法相会見(2013年12月17日)「難民認定において法務大臣が難民審査参与員の多数意見と異なる決定をした事案に関する質疑について」

法務大臣閣議後記者会見の概要「難民認定において法務大臣が難民審査参与員の多数意見と異なる決定をした事案に関する質疑について」(2013年12月17日)

難民認定において法務大臣が難民審査参与員の多数意見と異なる決定をした事案に関する質疑について
【記者】
 一部報道で,難民認定について,大臣がミャンマー人の方の難民認定を不認定とされたというような報道がありましたが,事実関係と,もしそうでしたらその理由についてお聞かせください。
【大臣】
 難民審査をして,「あなたは難民とは認定できません。」とされた場合は,異議申立てができるわけです。その場合に最終的な判断権者というのは法務大臣になるわけですが,難民審査参与員という,3人で1チームですが,その意見を聞く必要があります。この制度ができたのは平成16年ですが,昨年末までに約2,700件の決定がございました。いずれも参与員の多数意見をそのまま法務大臣として受け入れてまいりましたが,今年に入って3件,難民審査参与員の多数意見が「理由あり」とされて,難民に該当するとされた事案に対して,法務大臣が「理由なし」と判断して告知した事例がございます。このうち2件については,難民とは認定しなかったのですが,諸般の事情を考慮して本邦での在留を許可するという形にしております。
【記者】
 ミャンマー人の方の不認定というのはいろいろな経緯等を判断されたということでしょうか。
【大臣】
 個別の判断は,当事者には詳しく内容をお伝えしておりますが,当事者以外の方には余り申し上げることではないと思っております。今3つ申し上げた中で,2つは難民とは認定しなかったけれども在留を許可しました。他の1件は,この異議申立人が本国政府の保護を受けているものと考えられるために在留を許可しなかったということです。
【記者】
 難民審査参与員制度というのは,異議申立手続の中立性,公平性を保つために一次の審査と違った形で,専門家の方が第三者機関的な専門的立場から再度異議申立手続をするという形でできたわけです。そこに今まで法務大臣は,その結果に対して異議を挟むことはなかったと思うのですけれども,今回,そういった難民審査参与員制度に関して大臣が関与して,その結果を覆すような結果を出したということについて,どのような判断があったのか,どのような経緯があってそういうことになったのかということをお伺いしたいのですが。
【大臣】
 先ほど申し上げたように,法務大臣としての判断をするに当たっては参与員から意見を聞かなければいけないという形になっているわけです。この制度が取り入れられましてから,昨年末までに約2,700件そういう問題がございましたが,昨年までは参与員の判断に従った判断を法務大臣もずっとしてきたということです。一般論としてですが,参与員の意見というのは十分踏まえながら考えなければなりませんが,それと同時に,異議申立人にそれぞれ固有の事情もあります。また,その出身国の政治的あるいは社会的情勢に関する情報等もいろいろございます。そういうものを考慮して,それから,他の類似事案と比較考量した上で判断する。そういうことで最終的には法務大臣が,その権限と責任で参与員の判断と違う判断をすることもあり得る。たまたまそういう事案が発生したということでございます。これでもって,難民審査参与員制度の趣旨を損なっているとは考えておりません。
(以上)

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