送還を忌避する被退去強制者に対する送還業務については,各官署とも法令に
基づき適正に運用いただいていると承知しているところ,今般,損害賠償請求控
訴事件において,「被退去強制者について,異議申立棄却決定の告知を送還の直
前まで遅らせ,同告知後は第三者と連絡を取ることを認めずに本国に強制送還し
た場合,これら一連の公権力の行使に係る行為は,異議申立てが濫用的に行われ
たといえる特段の事情がない限り,被退去強制者の難民該当性に関する司法審査
の機会を奪ったものとして国賠法1条1項の適用上違法となるというべきであ
る」旨の判決がありました。
よって,同判決を踏まえ,今後,難民審査請求棄却告知を受けた被退去強制者
の送還業務については,下記のとおり取り扱うこととしましたので,本信到着後,
遺漏なきよう願います。

1 難民審査請求棄却裁決を受けた被退去強制者への送還計画の告知について
( 1 ) 難 民 審 判 担 当 者 は , 難 民 審 査 請 求 事 務 取 扱 要 領 ( 平 成 2 8 年 3 月 3
0 日 付 け 法 務 省 管 審 第 5 1 4 号 通 達 ) 第 6 章 記 載 の と お り , 進 達 事 件
に つ い て ,出 入 国 在 留 管 理 庁 長 官 か ら 裁 決 結 果 の 通 知 を 受 け た と き は ,
速 や か に 審 査 請 求 人 に 裁 決 を 通 知 す る こ と 。
な お , 難 民 異 議 申 立 棄 却 決 定 に つ い て も 同 様 の 取 扱 い と す る 。
( 2 ) 執 行 担 当 者 は , 審 査 請 求 に 理 由 が な い 旨 の 裁 決 の 通 知 ( 以 下 「 裁 決
告 知 」 と い う 。) を 受 け た 被 退 去 強 制 者 に つ い て , 速 や か に 送 還 す る
こ と が 可 能 な 場 合 , 送 還 計 画 を 立 て た 上 で 当 該 者 に 送 還 予 定 時 期 を 告
知 す る 。
な お , 送 還 予 定 時 期 は , 裁 決 告 知 か ら 2 か 月 以 上 後 と す る こ と を 原
則 と す る が , 被 退 去 強 制 者 の 権 利 に 配 慮 し つ つ , 個 別 の 事 案 ご と に 適
切 に 定 め る も の と す る 。
(3)送還予定時期の告知の方法は,平成22年5月18日付け法務省管警第1
10号「行政処分に係る取消訴訟の出訴期間内における送還業務について(通
知)」に基づき,当該被退去強制者に対する出訴期間と送還との関係を説明
した後とし,告知内容は,例えば「2か月経過した後に送還する。」旨の内
容とする。
なお,平成22年12月9日付け法務省管警第288号「平成22年9月
9日付け日本弁護士連合会との合意に基づく被退去強制者の送還予定時期の
通知について(通達)」により,弁護士から当該者に係る送還予定時期の通
知希望申出があった場合には,具体的な送還予定時期が決まり次第,同通達
に基づき,弁護士に対しても送還予定時期を通知する。
(4)執行担当者は,難民手続担当及び訴訟担当と連絡を密にし,送還予定日ま
でに難民認定申請や裁判所による退去強制令書の執行停止決定など送還の支
障となる事情が発生した場合には,送還を中止すること。
なお,送還を中止する場合は,当該被退去強制者にもその旨を告知するこ
と。
2 送還時に弁護士への通信を申し出た場合の対応等について
(1)送還当日,執行担当者が被退去強制者(以下「被送還者」という。)に対
し,送還を実施する旨告知した際,被送還者が取消訴訟提起や退去強制令書
の執行停止の申立てを目的として弁護士への通信を申し出た場合は,以下の
いずれにも該当すると判断でき,かつ,入国警備官が当該弁護士に連絡し,
被送還者の訴訟代理人であると確認できた場合には,入国警備官護送及び送
還要領(平成23年12月12日付け法務省管警第253号通達)第15条
に規定する「緊急性及び必要性があり,かつ,護送の安全上支障がないと認
められるとき」として通信を許可するものとする。
ア 通信の相手方について,具体的な弁護士名を挙げた上で訴訟代理人で
ある旨述べていること
イ 通信の目的が取消訴訟の提起や退去強制令書の執行停止の申立てを目
的とするものであると認められること
(2)弁護士への通信を許可した場合であっても,訴訟提起まで今なお時間を要
する等具体的な動きが整っていない状況であると認められる場合には,2か
月前の送還計画の告知事実等を踏まえ総合的に判断し,予定どおり送還を実
施することとする。
他方,弁護士への通信の結果により,実際に退去強制令書の執行停止申立
ての動きが具体的に整っていることが確認できる場合には,執行停止決定の
事実がなくとも送還の中止を具体的に検討すること。
(3)その他判断が困難な場合には,本庁警備課まで連絡すること。

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