法相会見(2021年6月8日)名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について」(2021年6月8日)(外部リンク:法務省ウェブ

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について 

【記者】
 入管収容施設のチェック機能や申入れについて2点お伺いします。
 6月2日に名古屋入管局長宛に面会支援活動をしてきた支援団体STARTが申入書を提出したことは,前回の記者会見で質問がありました。
 今回スリランカ人女性が亡くなってから6回目の申入れになります。
 申入れ内容は一貫しており,その中で,名古屋入管の担当責任者と面会支援者との間で,協議の場や意見交換する機会を設定することを毎回求めてきました。
 しかし,入管局側は「現在,法務省本庁による調査中だから」という理由で,その要望には応じてきませんでした。
 確かに,現在7月中の「最終報告」の策定に向けて,法務省・入管庁は調査を続けていると思いますが,これとは別に,名古屋入管の当事者と面会支援者との間で直接対話をするということは非常に重要だと思います。
 なぜ,法務省本庁は名古屋入管に対して,こういった協議の場を設定することを否定するような対応,指示を出してきたのかをお答えください。

【大臣】
 個別の申入れにつきましては,出入国在留管理庁において,その内容に応じ,その都度,適切に対応を検討しているものと考えているところでございます。
 現場,現場の中で対応するということで,出入国在留管理庁の方で対応しているということです。

【記者】
 今出入国在留管理庁とおっしゃったのは,名古屋入管が独自に判断したのか,あるいは法務省本庁がそういう指示をしたのかどうか。名古屋入管は,法務省本庁が調査中だからという言い方をされているのですが,これについてはどのようにお考えでしょうか。
 今スリランカ人女性の中間報告や最終報告の件が焦点になっておりますので是非お答えください。

【大臣】
 そのことも含めまして,出入国在留管理庁に,事務的にどう対応しているのかということについて聞いていただきたいと思います。
 一つ一つの案件について私の方から説明するということについては,いろいろな形での案件がございますので,現場の中でしっかりと判断していくべきことだと考えております。

【記者】
 もう一点視察に関してですが,入国者収容所等視察委員会というものがございます。
 年に数回,そういった視察をして,検討結果を報告されているわけですが,昨年末以降,その報告が更新されておりません。今回の入管法改正のこともありましたので,しかも入管処遇問題がいろいろ課題になっているということで,具体的な調査があるのかなと思ったら,それもなかったようです。
 スリランカ人女性の死亡事件も,入管庁による調査に合計5名の第三者が入っている,それが入国者収容所等視察委員会のメンバーであるとお聞きしています。第三者は,飽くまで,法務省・入管庁の調査結果の報告を受けるということだけで,独自に調査はしていないと思います。そうした視察委員会の構成メンバーも,どのような専門性を持った方なのかということも含めて公表されていません。
 これで本当に第三者委員会としての機能を果たしているのかどうか,入国者収容所等視察委員会は,法務省・入管庁から独立した第三者委員会と言えるものであると,大臣はお考えなのかどうかということについてもお伺いします。よろしくお願いします。

【大臣】
 再三ここでも申し上げているところでございますが,私自身法務大臣として,今回の事案が発生した直後から,この事案につきましては,大変心を痛めてまいりました。
 法務大臣として,出入国在留管理庁に対しては,この事案について調査をしっかりすること,そして検証し,改善策もしっかりまとめるようにということで指示をしてきたところでございます。
 調査の客観性・公正性を担保するためには,何といっても第三者の視点というのが極めて重要であるということから,可能な限り速やかにその改善策をまとめ上げていく過程の中でも,第三者の視点をしっかりと入れるようにということで,指示をしてきたところでございます。
 二度とこうした事案が繰り返されないようにするため,この第三者の方々には,いろいろな角度からの知見を有している方々でございますので,しっかりとした調査をしていただきたいと思っております。
 御指摘の入国者収容所等視察委員会のメンバーの方,また元メンバーの方ということで御指摘がございましたが,正に委員として入管収容施設の運営や業務内容等につきまして,一般的な知識や視察の経験をお持ちであります。また,各団体から御推薦を受けた方々であるということで,中立・公正が担保された方々であるということから,調査に加わっていただくこととしたということでございます。
 詳細につきましては,出入国在留管理庁にお尋ねいただきたいと思っております。

【記者】
 少し遡ってしまいますが,5月17日に,3月6日に名古屋入管で亡くなられたスリランカ人女性の御遺族とともに国会議員の方々も視察のため名古屋入管を訪れています。
 その際,居室への視察に関しては,保安上の理由ということで視察がかなわなかったとのことです。その際に名古屋入管局長が,保安上の理由が国会議員が有する国政調査権より上回ると断言をされています。これは音声も公開されていますが,この国政調査権を保安上の理由が上回ることがあるというのは,法務省としても同様の見解でしょうか。

【大臣】
 お尋ねの視察時にどのようなやり取りがあったのかということについて,私自身承知をしておりません。
 出入国在留管理庁から報告を受けているところによりますと,入管収容施設の被収容者には,刑罰法令違反者等も含まれ得るという性質上,こういう意味では保安上の理由からということでありますが,その内部について広く見学や視察を認めることとはしていないものの,状況に応じて一定の範囲内で,国会議員の方々に収容施設を御視察いただくこともございます。
 現在,新型コロナウイルス感染症対策が極めて重要な課題となっているところでございまして,東京出入国在留管理局の収容施設における集団感染が発生していること,愛知県におきましても緊急事態宣言が発令されていたことなどを踏まえて,コロナ感染防止の観点から,国会議員の方々を含めまして,御視察を御遠慮いただいたところと聞いております。
 御遺族につきましては,お姉様が亡くなった現場である施設の状況を知りたいと御希望されることは当然の心情であると私自身は考えております。5月17日に御遺族が名古屋出入国在留管理局を訪問された際は,御遺族のお気持ちを踏まえた特別の対応として,居室に実際に入っていただき,その居室の状況を御覧いただいたと承知しております。

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