法相会見(2021年6月25日)在留特別許可の申請に関する質疑について;仮放免制度の在り方等に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「在留特別許可の申請に関する質疑について」「仮放免制度の在り方等に関する質疑について」(2021年6月25日)(外部リンク:法務省ウェブ

在留特別許可の申請に関する質疑について 

【記者】
 在留特別許可の申請に関連してお伺いします。
 今日の東京新聞の報道で書かせていただきましたが,日本で育った南アジア出身の姉妹が,離婚した母親とともに在留資格を失って,今苦境に追い込まれております。母親は昨秋がんで倒れ,多額の治療費が必要になっており,長女は今回の4月,大学を自主退学されました。
 「苦労して育ててくれた母親を助けたい。在留許可を得て働きたい。」と彼女は訴えております。
 一家は,2015年9月以降,在留許可の申請をずっと続けているのですが,6年を超えてもまだ許可が出ておらず,今,生活もかなり困窮しています。母親は先日,入管の聴取を受けたようですが,がんがかなり進み,2時間の聴取もきつかったと聞いております。
 大臣,個別の事案はお答えできないということだとは思いますが,日本にいながら真面目に生活をしてきたこの一家のような方たちへの在留特別許可,これを人道上の観点からも,できるだけ早く出していただきたいと弁護団等も申しています。こういったことに対する大臣の御見解をお聞かせください。

【大臣】
 お尋ねの事案に関する御質問でございますが,正に個別事案ということでございますので,お答えについては差し控えさせていただきたいと思っております。
 その上で,一般論として申し上げるところでございますが,在留特別許可の許否の判断,これは個別事案ごとに,在留を希望する理由,家族関係,素行,当該外国人の病状等,諸般の事情を総合的に勘案して行っているところでございます。
 いずれにいたしましても,詳細につきましては出入国在留管理庁にお尋ねいただきたいと思っております。

仮放免制度の在り方等に関する質疑について 

【記者】
 今の在留特別許可とも関連してきますが,結局在留資格がないと,在留カードがないと住民登録もされず,それによって地方自治体の行政サービスも受けられない,健康保険も入れないという状況が続いています。
 先週も仮放免の外国人に対する健康保険の適用に関する質問がありましたけれども,重篤な高度医療を必要とする方もそうですが,日常的にお子さんの虫歯の治療すらできない,そういう状態が何年も何年も放置されているという状況が続いています。健康保険がないということは本当に生活していく上で大変な状況です。
 その他にも,新型コロナ感染症のワクチン接種の状況についてですけれども,厚生労働省が3月末に,仮放免の方にも希望者にはワクチンを接種するようにという通知を出していますが,実際に地方自治体に問い合わせても,ほとんど広報もしていませんし,実施もされていません。
 仮放免の方に聞いても,入管が持っている仮放免の個人情報を地方自治体と共有すること自体に非常に警戒を持っている方がいらっしゃいます。仮放免と言っても,行政の支援が受けられるわけではなく,ただ入管に出頭して,それが延長されるかどうかを決めるだけの,監視のためだけの制度になってしまっています。
 そういうことで,やはり仮放免制度というのが,地方自治体との関係も含めて,その人の命を最低限守るといったような証明にならないといけないと思うのですが,現行の仮放免制度の在り方そのものを見直す考えがあるのか。
 それと在留特別許可の柔軟な運用ということも関係してくるわけですけれども,仮放免制度の在り方,それから健康保険ですとかワクチン接種の関係について,大臣のお考えがあればお聞かせください。

【大臣】
 現行制度でございますが,仮放免をされた外国人の方々につきましては,退去強制手続中という立場に鑑みまして,基本的に就労を認めておらず,その生計については,基本的に,本人の資産や,身元保証人や御家族の支援によって支えることが想定されているところでございます。
 また,健康保険につきましては,法務省の所管外でありますが,現行制度上,不法滞在外国人は,公的健康保険に加入することはできないものと承知をしております。
 出入国在留管理行政の遂行に当たりましては,関係省庁との適切な連携が重要であると認識しておりますが,医療制度や公的保険制度は法務省の所管外でございます。それらの制度に関する見直しをすべきではないかとのお尋ねもございましたけれども,法務大臣としてお答えすることは適切ではないと考えております。
 その上で,仮放免中の外国人の方に対しての市町村等との関わりについての御質問がございましたが,当該外国人の御希望によりまして,その居住地等を当該市町村に通知をさせていただいております。各所管省庁や市町村等におきまして,提供可能な行政サービスにつきましては,適切に対応しているものと承知しております。
 また,仮放免中の外国人に生活上や健康上の問題がある場合には,所轄の地方入管等に連絡・相談をいただければ,個別に適切な対応を検討することとしているところでございます。
 ワクチン接種についての御質問がございました。入管収容施設の被収容者につきましては,ワクチン接種を希望する被収容者に対しましては,原則として,ワクチンの接種を行うこととしているものと承知しております。
 優先接種対象者であります65歳以上の被収容者の中には,既に2回目のワクチンを接種済みの者もいると承知しております。
 今後とも,被収容者に対する予防接種の実施につきましては,関係省庁や市町村と連携し,適切に対応してまいりたいと考えております。
 詳細につきましては,出入国在留管理庁へお問い合わせいただきたいと思っております。

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