声明・提言等(2021年2月19日) #入管法改悪反対! 第3弾「#在留特別許可制度を 「補完的保護」に替える ことに反対します 」

「#在留特別許可制度を 「補完的保護」に替える ことに反対します 」(#入管法改悪反対! 第3弾)[PDF]

作成:全国難民弁護団連絡会議

日付:2021年2月19日

在留特別許可制度の廃止と「補完的保護」の導入

1 法務省作成の法案は、「難民以外の者であって、難民条約の適用を受ける要件のうち迫害を受けるおそれがある理由が難民条約に規定する理由であること以外の要件を満たす者」(2条)と定義される「補完的保護対象者」の認定手続を設け、審査請求の対象とするなど、難民認定と同様の手続を設ける。

 一方、難民認定手続の中で在留特別許可の審査を受ける制度は、退令未発付が前提となる仮滞在者の在留資格取得制度(61条の2の5)を除いて、撤廃される。さらに、仮滞在者の終了後に再開される退去強制手続の中での在留特別許可申請が可能となっている。

2 しかし、上記の制度変更は、保護対象の拡大をほとんど期待できず、他方で保護対象から排除される事例や、非人道的な結果を招くおそれがあり、反対する。

3 補完的保護対象者の制度では、保護される者の範囲が適正化することが期待できない。従来、難民認定が少な過ぎた実態の主たる直接原因は、個別把握論(迫害者によって個別に把握されている場合でなければ迫害の恐れを認めない見解)や難民認定申請者の供述の信憑性を過度に疑う判断方法などによって、迫害の恐れが不当に広範に否定されてきたことだった。難民条約所定の迫害理由の解釈が狭過ぎる点も問題だが、その点の改善だけでは、保護されるべき者が保護されない現状に大きな改善が期待できない。

  却って、在留特別許可制度の撤廃によって、従来よりも保護範囲が狭くなるおそれもある。例えば迫害に至るかどうか区別が難しい差別被害者、私人による人権侵害からの保護も、在留特別許可による保護であれば可能性があったからである。

4 仮滞在者の在留資格取得制度(61条の2の5)は、仮滞在者に限り、退去強制手続の再開を経ないで、在留資格取得をさせる制度である。

  だが、手続は、「法務省令の定めるところにより」としか書かれていない。申請に対する処分でなく、また代理人の選任の可否や手続保障も不明確である。

5 退令発付後に監理措置下で難民認定手続(難民審査請求を含む。)が続いた場合、在留特別許可の許否の審査が行われる制度的保障がなくなる。

  空港支局で難民不認定処分とともに退令発付され、以後、監理措置下で審査請求、あるいは2回目の難民認定申請を経た場合、あるいは空港から監理措置で解放されて1回目の難民認定申請の審査を受けたのち、退令が発付されて、さらに2回目の難民認定申請の審査を受けた場合など、監理措置下の間に生じた、日本人等との結婚や、子どもの日本社会への定着などの事情があっても、在留特別許可の審査を受ける保障がなくなることは、妥当でない。

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