法相会見(2021年6月18日)仮放免者に対する健康保険の適用に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「仮放免者に対する健康保険の適用に関する質疑について」(2021年6月18日)(外部リンク:法務省ウェブ

仮放免者に対する健康保険の適用に関する質疑について 

【記者】
 仮放免の方への保険適用に関してお聞きします。
 6月4日に外国人支援団体の北関東医療相談会が会見をされまして,ステージ3の卵巣がんにかかった仮放免の南アジア出身の46歳女性が,国民健康保険に入っていないことで,手術を受けることが困難になっているということが伝えられました。
 幸いこの会見を機に寄付が集まり,彼女の場合は,当面の手術の見込みが立ったのですが,がん治療は手術後も抗がん剤治療を繰り返す必要があり,入院の長期化による高額の医療費が予想されております。
 病院側は,在留許可さえ出れば,莫大な医療費負担を患者が負わずに済み命を救えると,在留許可をまず得てほしいと女性側に求めております。今多くの仮放免の方たちが増えている状況だと思うのですが,彼・彼女たちには,大臣も御存じのとおり生活保障は一切なく,保険にも入れない,また,口座も持てないため携帯さえ持てないという最低限の命を守る権利も保障されていないような状況です。
 在留特別許可の有無にかかわらず,健康保険をあらゆる仮放免者に出していく,命を守っていく必要があるのではないかと思いますが,この点に関して,大臣の見解をお願いいたします。

【大臣】
 ただ今御質問をいただきました個別事案に関する件でございますが,個別事案ということでお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 一般論ということでございますけれども,重篤な疾病にり患している者に対する在留特別許可の許否の判断につきましては,この当該疾病にり患した状況を十分に踏まえまして,個別の事案ごとに,諸般の事情を総合的に勘案して,適切に判断しているということでございます。そうした方針の中で,それぞれの対応をさせていただいているところと承知をしております。

【記者】
 いわゆる重篤な場合などは疾病状況に応じて判断ということですが,例えば毎日新聞で報じられました死後に在留カードが届いたというカメルーン人女性のように,入管の施設や仮放免後に適切に治療を受けられないまま,全身にがんが転移するなどして亡くなっている人たちというのが,取材していても一定数いらっしゃいます。
 この対応がそもそもかなり遅かったのではないかという点と,それから先ほどの回答でお答えいただいていないと思うので,仮放免に際して,この命を守るための健康保険証の発行,これを在留特別許可の有無いかんにかかわらず,まず出すべきではないか。そうであれば,この亡くなったカメルーン人女性のような方たちを救うことができたのではないかと思います。この点に関して大臣の見解をお願いいたします。

【大臣】
 我が国の在留資格制度でありますが,本邦で行おうとする活動,個々の事情に応じまして,適切な在留資格を付与するということでございます。
 それに応じまして社会保障制度が適用される,あるいはされないということになるところでございます。個々の外国人の方々の置かれた状況に十分配慮しながら,適切に対応してまいりたいと思っております。
 重篤な疾病にり患している方に対しての大変切実な状況ということについては,それぞれの個別ケースにおきまして適切に判断をしてまいりたいと考えております。

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