国会質疑等(2021年6月15日)石橋通宏議員(立憲民主・参)質問主意書への政府回答[難民保護]

我が国における難民認定の状況に関する質問主意書(外部リンク:参議院ウェブ

提出者:石橋通宏議員(立憲民主党)
番号:第204回国会 質問82号
提出日:2021年6月4日
答弁書受領日:2021年6月15日

[204参-82]210604質-石橋通宏(立憲)_210615-菅義偉首相 [難民認定状況](合体版)[PDF・441KB]

204回国会・質問第82号 参議院議員石橋通宏議員「我が国における難民認定の状況に関する質問主意書」(202164日)

答弁書第82号 参議院議員石橋通宏君提出我が国における難民認定の状況に関する質問に対する答弁書(2021615日)

 

我が国における難民認定の状況に関する質問主意書

 

一 難民認定の実態について

1 難民認定申請者について

⑴ 2019年末及び2020年末時点で、難民認定申請中の者の数を示されたい。

⑵ 2019年末及び2020年末時点で、審査請求(行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律による改正前の出入国管理及び難民認定法第61条の2の9第1項の規定による異議申立てを含む。以下同じ。)中の者の数を示されたい。

一の1の⑴及び⑵について

令和元年末時点で難民認定申請(出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)第61条の2第1項の難民の認定の申請をいう。以下同じ。)中の者の数及び審査請求(入管法第61条の2の9第1項の審査請求をいい、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第69号)第75条の規定による改正前の入管法第61条の2の9第1項の異議申立てを含む。以下同じ。)中の者の数は、それぞれ、1万8,562人及び1万562人である。

令和2年末時点で難民認定申請中の者の数及び審査請求中の者の数は、それぞれ、1万7,061人(速報値)及び6,660人(速報値)である。

 

⑶ 2020年の難民認定制度の「濫用」の件数を示されたい。

⑷ 2020年3月に公表された「令和2年における難民認定申請者数等について」によれば、2020年の難民認定申請者のうち、556人が未成年であった。そのうち、難民認定申請時に在留資格を有していなかった件数を示されたい。

一の1の⑶及び⑷並びに2の⑸について

令和2年に地方出入国在留管理局等(地方出入国在留管理局及び地方出入国在留管理局支局をいう。以下同じ。)における振り分けの段階で明らかに濫用•誤用的な案件として振り分けられたB案件又はC案件(「難民認定事務取扱要領」(平成17年5月13日付け法務省管総第823号法務省入国管理局長通知)に「B案件」又は「C案件」として記載されているものをいう。以下同じ。)の数は、B案件が73件であり、C案件が382件である。

また、令和2年に難民認定申請をした者のうち、難民認定申請時に20歳未満であったもので在留資格を有していなかったものの数は230人(速報値)であり、このうち入管法第22条の2第1項の規定により本邦に在留していたものの数は213人であり、不法に本邦に在留していたものの数は17人(いずれも速報値)である。

 

⑸ 2020年末時点で難民認定申請中の者のうち、未成年者の数とその年齢の内訳を示されたい。

⑹ 2020年末時点で審査請求中の者のうち、未成年者の数とその年齢の内訳を示されたい。

一の1の⑸及び⑹について

お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

 

⑺ 2020年3月に公表された「令和2年における難民認定申請者数等について」によれば、2020年に仮滞在を許可した者は15人であった。このうち、未成年者の数とその年齢の内訳を示されたい。また、未成年者のうち、在留資格を有しない難民認定申請者を両親にもち、日本で出生後に難民認定申請を行った者の数を示されたい。

一の1の⑺及び二の3について

令和2年に仮滞在許可(入管法第61条の2の4第1項の仮滞在の許可をいう。以下同じ。)を受けた者のうち、仮滞在許可を受けた時点で20歳未満であったものの数は11人(速報値)であり、その年齢別の内訳は、0歳が4人、1歳、3歳、8歳、11歳、14歳、17歳及び19歳がそれぞれ1人(いずれも速報値)である。

また、同年に仮滞在許可を受けた者のうち、出入国港である空港において難民認定申請を行ったものの数は0人(速報値)である。

その余のお尋ねについては、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

 

⑻ 2021年5月に公表された「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」によれば、2021年3月末時点で、2,944人のミャンマー出身者が難民認定手続を行っているとのことである。そのうち、審査請求中の者の数、複数回申請者の申請回数別の内訳、退去強制令書が発付されている者の数及び出入国在留管理庁の収容施設に収容されている者の数を示されたい。

一の1の⑻について

令和3年3月末時点で審査請求中のミャンマー人は653人(速報値)であり、その余のお尋ねについては、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

 

2 難民認定者及び人道配慮による在留許可者について

⑴ 2019年及び2020年に難民として認定された者(審査請求手続における認定者を含む。以下同じ。)のうち、複数回申請者及び退去強制令書発付後に難民として認定された者の数を示されたい。

⑵ 2019年及び2020年に難民としては認定されなかったものの、人道的な配慮により在留を認められた者(審査請求手続の結果、在留を認められた者を含む。)のうち、複数回申請者および退去強制令書発付後に在留特別許可された者の数を示されたい。

一の2の⑴及び⑵について

平成31年から令和2年までの間に難民と認定した者(審査請求手続において認定した者を含む。)91人のうち、2回目以降の難民認定申請に対して難民と認定したものの数は2人(速報値)であり、退去強制令書発付後に難民と認定したものの数は3人(速報値)である。

また、平成31年から令和2年までの間に難民と認定しなかったものの、人道上の配慮を理由に在留を認めた者81人のうち、2回目以降の難民認定申請に対して難民と認定しなかったものの、人道上の配慮を理由に在留を認めたものの数は37人(速報値)であり、退去強制令書発付後に在留を特別に許可したものの数は42人(速報値)である。

 

⑶ 2017年から2020年(全期間の統計がとれていない場合はとれている期間)に難民として認定された者全てについて、難民認定申請から難民の認定を受けるまでに要した期間を示されたい。

⑷ 難民認定事務取扱要領は、難民認定申請案件を「難民条約上の難民である可能性が高い案件、又は、本国が内戦状況にあることにより人道上の配慮を要する案件」(A案件)、「難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を主張している案件」(B案件)、「再申請である場合に、正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返している案件」(C案件)及び「上記以外の案件」(D案件)の四類型(以下「四類型」という。)に振り分けている。2019年及び2020年(全期間の統計がとれていない場合はとれている期間)に難民として認定された者について、四類型別の内訳を明らかにされたい。

一の2の⑶及び⑷について

お尋ねについては、通常の業務において集計しておらず、集計に当たっては難民認定申請の受付及び処分を行ぅ地方出入国在留管理局等に調査を行わせ、その結果を精査するなどの作業に膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。

 

⑸ 前記一1⑶及び前記一1⑷において、仮に「通常の業務において集計しておらず」、「膨大な時間を要することから、お答えすることは困難」である場合は、通常の業務において集計していない理由及び集計に要する時間の見込みを示されたい。

一の1の⑶及び⑷並びに2の⑸について

令和2年に地方出入国在留管理局等(地方出入国在留管理局及び地方出入国在留管理局支局をいう。以下同じ。)における振り分けの段階で明らかに濫用•誤用的な案件として振り分けられたB案件又はC案件(「難民認定事務取扱要領」(平成17年5月13日付け法務省管総第823号法務省入国管理局長通知)に「B案件」又は「C案件」として記載されているものをいう。以下同じ。)の数は、B案件が73件であり、C案件が382件である。

また、令和2年に難民認定申請をした者のうち、難民認定申請時に20歳未満であったもので在留資格を有していなかったものの数は230人(速報値)であり、このうち入管法第22条の2第1項の規定により本邦に在留していたものの数は213人であり、不法に本邦に在留していたものの数は17人(いずれも速報値)である。

※前掲

 

⑹ 法務省は、2015年9月に公表した「難民認定制度の運用の見直しの概要」の5の⑴においていわゆる「新しい形態の迫害」を申し立てる者が難民条約の適用を受ける難民の要件を満たすか否かの判断に関して「難民審査参与員が法務大臣に提言をし、法務大臣がその後の難民審査の判断に用いるようにするための仕組み」を構築するとしている。
 この「仕組み」に関して、参議院議員石橋通宏君提出我が国における難民認定の状況に関する質問に対する答弁書(内閣参質201第134号)の「一の2の⑸」で「現在においても引き続き検討中」とされていたが、現在の状況を明らかにされたい。
 また、2020年に難民として認定された者のうち、いわゆる「新しい形態の迫害」に当たる者は含まれているか。含まれているのであれば、その人数及びどのような迫害を受けていたのかを明らかにされたい。

一の2の⑹について

御指摘の「いわゆる「新しい形態の迫害」」に係る御指摘の「仕組み」の内容については、難民審査参与員からの提言や諸外国の実例なども参考にしながら、現在においても引き続き検討中であり、この「いわゆる「新しい形態の迫害」」を受けたことを理由に令和2年に難民の認定を受けた者はいない。

 

⑺ 2014年12月に公表された「難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)」は、「難民該当性に関する判断の規範的要素を,我が国でのこれまでの実務上の先例や裁判例を踏まえ,また,UNHCRが発行する諸文書,国際的な実務先例及び学術研究の成果なども参照しつつ,可能な限り一般化・明確化することを追求するべきである」と提言している。この「一般化・明確化」について、現在の検討状況及び今後の作業予定を示されたい。
 また、「一般化・明確化」の作業は、難民条約の規定の適用を監督する責務をもつUNHCRと共に行うべきと考えるが、政府の見解及びを示されたい。

一の2の⑺について

御指摘の「一般化・明確化」については、難民認定制度の透明性向上の観点から、現在、我が国及び諸外国の実例や国連難民高等弁務官事務所(以下「UNHCR」という。)が公表した文書なども参考にしながら検討中であり、所要の作業が終わり次第、できる限り早期に公表する予定である。

また、御指摘の「一般化・明確化」の作業に当たっては、UNHCRの意見を聴くことを予定している。

 

3 一次審査について

⑴ 2020年に難民不認定処分を受けた者のうち、事情聴取が一度も行われなかった事案はあるか。あれば、その件数及び理由を明らかにされたい。

一の3の⑴について

令和2年に難民不認定処分をした者について、難民調査官が行った入管法第61条の2の14第1項に規定する事実の調査において、難民認定申請をした者に対する事情聴取を実施したか否かは網羅的には把握しておらず、お尋ねの件数についてお答えすることは困難であるが、2回目以降の難民認定申請において、それ以前とは異なる新たな難民の地位に関する条約(昭和56年条約第21号)上の迫害事由に該当する事情を主張していない場合であって、過去の記録や申請書等の提出資料により難民の認定をするかしないかを判断できる等の理由により、事情聴取を行わなかった事案があることは把握している。

 

⑵ 2020年3月に公表された「令和2年における難民認定者数等について」によれば、2020年の一次審査の平均処理期間は約25.4月と、2010年以降最長を記録している。本来、難民認定申請は速やかに処理されるべきだが、処理期間が長期化している理由を示されたい。

一の3の⑵について

平成22年から平成29年まで難民認定申請数が増加を続けていたことに伴い、審査期間が長期化している未処理案件が生じていた中で、それらを集中的に処理したことから、難民認定申請から処理までに要した期間の平均が長期化したものであると考えている。

 

4 審査請求について

2020年3月に公表された「令和2年における難民認定者数等について」によれば、2020年に不服申立てに「理由あり」とされた者及び「理由なし」とされた者のうち、4,759人には口頭意見陳述等期日が実施されていない。また、そのうち、2,721人が口頭意見陳述の申立てを放棄したとされている。

⑴ 口頭意見陳述申立ての有無を確認する際、審査請求人に対しどのような説明を行っているか。

一の4の⑴について

審査請求に係る口頭意見陳述(行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「新法」という。)第31条第1項本文に規定する意見の陳述をいい、新法による改正前の行政不服審査法(昭和37年法律第160号。以下「旧法」という。)第48条において準用する旧法第25条第1項ただし書に規定する口頭で意見を述べる機会を含む。以下同じ。)の申立ての有無を確認する際には、審査請求を受け付けた地方出入国在留管理局等の職員が、審査請求を行った者に対し、口頭意見陳述が、同人に主張する機会が十分に与えられるよう、同人が口頭で意見を述べる手続であることを説明している。

 

⑵ 口頭意見陳述の申立てを放棄した2,721人以外の者について、口頭意見陳述等期日が実施されなかった理由を示されたい。

⑶ 出入国管理及び難民認定法第61条の2の9第6項では、行政不服審査法第31条第1項における口頭意見陳述件の例外規定として「申述書に記載された事実その他の申立人の主張に係る事実が真実であっても、何らの難民となる事由を包含していないことその他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが適当でないと認められる場合」を挙げている。「その他の事情」とは何を指すか。

一の4の⑵及び⑶について

口頭意見陳述及び質問(新法第36条に規定する質問をいい、旧法第48条において準用する旧法第30条に規定する審尋を含む。)の期日が開かれなかった理由については、個別の事案によることから、一概にお答えすることは困難であるが、例えば、審査請求を行った者の主張が、何らの難民となる事由を包含しておらず、口頭意見陳述を実施することが適当でないとの理由により、難民審査参与員が口頭意見陳述を不実施とした事案があることは把握している。

また、お尋ねの「その他の事情」とは、難民不認定処分となった前回申請と事情の変化がないにもかかわらず、同様の申請を繰り返す者からの申請がぁったという事情などをいうものと解している。

 

⑷ 不服申立てに「理由あり」とされた者及び「理由なし」とされた者のうち、口頭意見陳述等期日が実施された者の数が1割未満に留まる状況で、不服申立て制度の適正性は担保されているといえるか。政府の見解を示されたい。

一の4の⑷について

口頭意見陳述の機会を与えるか否かは、審理手続の主宰者となる難民審査参与員等が、個別の事案ごとに適正に判断しているものと考えており、引き続き法令に基づいた不服申立制度の適正な運用に努めてまいりたい。

 

5 訴訟について

難民不認定処分取消請求訴訟及び難民不認定処分無効確認請求訴訟について、2020年に提起された件数及び終局裁判がなされた件数をそれぞれ明らかにされたい。加えて、難民不認定処分の取消し若しくは無効が確定した後、又は、難民認定処分の義務付け訴訟で国側が敗訴した後、難民認定がなされず、在留資格が付与されなかったケースはあるか。あれば、その理由を併せて示されたい。

一の5について

出入国在留管理庁において把握しているところでは、難民不認定処分取消請求訴訟及び難民不認定処分無効確認請求訴訟について、令和2年に提起された件数は15件、同年に終局裁判がなされた件数は第一審、控訴審及び上告審の合計で30件である。

また、難民不認定処分取消請求訴訟、難民不認定処分無効確認請求訴訟又は難民認定義務付け訴訟のうち、同年において国の敗訴が確定した事案については、確定後、いずれについても難民の認定が行われた。

 

二 空港等での庇護申請関係の統計について

  前述した通り、政府は2015年9月から「難民の迅速かつ確実な庇護」を推進するための難民認定制度の運用の見直しを行っているという。空港は難民保護のまさに最前線であり、上陸審査時に難民認定申請を希望した者に適切に対処できているかどうかは、「難民を迅速に庇護」できているか否か示す、重要な指標である。そこで、以下質問する。

1 2019年及び2020年に一時庇護上陸許可を申請した者の数及び許可状況を国籍別に示されたい。

二の1について

平成31年及び令和元年に一時庇護上陸許可(入管法第18条の2第1項の一時庇護のための上陸の許可をいう。以下同じ。)の申請をした者の数は36人であり、その国籍•地域別の内訳は、イランが8人、スリランカが5人、エジプトが3人、ナイジェリアが3人、イエメンが2人、ガーナが2人、パキスタンが2人、モルドバが2人、イラクが1人、ウガンダが1人、カメルーンが1人、ソマリアが1人、中国が1人、中国(香港)が1人、チュニジアが1人、ドイツが1人、トルコが1人である。平成31年及び令和元年に一時庇護上陸許可を受けた者の数は、イラクが1人である。

令和2年に一時庇護上陸許可の申請をした者の数及び一時庇護上陸許可を受けた者の数は、現在集計中であり、現時点でお答えすることは困難である。

 

2 2018年から2020年の我が国の空港における難民認定申請件数を、申請が行われた空港別に示されたい。仮に2017年までは統計がとられていたのにもかかわらず、2018年以降統計がとられておらず、空港における難民認定申請者の実態が把握されていないとすれば、難民条約第33条第1項が定めるノン・ルフールマン原則が遵守されているか否かを検証することすら不可能である。当該統計をとることに対する、政府の見解を示されたい。

二の2について

平成31年及び令和元年に一時庇護上陸許可(入管法第18条の2第1項の一時庇護のための上陸のお尋ねについては、通常の業務において集計しておらず、集計に当たっては難民認定申請の受付及び処分を行ぅ地方出入国在留管理局等に調査を行わせ、その結果を精査するなどの作業に膨大な時間を要することから、お答えすることは困難であり、また、御指摘のような統計をとることは、現時点では考えていない。

 

3 2020年3月に公表された「令和2年における難民認定者数等について」によれば、2020年に仮滞在を許可した者は15人、仮滞在の許否を判断した人数は440人である。そのうち、空港にて難民認定申請を行った者の数をそれぞれ明らかにされたい。

一の1の⑺及び二の3について

令和2年に仮滞在許可(入管法第61条の2の4第1項の仮滞在の許可をいう。以下同じ。)を受けた者のうち、仮滞在許可を受けた時点で20歳未満であったものの数は11人(速報値)であり、その年齢別の内訳は、0歳が4人、1歳、3歳、8歳、11歳、14歳、17歳及び19歳がそれぞれ1人(いずれも速報値)である。

また、同年に仮滞在許可を受けた者のうち、出入国港である空港において難民認定申請を行ったものの数は0人(速報値)である。

その余のお尋ねについては、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

※前掲

 

三 難民認定申請者の収容について

1 2020年末時点で出入国在留管理庁の収容施設に収容されていた者の数と、そのうち、難民認定申請中、審査請求中及び難民不認定処分の取消しを求める訴訟係属中の者の数をそれぞれ明らかにされたい。

三の1について

令和2年末時点で出入国在留管理庁の収容施設に収容されていた者の数は346人(速報値)であり、このうち、難民認定申請中のものの数は45人、審査請求中のものの数は78人(いずれも速報値)であるが、難民不認定処分取消請求訴訟係属中のものの数については、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

 

2 2020年6月に公表された報告書「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」では、「仮放免を不許可とする場合及び仮放免の取消処分をする場合は、その理由をより具体的に告知するものとすることを検討すること」及び「一定期間を超えて収容を継続する場合にはその要否を吟味する仕組みを設けることを検討する」ことを求めている。それぞれに関して、現在の検討状況を示されたい。

三の2について

お尋ねの「仮放免を不許可とする場合」は「その理由をより具体的に告知するものとすることを検討すること」に関しては、検討の結果、令和3年2月19日に閣議決定し、今国会に提出した出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案において、入管法に「入国者収容所長又は主任審査官は・・・仮放免を不許可としたときは、当該請求をした者に対し、理由を付した書面をもつて、その旨を通知する。」との規定を加えることとしたところである。

お尋ねのその余の事項に関しては、現在、今国会における御議論等をも踏まえて引き続き検討しているところである。

 

四 保護費の支給状況について

1 2020年度(全期間の統計がとれていない場合はとれている期間。以下四5まで同じ。)について、保護費を申請した者の数、保護費を受給していた者の数をそれぞれ明らかにされたい。

四の1について

令和2年度において、難民認定申請をしている者のうち生活に困窮するものに対する支援としてする保護費の支給(以下「保護措置」という。)の申請をした者の数は、311人であり、保護措置を受けた者の数は、357人である。

 

2 2020年度に保護費を受給していた者の申請から受給決定までの平均待機期間、平均受給期間をそれぞれ示されたい。

四の2について

外務省においては、難民認定申請者保護事業等の実施を公益財団法人アジア福祉教育財団難民事業本部(以下「委託先」という。)に委託しているところ、令和2年度における、委託先が保護措置の申請を受け付けてから保護措置を開始して差し支えない旨の結果通知を同省から受けるまでの期間の平均は、約92日である。

また、同年度における保護措置を受けた者の平均受給期間は、約14箇月である。

 

3 2020年に保護費を申請したが受給できなかった者の数、国籍の内訳、申請から結果が出るまでの平均待機期間を明示されたい。

四の3について

令和2年において、保護措置の申請をしたものの保護措置の開始が不適当と判断された者の数は、83人であり、その国籍は、イエメン、イラク、イラン、インド、ウガンダ、エチオピア、カメルーン、ガンビア、ギニア、ケエア、スリランカ、セネガル、タンザエア、中国、チュニジア、トルコ、ナイジェリア、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブルキナファソ、ミャンマー、リベリア及びルワンダである。

また、同年における、委託先が当該申請を受け付けてから保護措置の開始が不適当である旨の結果通知を外務省から受けるまでの期間の平均は、約100日である。

 

4 2020年度の難民認定申請者緊急宿泊施設(以下「ESFRA」という。)の利用者数を性別、国籍別に示されたい。また、保護費の申請からESFRAの利用開始までの平均日数、最短日数及び最長日数をそれぞれ示されたい。

四の4について

令和2年度において、保護措置の対象者のぅち直ちに住居を確保する必要があるものに対する支援として提供している難民認定申請者緊急宿泊施設(以下「緊急宿泊施設」といぅ。)を利用した者の数は、9人であり、その男女別の内訳は、男性が4人、女性が5人であり、国籍別の内訳は、コンゴ民主共和国が5人、チュニジアが4人である。

また、保護措置の申請から緊急宿泊施設の利用開始までの平均日数は約10日、最短日数は0日、最長日数は49日である。

 

5 2020年度について、①保護費、②生活費、③住居費、④医療費のそれぞれの支給額を示されたい。また、2020年度のESFRAの予算額及び執行額をそれぞれ示されたい。

四の5について

お尋ねの令和2年度の支給額は、

①    保護費が1億6,442万3,590円、

②    生活費が1億913万7,299円、

③    住居費が4,570万7,478円、

④    医療費が957万8,813円である。

また、同年度の緊急宿泊施設の予算額は、347万1,600円であり、執行額は、現在精算の手続を行っているところであり、現時点で具体的な金額をお示しすることは困難である。

 

五 「送還忌避者の実態」について

2019年10月に公表された「送還忌避者の実態について」で示した以下の事項について、2020年末時点での統計を示されたい。仮に回答することができないものがある場合は、2019年10月時点での統計は示されていたのにもかかわらず、2020年末時点の統計を示すことが困難な理由を示されたい。

1 「送還忌避」被収容者について

五の1について

出入国在留管理庁が令和元年10月1日に公表した資料「送還忌避者の実態について」は、当該公表の当時における送還忌避者の実態等を明らかにするために特に集計等を行い、公表したものであるところ、お尋ねの各数値のうち、令和2年末時点の「⑻ 前記五1⑵のうち退去強制令書の発付後に初めて難民認定申請した者の数及びその国籍の内訳」については、集計を行っておらず、その余の⑴から⑺までの各数値は、次のとおりである(いずれも同年末時点の速報値)。

 

⑴ 退去強制令書の発付を受け、収容中の者の数

送還を忌避する者に限らず、退去強制令書の発付を受け、収容中の者(出入国在留管理庁の収容施設に収容されている者をいう。以下同じ。)の数は、330人である。

 

⑵ 被収容者のうち送還を忌避する者の数及びその国籍の内訳

退去強制令書の発付を受け、収容中の者のうち送還を忌避する者の数は、248人である。

また、国籍.地域別の内訳は、イランが25人、スリランカが25人、ブラジルが25人、ナイジェリアが23人、中国が18人、フィリピンが14人、ネパールが11人、ペルーが10人、パキスタンが8人、バングラデシュが8人、ベトナムが8人、その他が73人である。

 

⑶ 前記五1⑵のうち有罪判決を受けている者の数及び「犯罪の態様」の内訳

退去強制令書の発付を受け、収容中の者のうち送還を忌避する者で我が国において有罪判決を受けたことがあるものの数は、155人(入管法違反によるものを除く。)である。

また、その内訳は、薬物関係法令違反が97件、窃盗・詐欺が62件、傷害・暴行・恐喝等が49件、交通関係法令違反が39件、住居等侵入が22件、性犯罪(強制性交等など)が16件、強盗.強盗致傷が8件、その他が71件である。

 

⑷ 前記五1⑵のうち退去強制処分を複数回受けている者の数

退去強制令書の発付を受け、収容中の者のうち送還を忌避する者で退去強制処分を複数回受けているものは、61人である。

 

⑸ 前記五1⑵のうち仮放免中の逃亡や条件違反により仮放免が取り消された上で再収容されている者の数

退去強制令書の発付を受け、収容中の者のうち送還を忌避する者で仮放免取消歴があるものは、43人である。

 

⑹ 前記五1⑵のうち難民認定申請を行ったことがある者の数及びその国籍の内訳

退去強制令書の発付を受け、収容中の者のうち送還を忌避する者で難民認定申請を行ったことがあるものは、148人である。

また、国籍.地域別の内訳は、スリランカが24人、イランが21人、ナイジェリアが17人、ネパールが9人、バングラデシュが8人、その他が69人である。

 

⑺ 前記五1⑵のうち複数回の難民認定申請を行ったことがある者の数及びその国籍の内訳

退去強制令書の発付を受け、収容中の者のうち送還を忌避する者で複数回の難民認定申請を行ったことがあるものは、72人である。

また、国籍.地域別の内訳は、ナイジェリアが11人、スリランカが10人、イランが7人、ミヤンマーが6人、ネパールが5人、その他が33人である。

 

⑻ 前記五1⑵のうち退去強制令書の発付後に初めて難民認定申請した者の数及びその国籍の内訳

(集計を行っていない)

 

2 退去強制令書の発付を受け、仮放免中の者の数

五の2について

令和2年末時点で退去強制令書の発付を受けて仮放免されていた者の数は3,061人(速報値)である。

 

3 2020年末時点及び現時点で拒食継続中の者の数

五の3について

出入国在留管理庁が各収容施設からの報告に基づいて把握した拒食中の被収容者の数は、令和2年末時点で5人、令和3年6月9日時点で0人(いずれも速報値)である。

 

4 2021年4月16日の衆議院本会議にて、法務大臣は、「送還停止効は、難民認定申請中の者の法的地位の安定を図るために設けられた」と答弁している。一方、送還停止効を導入した「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」(平成16年6月2日法律第73号)に関する審議で、法務大臣は「難民認定申請中の者及び難民と認定された者の法的地位の安定化を早期に図るため・・・仮滞在許可制度を創設する(2004年5月19日衆議院法務委員会)」と述べており、送還停止効の目的が法的地位の安定にあるとは述べていない。
 むしろ、送還の停止は、国際慣習法であるノン・ルフールマン原則に基づくものであり、難民認定申請者の権利である。先般の、送還停止効の目的は法的地位の安定である旨の答弁は、立法趣旨に反するものではないか。政府の見解を求める。

五の4について

御指摘の平成16年5月19日の衆議院法務委員会における野沢法務大臣(当時)の発言は、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成16年法律第73号)による仮滞在許可制度の創設等を含む難民認定制度の見直しの趣旨について、難民認定申請中の者及び難民と認定された者の法的地位の安定を図ることにあることを述べたものであるところ、同法により新設された入管法第61条の2の6第3項の規定の趣旨が難民認定手続中の者の法的地位の安定を図ることにあることは、当該発言からも明らかであるから、「先般の、送還停止効の目的は法的地位の安定である旨の答弁は、立法趣旨に反する」との御指摘は当たらないものと考えている。

 

右質問する。

[了]

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