法相会見(2022年2月18日)入管収容施設における医療体制に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「入管収容施設における医療体制に関する質疑について」(2022年2月18日)(外部リンク:法務省ウェブ

入管収容施設における医療体制に関する質疑について

【記者】
 この間、入管の医療問題について続けて質問させていただきました。
 名古屋入管のスリランカ人女性死亡事件に関する調査報告書での12項目の改善策を受けて、有識者会議で提言と報告書を取りまとめていたり、健康状態が悪化した被収容者の外部医療機関との連携や仮放免の運用方針を見直す通達を、入管庁長官名で出したことについても御回答いただきました。
 しかし、実際の入管収容の現場では、大けがを負って長期間放置され、その結果寝たきりの収容生活が続いて、入院して手術が必要であるにもかかわらずリハビリのための介護施設に移されたり、別のケースですが、外部病院の医師や入管の医師から、仮放免して治療しなければ根本的な治療ができないと言われているにもかかわらず、対症療法的に毎日のように点滴を打って、血管に過度な負担を生じてしまったり、まともな治療が受けられないケースが発生しています。診断書などの医療情報も、本人や代理人は受け取ることができません。
 このような対応は、入管施設の責任者の判断ということだと思いますが、患者本人への医療従事者のインフォームドコンセントを無視していて、これは医療法や医師法に違反しているのではないかと考えられます。
 やはり、地方入管や入管センターの責任者が、医師の意見を受け入れた上で、本人や代理人に診療情報を全面的に開示して、適切な治療を受けられる対策を早急に協議する必要があるのではないかと思うのですが、被収容者は適切な医療を受けることすらできないのでしょうか。大臣の御見解をお願いいたします。

【大臣】
 体調不良を訴える被収容者に対しては、訴えの内容や症状等に応じて、医師の所見に従って、必要な診療・治療を適時・適切に受けさせており、御指摘の事実関係については、認識に相違があります。
 法務省としては、医療的対応を含めて、被収容者の処遇が適切に行われるよう、今後も努めていきます。

【記者】
 今の質問の続きです。なぜその診療情報を本人や代理人に開示しないのでしょうか。
 また、適切に判断したとおっしゃいましたが、一体誰が適切に判断しているのかも曖昧で、多分所長やセンター長の判断だと思うのですが、医師と患者のやりとりを通り越して入管局長なりが判断するというのは、医師法や医療法に反するのではないかと思うのですが、それについての見解をお願いします。

【大臣】
 繰り返しになりますが、体調不良を訴える被収容者に対しては、訴えの内容や症状等に応じ、医師の所見に従って、必要な診療・治療を適時・適切に受けさせているものと承知しています。

【記者】
 質問の答えに全くなっていないのですけれども、なぜその診療情報を本人や代理人に開示しないのでしょうか。そこはセンター長や所長等の入管責任者の判断ということでしょうか。お願いします。

【大臣】
 これも繰り返しになりますが、医師の所見に従って、必要な診療・治療を適時・適切に受けさせています。お尋ねについては、その前提の認識に相違があると受け止めています。

【記者】
 認識のそごと言うのですが、診療情報などが開示されないというのは、これはそごではなく、そういった事実があるからです。
 ですから、そこについて、特に健康状態が極度に悪化している場合に、当然自分の診療情報を知りたいと思います。しかも、今後の対処もできないわけです。なぜ、代理人を含めてそれを見ることができないのか、なぜそれを開示しないのかということについてお願いします。

【大臣】
 本人からの請求があれば、法令に従って開示がなされるものと承知しています。

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