【2011年難民10大ニュース】

1. 日本の難民条約加入30周年、1951年難民条約採択60周年 

〔説明文〕 

 「1951年の難民の地位に関する条約」に日本が加入してから30年が経った。各地で様々な関連イベントが開催されたほか、11月には衆参両院において難民関連決議が全会一致で可決され、12月の60周年記念の閣僚級会議では条約加盟諸国の多くが誓約をした。


2. 東日本大震災‐難民らが被災地支援ボランティア活動 

〔説明文〕 

 3月11日の東日本大震災を受け、国外脱出する外国人が入管に殺到する一方、日本で庇護されている難民たちが募金集めや被災現地での支援活動を行い、日本社会の一員として貢献した。


3. 第三国定住パイロット・プロジェクト、課題に直面 

〔説明文〕 

 第三国定住難民受け入れの試験プログラムで2010年秋に来日した第一陣家族について、当初から危惧されていた就労と生活の問題が顕在化した。市民社会からは抜本的な見直しを求める声があがっており、これに対して政府はNGOとの意見交換会を設けた。今後のプログラムの見直し、改善等がのぞまれる。


4. スリランカ難民、勝訴確定するも難民不認定在特 

〔説明文〕 

 大阪地裁においてスリランカ難民事件で初の難民勝訴判決が出されて確定したが、法務省は本国情勢の改善を理由に再び不認定処分とした。一方、福岡高裁で難民勝訴2件(いすれも原判決維持)があったが、東京では2001年以来の難民勝訴判決ゼロの年となった。裁判所の判断基準が十分に客観化されていないという問題とともに、ビルマ庇護希望者への人道配慮在特の増加と訴訟件数の減少が一因とみられる。


5. 一次難民認定審査期間が大幅に短縮、異議手続に未済案件の山 

〔説明文〕 

 難民申請者数の増加を受けて2010年まで12ヶ月以上であった難民認定審査の平均期間が、法務省目標の6ヶ月を下回った。一方で、異議手続の年末未済案件は、難民審査参与員制度が始まった2005年以降増加傾向にあり、関係者によると平均で2年以上かかっている。


6. 難民申請数、過去最高の見込み 

〔説明文〕 

 2008年以降3年連続で難民申請数1000人以上をキープしているが、2011年は過去最高の1599人(2008年)を上回る見込み。


7. 難民高等教育プログラム、受け入れ拡大 

〔説明文〕 

 英語枠を導入 関西学院大学から始まった難民の大学教育のための奨学金プログラムは、青山学院大学と明治大学がプログラムを導入し拡大されていたが、従来は日本語能力が必要とされていたところ、2011年より英語での受験枠が増設され、幅広く利用されやすいものとなった。


8. 難民研究フォーラムが『難民研究ジャーナル』創刊 

〔説明文〕 

 2010年に創設された難民研究フォーラムが、日本初となる難民問題に関する専門誌『難民研究ジャーナル』を創刊した。創刊号のテーマは「第三国定住」。


9. 難民への国籍を理由にした東工大の入学拒否について、東京地裁が違憲判決 

〔説明文〕 

 東工大による安全保障上の問題を理由とした入学不許可決定に対し、難民認定者が無効確認を求めていた裁判で、東京地裁は、難民であることによる国籍国と関係を考慮し、憲法14条の「法の下の平等」違反するとして無効と判断した。


10. 難民支援の「平和茶会」開催 

〔説明文〕 

 6月、難民・難民申請者への無料歯科治療を実施する鶴見大学国際交流センターらが実行委員となり、日本にいる難民の支援と東日本大震災被災地の復興支援のためのお茶会が京都の銀閣寺で開催された。約600人が参加した。


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