【2018年難民10大ニュース】

1.再不認定処分のスリランカ難民が東京地裁・高裁で勝訴 

〔説明文〕 

(説明)2006年に日本経由でカナダに逃れようとしていたスリランカ・タミール難民が,入管で難民として認められず,2011年に大阪地裁において難民不認定処分が取り消され判決確定したにもかかわらず,再度同年末に不認定処分にして在留許可をしたという事案で,その後も継続して争い,2015年に東京地裁に提訴した事案(不認定処分取消と義務付け)。この事案で原告は終止条項の適用を求め,地裁はこれに応えて,終止条項の適用によって,原告の難民性の継続を認定,高裁も12月にこれを維持しました。しかも高裁は明確に国際難民法の終止条項の規範を用いて国の主張を退けました。なお,2019年1月7日付で難民認定証明書が交付された。


2.シリア難民集団訴訟で敗訴


3.今年も難民審査参与員の問題言動 

〔説明文〕 

(説明)異議申立ての口頭意見陳述・審尋の場において、質問をしていない参与員が居眠りを始めた。今にも座席から崩れ落ちそうになっており、目に余るため、代理人から「起きてください」と声掛けをしたものの、一度では起きず、再度「起きてください」と声掛けし、さらに難民調査官からも「先生」と促されて、当該参与員は目を覚ました。この件について、当該参与員から異議申立人に対する直接の謝罪はなく、後日、代理人から法務省と難民審査参与員に抗議の申し入れをしたところ、法務省において事実確認を行い、当該参与員は居眠りをしたことを認め、法務省から注意を行った、とのことである。2017年9月12日に、全難連から「難民審査参与員の問題ある言動実例集」を申し入れたが、いまだ改善が見られない。抜本的な見直しが必要である。


4.難民認定申請を抑制する運用変更


5.長期の入管収容が更に深刻化(平成30年2月28日付け法務省入国管理局長指示について) 

〔説明文〕 

(説明)仮放免に関し、全難連による情報公開請求により、平成30年2月28日付け法務省入国管理局長指示「被退去強制令書発付者に対する仮放免措置に係る適切な運用と動静監視強化の更なる徹底について」が開示(一部)されました。

同指示は「仮放免を許可することが適当とは認められない者」として8つの類型を挙げ、「送還の見込みが立たない者であっても収容に耐え難い傷病者でない限り,原則,送還が可能となるまで収容を継続し送還に努める。」としています。

さらにそのうち4つの類型(重大犯罪で罰せられた者、犯罪の常習性が認められる者、社会生活適応困難者(DV加害者や社会規範を守れずトラブルが見込まれる者など)、悪質な偽装滞在・不法入国等の関与者など)については「重度の傷病等,よほどの事情がない限り,収容を継続する。」としています。

本件指示により、収容の長期化が更に深刻になることが懸念されます。

なお、本件指示については、会員専用HPに入り「入管運用関係の情報開示請求結果」から検索できます。


6.全難連が2018年難民アドボカシー賞を受賞 

〔説明文〕 

(説明)難民にとって厳しい状況が続く日本での地道な活動が評価され、11月、全難連がカナダ難民弁護士協会(Canadian Association of Refugee Lawyers (CARL))より2018年難民アドボカシー賞を受賞しました。


7.入管法改正


8.空港申請数が激減 

〔説明文〕 

(説明)2018年6月までの空港での難民申請件数はわずか12件のみとのことで、2015年の173件、2016年の152件、2017年の133件と比較して激減している。詳しい原因は分かっていないが、空港窓口で難民申請をさせずに帰国させたケースが複数報告されており注意を要する。


9.仮放免不許可処分取消訴訟で認容判決(東京地裁平成30828日判決・確定) 

〔説明文〕 

(説明)東日本入国管理センターに収容されていた50代男性が仮放免不許可処分の取消を求めた訴訟において、裁判所は、男性が拘禁性うつ病に罹患し改善が見られないことから、人道上配慮の観点から身柄の解放を相当とする場合に当たるとして、収容されて2年9か月後の不許可処分を違法とした。

仮放免不許可処分が違法となる場合について、実質的に判断された初のケースであり、原則収容主義については容認するなど課題も残る判決であるが、今後の訴訟による発展に期待したい。


10.エチオピア難民勝訴


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