国会質疑等(2001年11月30日)北川れん子議員(社民・衆)質問主意書[入管収容・仮放免]

第153回国会 質問第15号 衆議院議員北川れん子議員「外国人の収容および仮放免に関する質問主意書」(2001年10月17日)(外部リンク:衆議院ウェブ

[153衆-015] 011017質-北川れん子(社民)_011130答-小泉純一郎首相 [収容&仮放免](合体版)[PDF]

答弁書15号 衆議院議員北川れん子議員「外国人の収容および仮放免に関する質問に対する答弁書(2001年11月30日)

外国人の収容および仮放免に関する質問主意書

出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)における退去強制手続については、対象となるもの全員を原則として収容する収容前置主義の適否、収容施設における処遇の妥当性、仮放免の可否の判断における透明性の欠如、難民申請者の収容の適否など、これまで様々な問題点が指摘されてきた。

なかでも、被収容者が退去強制令書の送還部分について裁判所の執行停止が付されているなど行政訴訟継続中の場合などにおいては、長期間にわたって、期間の定めのない収容が継続する状況となっている。これについては、国連人権委員会も1998年11月5日に採択した最終見解において、被収容者への収容が6ヶ月ないし2年間にもおよぶ可能性があることについて懸念を表明し、収容所の状況を規約第7条・第9条に合致させるよう勧告している。以上の点に鑑み、入管法の退去強制手続に係る収容及び仮放免等の手続の執行、運用実態等について明らかにし、入管行政における透明性確保等に向けた政府の見解を問うため、以下質問する。

なお、質問のうち三乃至十は平成8年度より平成12年度までの5年間を通算しての人数を明らかにすることを求めているものであり、特定の個人が識別され、個人の権利利益が害されるおそれ等があるとは考えられない。従って、かかる理由で答弁を差し控える場合には、そのおそれが生じる蓋然性について具体的に示すことを求める。

一 平成8年度から平成12年度までの各年度において、収容令書でなく、退去強制令書に基づいて入国者収容所に収容された被収容者(以下、「被収容者」という)の人数を明らかにされたい。回答については、各年度ごとに、入国者収容所別に示されたい。

一について

平成8年から平成12年までの各年に退去強制令書により入国者収容所に収容された者の入国者収容所別の人数は、別表一のとおりである。

二 上記一の被収容者のうち、以下の者の人数を明らかにされたい。回答については、各年度ごとに、入国者収容所別に示されたい。

(一) 退去強制令書の送還部分について裁判所による執行停止を受けた者(以下、「執行停止を受けた者」との表記は、断り書きがない限り、退去強制令書の送還部分について裁判所による執行停止を受けた者のことを指す。)

(二) 一のうち、退去強制令書の収容部分についても裁判所による執行停止を受けた者

二について

平成8年から平成12年までの各年に退去強制令書により入国者収容所に収容され、裁判所に退去強制令書に基づく執行の停止を申し立てた者のうち、退去強制令書に基づく執行を停止するとの決定を受けた者はなく、退去強制令書に基づく執行を送還部分に限り停止するとの決定(以下「送還部分の執行停止決定」という。)を受けた者の入国者収容所別の人数は、別表二のとおりである。

三 上記一の被収容者のうち、退去強制令書の送還部分について裁判所による執行停止を受けた者について、執行停止が行われた理由別に分類した上、項目ごとの人数を示されたい。回答については、5年間の総計を示されたい。

三について

裁判所は、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第25条第2項により、送還された場合に申立人に生ずる「回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があるとき」に送還部分の執行停止決定を行うことができるが、同条第3項により、「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるとき」はこれを行うことができないとされているところ、具体の事件についての裁判所の決定書においては、これらの要件の有無の判断に際し、個々の事案に即して種々の事情が考慮されていることから、これらを分類し項目ごとの人数を示すことは困難である。

四 平成8年度から平成12年度までの5年間において、執行停止を受けた者のうち、難民認定申請を行ったことのある者の人数を明らかにされたい。回答については、5年間の総計を示されたい。

五 平成8年度から平成12年度までの5年間において、執行停止を受けた者のうち、仮放免を許可された者(以下、「仮放免を許可された者」という)の人数を明らかにされたい。回答については、5年間の総計を示されたい。

四及び五について

平成8年から平成12年までの間において、送還部分の執行停止決定を受けた者のうち、難民認定申請を行った者は16人、仮放免された者は35人である。

六 平成8年度から平成12年度までの5年間において、退去強制令書に基づいて入国者収容所に収容された被収容者のうち、以下の者の人数を明らかにされたい。回答については、5年間の総計を示されたい。

(一) 仮放免を許可された者

(二) (一)のうち、退去強制令書の送還部分の執行停止を受けていた者

(三) (二)のうち、難民認定申請を行ったことのある者

六について

平成8年から平成12年までの間において、退去強制令書により入国者収容所に収容された者のうち、仮放免された者は56人であり、そのうち、仮放免の前又は後に送還部分の執行停止決定を受けた者は21人であり、そのうち、難民認定申請を行った者は14人である。

七 平成8年度から平成12年度までの5年間において、仮放免を許可された者について、退去強制令書の執行による収容(入国管理局収容場における収容を含む)の開始から、仮放免の許可を受けるまでに収容が継続した期間の平均期間を明らかにされたい。また、最長・最短の期間を明らかにされたい。

八 平成8年度から平成12年度までの五年間において、仮放免を許可された者について、退去強制令書の執行による収容(入国管理局収容場における収容を含む)の開始から、仮放免の許可を受けるまでに収容が継続した期間が6ヶ月未満だった者の人数、6ヶ月以上1年未満だった者の人数、1年以上1年6ヶ月未満だった者の人数、1年6ヶ月以上だった者の人数を明らかにされたい。

七及び八について

平成8年から平成12年までの間に仮放免された者について、退去強制令書による収容の開始から仮放免されるまでの期間は、平均で1.3日、最長で2,046日、最短で1日であり、お尋ねの期間別の人数は、別表三のとおりである。

九 平成8年度から平成12年度までの5年間において、退去強制令書の執行停止を受けた者のうち仮放免を許可された者以外の者について、退去強制令書の執行による収容の開始から、収容が終わるまでの期間(現在収容中の場合は、回答日までの期間)の平均期間を明らかにされたい。また、最長・最短の期間を明らかにされたい。

十 平成8年度から平成12年度までの5年間において、退去強制令書の執行停止を受けた者のうち仮放免を許可された者以外の者について、期間が6ヶ月未満の者の人数、6ヶ月以上1年未満の者の人数、1年以上1年6ヶ月未満の者の人数、1年6ヶ月以上の者の人数を明らかにされたい。

九及び十について

平成8年から平成12年までの間において、送還部分の執行停止決定を受けた者のうち仮放免された者以外の者について、退去強制令書による収容の開始から収容の終了までの期間は、平均で380.1日、最長で958日、最短で135日であり、お尋ねの期間別の人数は、別表四のとおりである。

十一 収容期間が長期化した場合について内閣総理大臣は、平成13年8月7日に衆議院議長に対して送付された答弁第111号「出入国管理及び難民認定法における退去強制手続に関する質問に対する答弁書」において、場合に応じて仮放免の弾力的適用により対処する旨述べているが、仮放免をするべき理由や仮放免の可否に関する判断基準、収容期間の上限などが定められておらず、また、収容期間の平均や最長・最短期間、仮放免に要する保証金の金額の平均などの情報も開示されていないため、入管法に基づく収容の実態は著しく不透明なものとなっており、被収容者をはじめ、わが国に在住する外国人、さらには日本国民に不安を与えるものとなっているが、どのように認識しているか。

十一について

仮放免の許否については、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)第54条第2項において、「収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格、資産等を考慮」すると規定されており、これを踏まえて、仮放免取扱要領(平成13年2月1日付け法務省管警第12号法務省入国管理局長通達)第9条において、入国者収容所長又は主任審査官は、仮放免の請求を受けたときは、被収容者の容疑事実又は退去強制事由及び当該被収容者についての審査を担当している入国審査官等の意見のほか、①仮放免請求の理由及びその証拠、②被収容者の性格、年齢、資産、素行及び健康状態、③被収容者の家族状況、④被収容者の収容期間、⑤身元保証人となるべき者の年齢、職業、収入、資産、素行、被収容者との関係及び引受け熱意、⑥逃亡し、又は仮放免に付す条件に違反するおそれの有無、⑦日本国の利益又は公安に及ぼす影響、⑧その他特別の事情を勘案し、仮放免を許可することができるとしているところである。保証金の額についても、入管法第54条第2項において、「300万円を超えない範囲内で法務省令で定める額」と規定されており、さらに、出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和56年法務省令第54号)第49条第5項において、「仮放免される者の出頭を保証するに足りる相当の金額でなければならない。ただし、未成年者に対する保証金の額は、150万円を超えないものとする」と規定している。

法務省においては、右に述べた仮放免取扱要領を始め外国人の収容及び仮放免に関する取扱いを明らかにした文書並びに各種統計資料については、可能な限り開示しているところである。

右質問する。

[了]

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