法相会見(2021年11月30日)被仮放免者への対応等に関する質疑について;前科のある不法滞在者に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「被仮放免者への対応等に関する質疑について」「前科のある不法滞在者に関する質疑について」(2021年11月30日)(外部リンク:法務省ウェブ

被仮放免者への対応に関する質疑について 

【記者】
 昨日,民医連という医療団体が,在留資格の影響で健康保険に入ることができない外国人も,高額な医療費を負担せずに適切な治療を受けられるような制度保障を厚労省や法務省に求める記者会見を行いました。
 今まで何回も質問させていただきましたが,多くの難民申請者や,コロナ禍で仕事を失って,在留期限が切れてしまった技能実習生などは,退去強制手続の中で仮放免の状態に置かれて就労もできず,健康保険も入れず,行政のサービスからも排除されているという状況で生活困窮し,病気になっても医療機関に診てもらえない状況が深刻化しています。
 今多くの非正規滞在の外国人が仮放免の状態ですが,今まで毎月であったり,2か月,3か月に1回だった仮放免の出頭も免除されて,半年以上出頭しないケースが当たり前になっています。
 もちろん収容されないということはいいことだと思うのですが,入管自体が収容せずに地域社会で生活することを認めているわけですから,必要最低限の安定した生活が送れるように,在留ミャンマー人の緊急避難措置のような形で,行政サービスを受けられるように在留カードを発給するような緊急措置が必要だと思いますが,大臣はいかがお考えでしょうか。

【大臣】
 我が国において,日本人と外国人が互いを尊重し合って生きる共生社会を実現するためには,外国人の人権に配慮しながら,ルールにのっとって外国人を受け入れ,適切な支援を行っていくこと,そして同時に,ルールに違反する者に対しては厳正に対応していくこと,これが大原則,大前提です。
 御指摘の在留特別許可の許否判断については,原則的な考え方の下,法令にのっとって,個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して適切に判断していくべきものだと考えています。
 したがって,健康保険への加入や就労の必要性があるからといって,直ちに在留特別許可をするということになるわけではありません。

前科のある不法滞在者に関する質疑について 

【記者】
 30日付の一部報道で,不法在留者3,100人のうち約1,000人に前科があり,更にそのうち470人が難民認定を申請しているというデータが報道されました。入管庁が実態調査を進めるとしています。
 この点に関する入管庁で把握する事実関係と,更にこの点についてどう分析,評価するのかについて大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】
 御指摘の報道については,承知しています。
 不法滞在者の中には,殺人や強盗,性犯罪などの重大な犯罪を含め,前科がありながら,退去強制に応じず,送還忌避している外国人もいるとの報告は受けています。
 これをどう評価するのかというお尋ねですが,先ほども申しましたとおり,外国人との共生社会を実現するためには,外国人の人権に配慮しながら,ルールにのっとって外国人を受け入れ,適切な支援を行うこと,それと同時に,ルールに違反する者に対しては厳正に対応すること,これが大原則,大前提です。
 その前提にのっとって,送還忌避・長期収容の問題は,早期に解決されるべき喫緊の課題であるという強い思いを持っており,そのための必要な法整備はしっかりと進めていきたいと考えています。

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