法相会見(2019年7月2日)同性愛を理由とした難民認定に関する質疑について;大村入国管理センターにおけるナイジェリア人男性の死亡に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「同性愛を理由とした難民認定に関する質疑について」「大村入国管理センターにおけるナイジェリア人男性の死亡に関する質疑について」(2019年7月2日)(外部リンク:法務省ウェブ

同性愛を理由とした難民認定に関する質疑について

【記者】
 LGBTを理由とした難民申請が認定されたとの一部報道がありましたが,世界的にLGBTへの理解が進む中で,日本国として,こうしたことを理由に迫害を受けている者を難民認定するというような配慮は今後増えていくのでしょうか。

【大臣】
 御指摘の報道については承知しています。御指摘のとおり,同性愛を理由として難民認定をしたことについては,本年3月の報道発表資料で公表しているとおりです。これはホームページでも公表しています。判断のポイントについては,ホームページに記載しているとおり,出身国情報によれば,本国では,刑法で暴力等を伴わない同性愛行為を禁錮刑と規定しており,実際に,同性愛行為の容疑で投獄された事例が報告されていることが認められることから,申請者の申立てに信ぴょう性が認められ,帰国した場合に,本国政府に逮捕されるおそれがあると認められ,そして,「特定の社会的集団の構成員であること」を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する者と認められるため,条約難民に該当すると認定しています。これは出身国の法制を含め,様々な事情を総合考慮したもので,従来から,難民条約上の難民への該当性の判断については適切に行っており,引き続き,真にひ護が必要な者の迅速かつ確実な保護を図ってまいりたいと考えています。

大村入国管理センターにおけるナイジェリア人男性の死亡に関する質疑について

【記者】
 6月24日,長崎県の大村入国管理センターで,ナイジェリア人男性が死亡するという事件が発生しました。3年7か月の収容と4回の仮放免却下を経て,ハンガーストライキ中に個室で放置されていた状態で死亡したということであり,こういった事案が全国の施設で多発していると思います。弁護団なども意見書などを書いていますが,2015年以降,仮放免措置の厳格化を求める通達や指示が法務省入国管理局長から出されていることが大きな影響を及ぼしているのではないかということで,申入れもありました。第三者機関による調査や,仮放免の運用審査そのものについても第三者機関による調査が必要ではないかという意見書も出ていますが,大臣はこのような実態についてどのようにお考えですか。特に,行政の対応について,政治家として,どのような対応が必要とお考えですか。

【大臣】
 御指摘のとおり,本年6月24日午後1時過ぎ,大村入国管理センターに収容されていた40代のナイジェリア人が,職員の呼び掛けに応じず,意識がない状態であったことから,直ちに救命措置を執るとともに,救急隊の出動を要請の上,病院へ搬送しましたが,同日午後2時11分,搬送先の病院で死亡が確認されたとの報告を受けています。亡くなられた方には,心からお悔やみを申し上げます。
 出入国在留管理庁には,本件に関し,当該被収容者が死亡に至った経緯等を確認するよう指示しており,同庁においては,6月24日に即日,調査チームを立ち上げ,事実関係の調査を実施しているところです。私としては,この調査の結果を踏まえ,様々なことを考えていく必要があるだろうと考えています。これを受けて,御指摘のように,複数の団体から,大村入国管理センターに対して,同センターに収容している被収容者の早期仮放免等を求める趣旨の申入れがなされていることについて,出入国在留管理庁から報告を受けています。
 しかし,入管の収容施設は,退去強制が決定された者を,その送還までの間収容する施設であり,被収容者が退去強制令書に従い出国することで,直ちに収容状態が解消されることになります。
 したがって,長期にわたる収容状態を解消するためには,法令に基づき,速やかな送還を図ることが最も重要であると認識しています。
 その上で,健康上の問題等のため速やかな送還の見込みが立たないような場合には,人道上の観点から仮放免制度を弾力的に運用することにより,収容の長期化をできるだけ回避するよう柔軟に対応しているところです。
 他方で,被収容者の中には,我が国において罪を犯したために刑罰の適用を受けたことにより,退去強制令書の発付を受けた者など,一刻も早い送還を優先し,仮放免をすることが適当ではない外国人も存在しており,このような者については,速やかな送還に努めてまいりたいと考えています。
 さらに,在留特別許可を与えるか否かについては,従来から,個々の事案ごとに,在留を希望する理由,家族状況,素行等諸般の事情を総合的に勘案して判断しており,今後ともこのような判断を適切に行ってまいりたいと考えています。

【記者】
 今までは仮放免を柔軟に対応したり,在留特別許可でも年間1万人を越えていた時期もあります。そういった今までの入管の対応と,入管局長の通知・通達が2015年以降3回出ているのですが,それ以降の入管の対応とが全く変わってきてしまっています。なぜ,今までの柔軟な対応を変えなければならなかったのか,大臣のお考えを聞かせてください。

【大臣】
 御指摘の通達は,むしろ仮放免について実態に即して弾力的に活用するということを示した通達であろうと私としては認識しています。他方で,そういった柔軟な対応が相当でない,例えば我が国において罪を犯したために刑罰の適用を受けたことにより,退去強制令書の発付を受けた者などについては,弾力的な運用が適当ではないのではないかと考えており,必ずしも御指摘は当たらないのではないかと考えています。
 なお,運用の詳細については,当局から説明させることも考えています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。