声明・提言等(2022年8月23日)全難連より「 在アフガニスタン日本大使館職員及びその家族の集団的難民認定に対するコメント」を発表しました

在アフガニスタン日本大使館職員及びその家族の集団的難民認定に対するコメント[PDF]

日付:2022年8月10日

団体:全国難民弁護団連絡会議

関連:

<コメント全文>

在アフガニスタン日本大使館職員及びその家族の集団的難民認定に対するコメント

2022年8月23日

全国難民弁護団連絡会議

 本日、各種メディアにおいて、日本に退避していた在アフガニスタン日本大使館の現地職員とその家族ら計98人が難民認定を受けた、と報じられています。私たちは、難民認定を受けたアフガニスタン出身の方々が、今後、日本で安定的に、安心して生活ができるよう、市民社会として心から歓迎します。

一方で、日本政府に対しては、これまでに指摘されてきたことも含めて、コメントを述べたいと思います。

1 本来であれば、2021年の入国後、すみやかに難民認定すべきだったこと

 2021年8月15日のタリバンによるカブール制圧以降、アフガニスタンの人々が迫害の危険に直面していたことは、報道から明らかでした。ところが、日本政府は、日本大使館職員と家族の方々を、昨年秋に日本に退避させたものの、早期に日本で難民認定申請ができることを教示してこなかったことがうかがわれます。また、国会での質問等によれば、日本での定着に向けた支援が可能であったにもかかわらず、それを行おうとしてきませんでした。なお、2021年に、難民認定されたアフガニスタン国籍者は、わずか9人[1]でした。

国会での質問等によれば、日本に退避してきた家族には、学校に通う年齢の子どもも多く含まれていましたが、しばらくの間、学校に通えていなかったことも報告されており、ひとりの「人間」である彼らの安定した日常生活の確保や、将来の日本での生活に向けた取り組みは必ずしもなされてこなかったのです。

2 難民認定以前にアフガニスタンに帰国した方々がいること

  国会での質問等によれば、今回の集団的難民認定の前には、アフガニスタンに帰国した日本大使館職員と家族の方々が相当数いたことが明らかになっており、また、帰国を勧められた方々もいると指摘されています。つまり、アフガニスタンは、出身者が難民認定されるほど危険な状態なのに、難民認定制度や在留資格制度について十分な情報を伝えることなく、帰国を勧めるという対応を取っていた疑いがあります。報道等からすれば、外務省は、今回の集団的難民認定の直前の7月まで、職員をアフガニスタンへ帰国させており、これ以上の帰国が見込めなくなると、難民申請をさせる方針に変更しました。本来であれば、同じように難民認定されていたはずの人を、帰国させてしまった可能性が否定できません。

私たちは、日本政府に対し、帰国したすべての職員の方々に対して、難民認定申請ができることを伝えた上で、本人が希望する場合は、再来日できるようにすることを求めます。

3 他の難民申請者に対しても、迅速な難民認定をすべきこと

 今回の集団的難民認定は、難民認定申請から1か月と経たずに、異例の早さで認定がされました[2]。昨年の、難民審査にかかる平均処理期間は、一次手続で約 32.2 月、不服申立て手続で約 20.9 月でした[3]

 今回の集団的難民認定は、日本政府が早く難民認定手続をしようとすれば、できることを示しています。ある報道では、「政府としては、日本のために働いた人々の人道面も考慮したものとみられます」というような評価もされていますが、日本のために働いていたかどうかにかかわらず、いずれの難民申請者も、公平に扱わなければならないのは当然のことです。

 特に、緊急避難措置が取られているはずのミャンマーなど、出身国情報によって、市民に対する一般的な迫害状況が明らかになっている国の出身者については、迅速な審査が可能なはずです。

 私たちは、日本政府に対し、他の難民申請者に対しても、迅速かつ公平な難民認定を行うよう求めます。

以上


[1] 出入国在留管理庁「令和3年における難民認定者数等について」によるhttps://www.moj.go.jp/isa/content/001372236.pdf

[2] 朝日新聞「アフガニスタンからの98人を難民認定 異例の規模、過去最多を更新」https://digital.asahi.com/articles/ASQ8R6G1TQ8RUTIL00L.html

[3] 前掲「令和3年における難民認定者数等について」による

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。