入管資料(2007年3月6日)法務省入管局「平成18年における難民認定者数等について」

法務省入国管理局「平成18年における難民認定者数等について」(2007年3月6日)[PDF]


【広報資料】

平成18年における難民認定者数等について

平成19年3月6日
法務省入国管理局

 平成18年に我が国において難民認定申請を行った者は954人であり,前年に比べ570人(約2.5倍)増加した。これは,我が国に難民認定制度が
発足した昭和57年以降の25年間で最高の数である。また,平成18年に難民として認定した者は34人(うち12人は異議申立手続における認定者)で,前年に比べ12人減少しており,同年中に難民認定処分及び不認定処分を受けた者423人のうち約8パーセントとなっている。
 申請者の国籍別では,ミャンマーが626人と最も多く,次いでトルコの149人となっており,この2か国で申請者全体の約81パーセントを占めている。難民と認定した者の国籍も,その8割以上がミャンマーであった。
 なお,難民と認定しなかったものの,人道的な理由等から特に在留を認めた者は53人で,難民として認定した者を合わせた数(庇護数)は87人となる。これは,昭和57年以降,3番目の数である。

第1 平成18年における難民認定申請及び異議の申立ての状況
1 難民認定申請数及び処理数等
(1) 難民認定申請数
 難民認定申請を行った者(以下「申請者」という。)は954人であり,前年に比べ570人(約2.5倍)増加した。
 主な国籍別申請者数は,多い順に,ミャンマー626人,トルコ149人,イランとスリランカが共に27人となっている。
 特徴としては,ミャンマー人とトルコ人の申請者がそれぞれ前年に比べ,414人(約3倍),109人(約3.7倍)の大幅な増加を示しているものの,この2か国以外の申請者は,47人の増加となっている。ミャンマー人とトルコ人の申請者全体に占める割合は,それぞれ約66パーセント,約16パーセントとなっており,前年に比べ,それぞれ約11ポイント,約6ポイント増加している。

(2) 処理数
 難民認定申請を処理した数は471人であり,前年に比べ約44パーセント増加し,昭和57年以降,最高の数を記録した。その内訳は,難民と認定した者(以下「認定者」という。)34人,難民と認定しなかった者(以下「不認定者」という。)389人,申請を取り下げた者等48人となっている。
 認定者及び不認定者を合わせた数に占める認定者の割合(難民認定率)は,約8.0パーセントであり,これは前年に比べ約7.6ポイント減である。
 なお,認定者の国籍を見ると,28人がミャンマー国籍の者で最も多く,認定者全体の約82パーセントに当たる。

(3) 入国時の態様
 申請者の我が国への入国時における態様は,合法入国者799人(申請者全体の約84パーセント),不法入国者155人(申請者全体の約16パーセント)となっており,昨年に比べ不法入国者の割合が約5ポイント減少している。
 なお,過去5年間における年別・入国時の態様別内訳は別表1のとおりである。

(4) 申請時の在留状況
 申請者の申請時における在留態様は,正規在留者が224人(申請者全体の約23パーセント),不法滞在者等は730人(同約77パーセント)となっており,昨年に比べ不法滞在者等の割合が約5ポイント増加している。
 なお,過去5年間における年別・在留態様別内訳は別表2のとおりである。

(5) 身柄拘束後の難民認定申請状況
 退去強制事由該当者として入国管理局の収容施設に収容されるなど,身柄を拘束された後に難民認定申請した者は,357人(申請者全体の約37パーセント)となっており,昨年に比べ,206人(約2.4倍)増加している。
 なお,過去5年間の状況は別表3のとおりである。

(6) 所在不明等
ア 申請中の所在不明数
 難民認定申請中の者(異議申立てをした者を除く。)のなかで,平成18年末の時点で逃亡等により所在不明となっている者は58人にのぼり,所在不明者の主な国籍別内訳は,トルコ人20人,パキスタン人16人となっている。

イ 申請取下数
 難民認定申請中の者(異議申立てをした者を除く。)のうち,申請を取り下げた者等は48人であり,取下げ等をした者の主な国籍別内訳は,トルコ人15人,バングラデシュ人5人となっている。

2 難民異議申立数及び処理数
(1) 異議申立数
 難民の認定をしない処分(以下「不認定処分」という。)に対して異議の申立てをした者(以下「異議申立者」という。)は340人である。異議申立者の主な国籍別内訳は,ミャンマー242人,トルコ65人となっており,ミャンマー国籍の者のみで約71パーセントを占めた。

(2) 処理数
 異議の申立てを処理した数は172人で,その内訳は,異議の申立てに理由があるとされた者(認定者)は12人,理由がないとされた者(不認定者)は127人,異議の申立てを取り下げた者等は33人であった。異議申立てにおける認定者及び不認定者に占める認定者の割合(難民認定率)は,約8.6パーセントであり,これは前年比0.1ポイント増である。
 なお,認定者はいずれもミャンマー国籍の者である。

(3) 所在不明等
ア 申立中の所在不明数
 異議申立者のなかで,平成18年末の時点で逃亡等により所在不明となっている者は35人にのぼり,所在不明者の主な国籍別内訳は,トルコ人13人,パキスタン人10人となっている。

イ 申立取下数
 異議申立者のうち,異議申立てを取り下げた者等は33人であり,取下げ等をした者の主な国籍別内訳は,トルコ人17人,ミャンマー人10人となっている。

3 庇護数
 難民と認定しなかったものの,人道的な理由を配慮し在留を認めた者(以下「人道配慮」という。(注))は53人であり,うち33人(約62パーセント)はミャンマー国籍を有する者である。
 また,上記人道配慮した数に認定者数を加えた87人が,我が国が実質的に庇護を与えた者であり,これは,昭和57年以降,3番目の数である。
(注)「人道的な理由を配慮し在留を認めた者」とは,難民不認定処分を受けた者について,引き続き本邦での在留を認める決定を行った者を指す。なお,平成18年中に人道配慮した者の中には,平成17年以前に難民不認定処分を受けていたものの,その後の事情の変化を踏まえて,改めて人道配慮することとしたものを含んでいる。したがって,平成18年中の認定者及び不認定者を合わせた423人のうち庇護を与えた者が87人いるというわけではない。

第2 難民条約加入以降における難民認定申請及び異議の申立ての状況(最近5か年の特徴を含む。)【別表4及び5】
1 難民認定申請数及び処理数(一次審査)
(1) 難民認定申請数
 難民認定制度が発足した昭和57年1月から平成18年12月末までの申請者数は4,882人であり,申請者の多い国籍についてみると,ミャンマー1,335人(申請者全体の約27パーセント),トルコ803人(同約16パーセント),パキスタン429人(同約9パーセント)となっている。
 なお,平成14年から同18年までの過去5年間(以下「過去5年間」という。)における年別にみた主な国籍別申請者数は次のとおりである。【過去5年間における年別・主な国籍別申請者数(上位3か国)】

年国籍申請者数
平成14年トルコ52
ミャンマー38
パキスタン26
平成15年ミャンマー111
トルコ77
イラン25
平成16年ミャンマー138
トルコ131
バングラデシュ33
平成17年ミャンマー212
トルコ40
バングラデシュ29
平成18年ミャンマー626
トルコ149
イラン,スリランカ27

(2) 処理数
 昭和57年1月から平成18年12月末までの間に難民認定申請を処理した数は4,095人であり,その内訳は,認定者(異議申立ての結果認定された者を含む。)410人,不認定者3,162人,申請を取り下げた者等523人となっている。
 認定者及び不認定者を合わせた数に占める認定者の割合(難民認定率)は,約11.5パーセントである。
 一次審査の段階での主な国籍別認定者数は,ミャンマー106人,イラン60人,ベトナム59人となっている。
 なお,過去5年間における年別にみた主な国籍別認定者及び不認定者数は次のとおりである。

【過去5年間における年別・主な国籍別認定者数(一次審査)】
年国籍認定者数
平成14年アフガニスタン6
平成15年ミャンマー5
平成16年ミャンマー9
平成17年ミャンマー29
平成18年ミャンマー16

【過去5年間における年別・主な国籍別不認定者数(上位3か国)】
年国籍不認定者数
平成14年アフガニスタン40
パキスタン38
トルコ30
平成15年ミャンマー73
トルコ65
中国32
平成16年トルコ136
ミャンマー46
イラン13
平成17年ミャンマー118
バングラデシュ28
トルコ27
平成18年ミャンマー259
トルコ76
バングラデシュ12

2 難民異議申立数及び処理数
(1) 異議申立数
 昭和57年1月から平成18年12月末までの間における不認定処分に対する異議申立者は2,202人である。
 また,過去5年間における年別にみた主な国籍別異議申立者数は次のとおりである。

【過去5年間における年別・主な国籍別異議申立者数(上位3か国)】
年国籍異議申立者数
平成14年トルコ57
アフガニスタン45
パキスタン37
平成15年ミャンマー65
トルコ45
中国30
平成16年トルコ78
ミャンマー38
イラン11
平成17年ミャンマー102
トルコ23
バングラデシュ14
平成18年ミャンマー242
トルコ65
バングラデシュ7
(注) 難民認定申請が不認定処分となり,その告知を受けて異議の申立てをした者

 なお,過去5年間における不認定処分に対する異議申立ての占める割合は約83パーセントであり,各年別にみた割合は次のとおりである。
○ 平成14年約85パーセント
○ 平成15年約76パーセント
○ 平成16年約84パーセント
○ 平成17年約76パーセント
○ 平成18年約90パーセント

(2) 処理数
 昭和57年1月から平成18年12月末までの間に異議の申立てを処理した数は1,924人であり,その内訳は異議の申立てに理由があるとされた者(認定者)が44人,理由がないとされた者が1,552人,異議の申立てを取り下げた者等が328人となっている。

 なお,平成17年及び同18年において,異議の申立てに理由があるとされた者(認定者)の主な国籍は次のとおりである。

【年別・主な国籍別異議申立てにおける認定者数】
年国籍認定者数
平成17年ミャンマー14
平成18年ミャンマー12

第3 平成17年5月16日に施行された改正法の運用状況
1 仮滞在許可
 不法滞在者である難民認定申請中の者の法的地位の安定化を速やかに図るべく,在留資格未取得外国人から難民認定申請があった場合,一定の要件に該当する場合を除き,その者に仮に本邦に滞在することを許可するものとされ(法第61条の2の4第1項),ここにいう許可を仮滞在許可という。
 平成18年に仮滞在許可の可否を判断した人数は721人であり,そのうち許可した者は122人,不許可とした者は599人である。なお,平成17年については,それぞれ326人,50人,276人であった。平成18年に仮滞在を不許可とした案件について,その主な理由は,
○本邦に上陸した日(本邦にある間に難民となる事由が生じた者にあっては,その事実を知った日)から6か月を経過した後に難民認定申請をしたこと…392人
○既に退去強制令書の発付を受けていたこと…110人
○逃亡するおそれがあると疑うに足りる相当の理由があったこと…60人
○迫害のおそれのあった領域から直接本邦に入ったものでないこと…34人
である。(注)
(注)1人の申請者について不許可理由が複数ある場合は,そのすべてを計上しているため,不許可理由の合計は不許可者数と一致しない。

2 難民審査参与員制度
(1) 難民異議申立手続については,その公正性,透明性を図るべく,法務大臣は,異議申立てに対する決定に当たっては,難民審査参与員の意見を聴かなければならないものとされた(法61条の2の9第3項)。

(2) 法務大臣は,異議申立てを受けたすべての案件について,3名の難民審査参与員の意見を聴くこととしているが,これに先立ち,異議申立人等がその意見を述べる口頭意見陳述や,難民調査官や難民審査参与員が異議申立人に対して質問する審尋を行っている。
 平成18年における口頭意見陳述・審尋期日の開催回数はのべ129回である。このうち,当該案件に関する2回目以降の期日(いわゆる続行期日)は4回である。

(3) 平成18年に参与員から意見書が提出された案件は123件,158人であるが,このうち,難民該当性を認めるものが6件,10人(件数にして,4.9パーセント,人数にして6.3パーセント),難民該当性は認められないものの在留配慮の要ありとするものが11件,17人(件数にして,8.9パーセント,人数にして10.8パーセント)となっている。
 したがって,難民審査参与員は,全体のうち,件数にして,13.8パーセント,人数にして17パーセントについて,異議申立人に対する何らかの配慮が必要であるとしている。
 その国籍別内訳を見ると,難民該当性を認めるものも,在留配慮の要ありとするものもいずれもミャンマー国籍を有する者の案件である。
 なお,これまでのところ,法務大臣において,難民審査参与員の意見(意見が分かれたものについては多数意見)と異なる処理をした例はない。

第4 難民認定関係訴訟の状況
1 難民認定関係訴訟件数
 平成18年中に提起された難民不認定処分等取消請求訴訟等は59件であり,前年(52件)より増加した。
 同訴訟提起に係る主な国籍別件数は,ミャンマー39件,トルコ12件となっている。
 なお,過去5年間に提起された同訴訟件数は241件で,同訴訟の年別・国籍別提起件数の推移は別表6のとおり。

2 訴訟係属等の状況
 平成18年末現在における難民不認定処分等取消請求訴訟等の係属件数は146件であり,主な国籍別係属件数は,ミャンマー88件,トルコ28件,イラン8件となっており,この3か国で全体の同訴訟係属件数の約85パーセントを占めている。
 また,同訴訟の係属件数の内訳は,地方裁判所121件,高等裁判所18件,最高裁判所7件となっている。
 なお,難民不認定処分等取消請求訴訟等について,訴訟の取下げ等判決以外の事由により当該訴訟が終了した件数は,中国2件,アフガニスタン,コンゴ,スリランカ,ミャンマー各1件計6件である。

3 判決等の状況(注)
 平成18年中に判決が下された難民不認定処分等取消請求訴訟等は81件であり,そのうち国側が勝訴したのは69件である。難民関係訴訟全体において国側が勝訴した件数が占める割合は,約85パーセントとなっている。
(注)判決書の数である。例えば,個人が複数の関連処分の取消しを請求したり,家族が処分の取消しを請求している場合などは,複数の事件について1件の判決書にまとめられることがあるので,係属案件数等とは,若干の相違がある。

添付資料
別表1「難民認定申請者の本邦入国時の状況」[PDF]
別表2「難民認定申請者の申請時の在留状況」[PDF]
別表3「身柄拘束後の難民認定申請状況」[PDF]
別表4「難民認定申請及び処理数の推移」[PDF]
別表5「難民不認定に係る異議申立受理及び処理数の推移」[PDF]
別表6「難民認定関係訴訟提起件数の推移」[PDF]
別紙1「難民と認定した事例」[PDF]
別紙2「難民異議申立理由説明事例」
[PDF]
別紙3「難民審査参与員制度運用における事例」[PDF]
10 別紙4「難民審査参与員一覧」[PDF]

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