法相会見(2021年6月15日)名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について;チャーター機による集団送還等に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について」「チャーター機による集団送還等に関する質疑について」(2021年6月15日)(外部リンク:法務省ウェブ

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について 

【記者】
 今言ったスリランカ人女性の案件についての最終報告が五輪開催前にできるかという点と,関連で,難民認定を求めていた67歳の中国人男性の方が,糖尿病等を患っていたため,その娘の方が何度も対応を求めていたものの,入管当局が早期に対応せず亡くなったということで,昨年末,その娘の方が損害賠償を求めて,国を提訴していたことが報じられました。
 娘の方は,日本は難民条約の締約国であり,外国人への思いやりがあると思っていたがだまされたんだと訴えておられます。
 スリランカ人女性の案件を始め,入管庁での医療対応の問題が改めて問われ続けていると思いますが,この点,大臣の受け止めをお願いいたします。

【大臣】
 最終報告についての御質問でございますけれども,今回の中間報告以降も様々な御質問・御指摘がございまして,先ほど申し上げましたとおり,第三者の方も交えまして,今最終的な取りまとめの段階にあるところでございます。
 現時点で,取りまとめの時期について確定的なことを申し上げるということはなかなか困難でございますが,先ほど申し上げましたとおり,これは可能な限り速やかに取りまとめるようにということで,重ねて指示をしているところでございます。入管庁においても,その指示にしっかりと応えて対応しようと努力しているところでございます。
 2点目でございますが,お尋ねの報道については承知をしているところでございます。出入国在留管理庁から報告を受けているところでは,入管当局は,亡くなった方に糖尿病等の持病があったために,収容開始の翌日以降,外部の病院にお連れして診療を受けさせるなどし,その後,入院をさせる措置を執ったところ,この方については入院10日目に,病院内で亡くなったということでございます。
 現在訴訟中の案件でございますので,これ以上の詳細につきましては,お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

チャーター機による集団送還等に関する質疑について 

【記者】
 2014年12月に,難民不認定の処分の異議申立の却下と同時に,その翌日に,チャーター便でスリランカに強制送還された方がいらっしゃいました。
 その国賠訴訟について,今年の1月13日に,名古屋高裁で,男性の訴えを認める判決が出まして,慰謝料等を国に対して支払えという判決が確定しました。
 このチャーター便の強制送還というのは,2013年から始まって,これまでスリランカ,ベトナム,バングラデシュ,タイ,中国などを送還先として行われてきました。今回の名古屋高裁判決のように,難民不認定の告知の直後に強制送還されたり,他の家族が日本にいるということで行政訴訟準備中に強制送還された入管収容中の方もおり,そういった事態が続いています。
 今回の1月の名古屋高裁判決を受けて,裁判の機会を奪うような強制送還を中止するように,法務省・入管庁は手立てを講じたのかどうかということが1点。
 それから,今対象国を挙げましたけれども,チャーター便による強制送還の対象国というのは,技能実習生や留学生の受入れが多い国なのですが,どのような基準や理由でその対象国を選んでいるのかという点。
 それと,チャーター便で強制送還できる国の出身者だから,入管の長期収容が続いているというケースはないのかどうか。
 この3点について伺います。よろしくお願いします。
 ちなみにこの強制送還のことも,先ほど大臣がおっしゃっていた外国人材についての関係閣僚会議の項目の中に含まれていますので,是非大臣のお答えをよろしくお願いします。

【大臣】
 まず,1点目の名古屋高裁の判決につきましては,出入国在留管理庁においても,その判決をも踏まえまして,送還の実施に際しては,手続上の教示・告知を適切に行い,訴訟の提起や弁護士との連絡などの御希望があった場合は,速やかにその機会を与えるなど,適正手続への十分な配慮を徹底することとし,これを実施しているとの報告を受けているところでございます。
 2点目の集団送還の対象国をどのような基準で決定しているのかというお尋ねでございますが,正にそうした点を明らかにした場合には,今後の送還業務に支障を生ずるおそれがあるとの報告を受けているところでございまして,私がお答えすることにつきましても,適当ではないと考えております。
 3点目の長期収容と集団送還との関係についてのお尋ねにつきましては,収容期間は,仮放免の当否などの個々の被収容者の事情により定まるものでございまして,集団送還の実施対象国であるために収容が長期化するという関係があるとはいえないとの報告を受けているところでございます。
 いずれも詳細につきましては,出入国在留管理庁にお尋ねいただきたいと思っております。

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