法相会見(2022年1月7日)出入国在留管理行政に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「出入国在留管理行政に関する質疑について」(2022年1月7日)(外部リンク:法務省ウェブ

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 オミクロン株の急速な拡大により,政府全体でのコロナ感染症対策も新たな局面に入らざるを得ない状況だと思います。その中で,入管行政におけるコロナ対策について改めて伺いたいと思っています。
 一昨年の春以降,多くの方が収容されずに仮放免という形での状況にありますが,仮放免の方,そして仮放免の家族が非常に生活が困窮している状況になっています。
 その中には,長年日本に暮らしているがなかなか難民認定されない難民申請者の方や,最近ですと,技能実習生などは在留期限が切れて仮放免の状態にならざるを得ないといった方もたくさんいます。
 そういう方に対して,在留カードがないということで,就労もできないという状況もありますし,地方自治体で住民登録もできないという中で,行政サービスからも医療保険,健康保険からも排除されてしまっているという状況があります。
 今後また,コロナ対策が長期化していく中で,ますます対応が必要になってくると思うのですが,以前の外国人登録証の時代ですと,「在留資格なし」と書いてあっても住民登録ができていたような時代もありました。今は全くそこから排除されてしまっているという状況です。
 そういった仮放免された方やその世帯に対して,地方自治体や医療機関が対応できるようにするために,在留カードというのが一番大きなネックになっていると思うのですが,今後のコロナ対策の中で,関係省庁や地方自治体と連携していく中で,そういった在留カードの問題を何とかクリアするといった取組というのは,法務省・入管庁として,今後の検討課題として入っているのでしょうか。

【大臣】
 公的健康保険制度は法務省の所管外の事柄ですから,法務大臣としてコメントすることは差し控えたいと思います。
 いつも申し上げているとおり,一般論として,入管法に違反して退去強制が確定した外国人は,速やかに日本から退去するということが原則であり,御指摘の問題は,送還忌避や長期収容の問題と一体のものとして検討すべきものと考えています。
 もっとも,人道上の支援の必要性はもとより承知しており,これまでもお答えしているとおり,仮放免中の外国人から連絡・相談があれば,個別に対応しているところです。
 特に,コロナ禍という特異な状況の下,外国人の実情をしっかりとくみ取って,きめ細かく対応するよう改めて入管庁に指示をしたところです。
 また,入管庁では,仮放免中の外国人について,本人が希望する場合には,居住する自治体にその方の情報を通知し,その自治体において,可能な範囲での行政サービスが提供されていると承知しています。

【記者】
 自治体において,子育てをしている御家庭などへの行政サービスがいろいろあるわけですけれども,やはり在留カードがなく,住民登録がされていないということで,一律で排除されてしまっているという現状があります。
 入管において,仮放免の方は出頭しなければならないといった義務がありますが,出頭もこの間,今まで1か月,2か月で出頭していたものが,半年以上,あるいは1年近く,入管への出頭を延期という形で,出頭を免除されているわけですけれども,そういう方は地域社会で生活していて,行動制限もあるため,地域の中でしか生活できない,就労もできないといった中で,地域住民としてどういうふうに法的に位置付けるかとか,在留カードをどうするかといった問題は,喫緊の課題だと思います。
 在留ミャンマー人などですと,半年以上の在留特定活動といったものを出しているという政策もやっているわけですが,そういった仮放免の方を放っておいていいのかどうかということ,やはり入管庁として在留カードをどうするかといったことは,課題として取り上げるべきではないかと思いますが,それについての御検討はいかがでしょうか。

【大臣】
 出入国在留管理は,外国人の人権に配慮しながら,ルールにのっとって外国人を受け入れて適切な支援を行っていくこと,そして,ルールに違反する者に対しては,厳正に対応することが大原則,大前提です。
 その上で,制度の運用に当たっては,様々な意見があるものと承知しています。
 ですから,そういうものにしっかり耳を傾けつつ,適切な運用をするべく,不断の努力をしているところです。そのような入管行政の責任ということも併せて考えながら,適切な運用を目指していく姿勢に変わりはありません。

【記者】
 長期収容の問題もありますが,その中で,例えば品川の東京入管ですと,今収容されている外国人が12月末現在で70名近くいると思うのですが,そのうち半数以上がベトナム国籍の人が収容されています。
 多くが技能実習生だったり,留学生だったりで,行き場がなくなった外国人だと思うのですけれども,そういった方を帰国するまではまだ収容するということだと思うのですけれども,本来であれば,きちんと緊急シェルターと言いますか,生活を保護できるような施設を作るですとか,今の状態で民間とどうやってつないでいくかという対策もやっていらっしゃるとは思うのですけれども,今入管施設が,そうしたシェルター代わりになってしまっているとか,あるいは,中には犯罪を犯してしまう方もいたり,不法就労で捕まってしまったりする方もいるわけですけれども,そういった方は警察の留置場なのか入管施設なのかというのは,非常に人道的な問題が多いと思います。こうした対策というのは,民間の支援団体に丸投げとか,あるいは,入管収容に委ねてしまっていいのかどうか,政府として対策を立てるべきではないかと思います。
 そういった技能実習生で失踪してしまった人がその後どうなっているかという調査は,厚生労働省などと一緒にやっていらっしゃるのでしょうか。その実態についてどの程度把握していらっしゃるのかということについて伺いたいのですが,よろしくお願いいたします。

【大臣】
 何度もお答えしていますとおり,出入国在留管理には原則があります。
 その原則にのっとって,適切に運用されるよう不断の努力をしています。
 そして,お尋ねの件は,正に送還忌避や長期収容の問題と一体的に考えていかなければならないことだと思っています。

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