法相会見(2021年8月20日)名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について;在留アフガニスタン人への在留資格上の特別措置等に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について」「在留アフガニスタン人への在留資格上の特別措置等に関する質疑について」(2021年8月20)(外部リンク:法務省ウェブ

冒頭説明 

 今朝の閣議におきまして,法務省案件として,「戸籍法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」が閣議決定されました。
 続きまして,私から2件報告がございます。
 1件目は,「出入国在留管理庁改革推進プロジェクトチーム」の発足についてであります。
 私は,名古屋出入国在留管理局における死亡事案についての調査報告書を受け,出入国在留管理庁長官に対し,改善策を具体化し,組織の改革を着実に進めるため,直ちに,庁内に担当チームを立ち上げるよう指示をいたしました。
 これを踏まえ,出入国在留管理庁におきましては,本月10日,出入国管理部長を長とする総勢約20名で構成される「出入国在留管理庁改革推進プロジェクトチーム」を発足させました。
 私は,出入国在留管理庁の全ての職員が,今回の事案を自らの問題として捉え,改革に向けた取組を主体的かつ迅速に実行することが重要であると考えております。
 出入国在留管理庁では,最初のアクションとして,直ちに,長官から地方官署の幹部職員に対し,本庁の指示を待つことなく,各官署において,自ら,改善点の有無を速やかに確認・点検し,問題があれば迅速に改善するよう指示しました。さらに,長官から,全職員に対し,職員で力を合わせて,「出入国在留管理の使命と心得」を策定し,これを全員で共有して,不断に意識改革を行う必要があるというメッセージを伝えました。
 これに並行して,プロジェクトチームは,組織として改善・改革すべき点の具体的な洗い出しに取りかかっており,早急に対応が必要と認められるものから,迅速に着手させてまいります。
 2件目は,法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況についてであります。
 7月30日(金曜日)の会見後から8月5日(木曜日)までの感染判明者は,職員が18の官署・施設で計29名,被収容者は1つの施設で計1名でした。
 8月6日(金曜日)から8月12日(木曜日)までの感染判明者は,職員が26の官署・施設で計36名,被収容者は4つの施設で計14名でした。
 8月13日(金曜日)から昨日までの感染判明者は,職員が28の官署・施設で計57名,被収容者は3つの施設で計14名でした。
 詳細は既に公表されたとおりであります。 
 全国で感染が急拡大する中,法務省におきましても感染者が急増していることを踏まえ,昨日,法務省新型コロナウイルス感染症対策本部を緊急に開催いたしました。私から,全局部課等に対しまして,基本的な感染症対策の一層の徹底,テレワーク・時差出勤の強力な推進,業務継続のための機動的な応援態勢の検討について,指示をいたしました。
 この難局を乗り切るため,法務省で一丸となり,全力を尽くしてまいりたいと考えております。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について 

【記者】
 名古屋入管で収容中のスリランカ人女性が死亡した問題について伺います。出入国在留管理庁は8月12日,施設内での女性の様子を映した監視ビデオを編集した約120分間の映像を遺族側に開示しましたが,この日は半分程度を見て終わったとのことです。
 残りの分を開示する日程についての検討状況を教えてください。
 また,遺族側はデータとして残っている約2週間分の全てを開示するよう求めていますが,大臣として遺族の要望に応えるお考えはありますか。

【大臣】
 御遺族に対しましては,保安上の支障をマスキング等により軽減させる処置をした上で,通訳を介した説明を行いながら,亡くなられた方の日常の御様子,調査報告書で不十分・不適切な対応等があったと指摘されている場面とともに,亡くなられた方の体調に外観上顕著な変化が生じた状況を含めまして,御遺族に御覧いただくべきと国会質疑での御指摘のあった,3月4日以降の御様子などにつきまして,幅広に閲覧していただくこととしております。
 これらにより,亡くなられた方の御様子や状況の推移を,時系列的に御確認していただくことができるものと考えているところです。
 8月12日には,御遺族は,出入国在留管理庁が用意した映像の全てを閲覧することができなかったとのことであり,同庁では,今後,御遺族の御意向も踏まえて,再度,閲覧していただくため日程を調整中であると報告を受けています。
 御遺族にビデオ映像を御覧いただくことについては,ビデオ映像を開示することの問題も残る中で,異国の地で御家族を亡くされるなどした御遺族のお気持ちに応えるという人道上の配慮から行うものでありまして,ただいま申し上げた箇所について閲覧していただきたいと考えております。

【記者】
 ビデオに関係してですけれども,人道上の配慮ということですが,遺族側は全部見たいとおっしゃっています。既に報道で指摘されていますが,報告書に出ていた内容と全く別の状況が,2月26日にベッドから落ちた等の状況,23回助けを求めたなど,全く表記されていないことも映像上ではあったと,他にもたくさんあるのではないかと言っています。やはり,人道上の配慮で今回2時間見せたのであれば,全体の336時間,これをなぜ見せられないのでしょうか。
 それから,弁護団が来週を希望しているという話を聞いているのですが,立会いをさせなければ,心理的に遺族が2人とも取り乱して,吐いてしまったと,こういったことに対応できる職員をそもそも当日付けていなかったのではないでしょうか。遺族は,弁護士をしっかり立ち合わせてほしい,自分たちの心理的ケアをやれるような人を付けてほしいというふうにも言っておりました。この点,大臣どうお考えでしょうか。

【大臣】
 先ほども申し上げたとおり,今回,亡くなられた方の御遺族のお気持ちを考え,ビデオ映像は情報公開の対象となるものではございませんが,人道上の配慮による措置として,対応してきたところです。
 前回,御遺族にビデオ映像を御覧いただきましたが,まだ残されている部分もあり,御遺族と調整しながら,残りの部分についても,しっかりと御説明を差し上げながら,御覧いただきたいと思っているところです。
 重ねて申し上げますが,御遺族にビデオ映像を御覧いただくのは,あくまで,ビデオ映像を開示することの問題がある中で,異国の地で御家族を亡くされたお気持ちに応えたいという配慮から行うものですので,約2週間分にわたる映像の全てを御覧いただくことは考えていないところです。
 そして,今回のビデオ映像につきましては,保安上の問題に加え,亡くなられた方の名誉・尊厳の観点からの問題もあることから,代理人を含め,御遺族でない方に閲覧していただくのは,適当でないと考えているところです。
 出入国在留管理庁では,御遺族にビデオを御覧いただくに当たり,通訳を通じて,事前にビデオ映像の内容を御説明するなど,その心情に配慮した対応を行っているものと承知をしているところです。

【記者】
 名古屋入管のスリランカ人女性の続きですけれども,ビデオの開示も求めに応じない,それから全面開示に応じない,それと前回11日にお会いになったとき,遺族である妹さんが非常に体調が悪くなって,どうしても弁護士の立会いがないと見ることができないとおっしゃったと思うのですが,その配慮をどうするか,もう一回ちゃんとお答えいただきたいという点。
 それと,今週の17日ですけれども,弁護団が名古屋入管に行政文書の情報開示請求をしていた文書の内容について記者会見がありました。1万5千枚以上送られてきたわけですけれども,ほとんど全て黒塗りでした。
 この文書の内容というのは,先日8月10日に入管庁が公表された調査報告書の内容の元になる文書がたくさん含まれています。それが全て黒塗りだったということです。この文書についてはもうネット上にもアップされていますし,これはニュースにもなっていますから,皆さんこれはスリランカ人女性のケースであると分かった上で公表しているのだと思います。それの裏付けになる文書を,遺族の求めに応じてきちっと開示すべきじゃないかという声が強くあるわけですけれども,それについては大臣,今後,行政文書開示という形ではなく,人道的な配慮ですとか,大臣の指示で遺族に,そしてその代理人にちゃんと見せるということは考えていらっしゃるのでしょうか。
 この2点についてお伺いします。

【大臣】
 まず,本件事案に係る行政文書開示請求についてですが,出入国在留管理庁からは,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第5条において不開示情報とされている同条第1号の個人に関する情報,同条第4号の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報等に当たる部分を除いて開示決定をするなど,同法に従って対応したとの報告を受けているところです。
 この決定後に作成された調査報告書の記載の中には,不開示とした文書の内容も一部含まれていると報告を受けておりますが,これは,調査結果が証拠に基づくものであることをお示しするために,可能な限りで摘示したものと報告を受けています。
 御遺族には,出入国在留管理庁において,調査報告書の全文をお渡しし,通訳を介してその内容の御説明を行ったところでございます。
 次に,ビデオ映像に関しての御質問がありましたが,ビデオ映像は,情報公開請求に対しても,基本的に不開示情報として取り扱っているものです。
 調査報告書が公表された現在においてもなお,保安上の問題に加え,亡くなられた方の名誉・尊厳の観点からの問題もございます。
 そのため,代理人も含め,御遺族以外の方々にビデオ映像を公開することにつきましては,適当ではないと考えています。
 御遺族につきましては,8月12日にビデオを閲覧されたところ,御用意した映像の全てを御覧いただくことができなかったということであります。
 先ほど申し上げたように,通訳を通じての内容の御説明を丁寧に行ってまいりましたし,今後も,しっかりと御説明をさせていただきたいと考えており,御遺族の御意向も踏まえて,改めて映像を閲覧していただく機会を設ける予定でございます。

【記者】
 大臣はこれまでスリランカ人女性のお母さんの気持ちにも思いを寄せて大変胸が苦しいというふうなこともおっしゃってきていますが,ビデオの映像については,スリランカに残っているスリランカ人女性のお母さんも見たいと望んでいるし,この死について責任のある立場から,データにするなりして見せるなど,そういう責任があるのではないかというふうに思いますが,望んでいる全てを開示することも含めて,やれることを尽くすことが,先ほどおっしゃった遺族の気持ちに寄り添うということになるのではないでしょうか。そのあたりどうでしょうか。
 先ほど,「入管の使命と心得」をみんなで作っていくとおっしゃいましたが,大臣自身が「入管の使命と心得」というものを現在どういうものだと考えているのかを含めてお答えください。

【大臣】
 御遺族の方の心情に配慮いたしまして,今回,ビデオの映像を御遺族に御覧いただくということとしたところです。
 ビデオ映像につきましては,なお保安上の問題もあり,また,亡くなられた方の名誉・尊厳の観点からの問題もあるため,御遺族以外の方に閲覧していただくことは適当ではないという判断の中で,対応してきたところです。
 御遺族からの御質問については,通訳を介し,万全を尽くしてお答えしてまいりたいと思いますし,十分にその心情に配慮した対応をしてまいりたいと考えています。
 ビデオ映像は約2週間分にわたっており,その全てを御覧いただくのは現実的でないということから,先ほども申し上げたように,亡くなられた方の日常の御様子や調査報告書で不十分・不適切な対応等があったと指摘されている部分とともに,亡くなられた方の体調に外観上顕著な変化が生じた状況を含めまして,御遺族に御覧いただくべきとの国会質疑等での御指摘のあった3月4日以降の様子などを,幅広に御覧いただくこととしております。
 亡くなられた方のお母様は本国にいらっしゃるわけですが,日本に来ていただいている御遺族の方に,しっかりとこのビデオ映像を閲覧いただきたいと思っております。

【記者】
 ビデオのことに戻りますけど,遺族の方はいくら時間がかかっても全て見たいというふうにおっしゃっています。ですので,1日2時間とかを1週間重なれば全て見れるわけですし,ある程度の期間があれば見れるわけですし,そういうできることをするべきだと思うし,DVDにデータにしてお母さんにお渡しすることも可能だと思います。それをやるつもりがあるのか,やれないのはなぜなのか,というのが1つ。
 先ほどの質問で答えていただけていないのですが,「入管の使命と心得」というのは,大臣はどういうふうにお考えになられているのかお答えください。

【大臣】
 御遺族に御覧いただくビデオ映像は,先ほども申し上げたように,亡くなられた方の日常の御様子や調査報告書で不十分・不適切な対応等があったと指摘されている部分とともに,亡くなられた方の体調に外観上顕著な変化が生じた状況を含め,御遺族に御覧いただくべきとの国会質疑等で御指摘のあった3月4日以降の御様子などを,幅広く対象としておりまして,時系列に沿って,亡くなられた方の御様子を確認していただけるものと考えています。
 DVD等にコピーをするというような対応については,人道的な配慮から,直接閲覧していただくという中で対応しているところですので,そのような対応はできないということでございます。
 「出入国在留管理の使命と心得」について御質問がありました。
 私は何よりも,自らが現場に携わっている職員,また,それに基づいて意思決定をしている様々なレベルの職員が一つになり,命を預かっている施設であるという基本に則り,どのような対応をしていくべきかを,絶えず基本に立ち返りながら検討していくことが重要だと思っています。
 職員自らがしっかりと意識を持って改革をしていかない限り,それを根付かせることは,なかなかできないのではないかと考えております。
 先般も申し上げましたが,改革を進めるに当たっては,そうした基本に則った上で,マルチステークホルダーとの様々な関わりの中で,一人ひとりの方の命,その方の在留に関わることですので,多層的な取組を促進する視点ですとか,あるいは様々な立場に立った問題解決の視点が必要であり,また,絶えずPDCAのサイクルを回し続けていく努力を常に心がける必要があると考えております。
 正に「出入国在留管理の使命と心得」につきましても,今後,多くの職員が各地方でそのことに向き合って仕事をしていくわけでありますから,若い世代の職員からもしっかりと意見等を聴きながら,組織全体としての意識改革をしっかりと実行できるようにしていくことが重要であると思います。
 「使命と心得」は単にペーパーを作ればよいというのではなく,組織が,また一人ひとりの職員が,しっかりとその意識を持って行動していくことを実現するために策定するのですから,全力でこれに取り組んでいく必要があると私は考えています。

在留アフガニスタン人への在留資格上の特別措置等に関する質疑について 

【記者】
 アフガニスタンでイスラム主義勢力タリバンが全土を掌握して,情勢が不透明な状態が続いております。これを受けた入管庁の対応として,日本に在留するアフガニスタン人への在留資格上の特別措置や難民の受入れなど,今後の対応方針をお聞かせください。

【大臣】
 アフガニスタン情勢は,現時点では,極めて流動的であるとのことであり,情報の収集に鋭意努めているところです。
 出入国在留管理庁では,帰国に不安を抱く在留アフガニスタン人の方々につきましては,現下の情勢を含めた個々の事情を考慮して,在留資格の判断を適切に行っていく方針です。
 また,退去強制令書が発付されている者につきましても,現状を踏まえ,本人の意思に反して送還することはしないこととする方針です。
 アフガニスタンからの難民の受入れについて御質問がありましたが,これは政府全体として検討していく必要があると考えております。
 在留アフガニスタン人の方々から難民認定申請がなされた場合は,しっかり申請者ごとにその申請内容を審査した上で,難民条約の定義に基づきまして,適切に判断していくものです。
 法務省といたしましては,今後のアフガニスタンにおける情勢等の変化も踏まえ,個々の外国人の置かれた状況等にも配慮しながら,引き続き適切に対応してまいりたいと考えています。

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