法務大臣閣議後記者会見の概要「「収容・送還に関する専門部会」の提言に関する質疑について」(2020年8月7日)[法務省ウェブ]
【大臣】 【大臣】「収容・送還に関する専門部会」の提言に関する質疑について
先月,法務大臣に提出された「収容・送還に関する専門部会」の提言の中と,出入国在留管理庁において取りまとめたその概要によりますと,冒頭で「本人の事情を適切に把握するための措置等」として「在留特別許可の考慮要素,基準の一層の明確化」が検討課題として挙げられています。
平成18年以降「在留特別許可に係るガイドライン」が公表され,個別事案ごとに,諸般の事情を総合的に勘案して行うということで,法務大臣や地方入管局長の裁決の特例や自由裁量とされています。
在留特別許可の中には,いわゆる「再審情願」といったものも含まれていると思いますが,これは入管法上の行政手続ではありません。
いずれにしても,在留特別許可というのは非常に曖昧で,手続も全く不透明な状態です。
この10年間で在留特別許可件数は大幅に減っているのですが,こういった人数というのは,法務大臣や地方入管局長等の政策的な判断が影響しているのでしょうか。こういった大きな変動というのは,どういう原因だと考えていらっしゃるのか。
その上で,専門部会が提言した「在留特別許可の考慮要素,基準の一層の明確化」というものに対して,どのような検討を今後されていくのか,お考えをお伺いします。
近年,在留特別許可の件数が減少傾向にあることはお尋ねのとおりですが,これは,在留特別許可の前提となる異議の申出の件数が減少していることがその一因であると考えております。
いずれにしても,在留特別許可をするか否かの判断については,かねてから,個々の事案ごとに,在留を希望する理由,素行,人道的な配慮の必要性などを総合的に勘案して行っており,お尋ねのような「政策的な判断」が影響しているということはございません。
次に,御指摘の「収容・送還に関する専門部会」で取りまとめられた御提言には,在留特別許可に関する内容が含まれていると承知しております。
私は,出入国在留管理庁に対し,いただいた御提言を十分に踏まえ,その他の様々な御指摘にも耳を傾けながら,必要な検討をしっかりと行うように指示しており,今後,そのような検討を行っていくことになると考えております。
【記者】
在留特別許可を個別案件ごとに判断するという話ですが,在留特別許可のガイドラインというのを一定の基準化をする方向では全く考えていらっしゃらないのか,個別対応だけで対応しきれるのか,ということをお伺いしたいのですが。やはり人数が1万人台であった時代と,それから今は千人台ということで,8分の1,10分の1に激減しているわけですが,それについては見直す必要は全くないというお考えでしょうか。
現在,「収容・送還に関する専門部会」で取りまとめられた御提言を踏まえて,検討をしているところでございますので,ただ今御指摘をされた点も含めて,出入国在留管理庁で検討しているところでございます。