入管資料(2012年2月24日)法務省入管局「平成23年における難民認定者数等について」

法務省入国管理局「平成23年における難民認定者数等について」(2012年2月24日)(法務省ウェブ) ※リンク切れ


報道発表資料

平成24年2月24日

法務省入国管理局

平成23年における難民認定者数等について

 平成23年に我が国において難民認定申請を行った者は1,867人であり,前年に比べ665人増加(約1.6倍に増加)した。また,難民の認定をしない処分に対して異議の申立てを行った者は1,719人であり,前年に比べ860人増加(約2.0倍に増加)し,申請数及び異議申立数いずれも,我が国に難民認定制度が発足した昭和57年以降最高となった。
難民として認定した者は21人(うち14人は異議申立手続における認定者),難民とは認定しなかったものの,人道的な配慮が必要なものとして特に在留を認めた者は248人であり,両者を合わせた数(庇護数)は269人であった。
なお,難民認定制度の運用に当たっては,適正かつ迅速な審査を推進するため,国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等との連携を強化し,難民調査官の育成のための研修の充実及び難民認定申請者の出身国に関する情報や国際情勢に関する資料の入手に努めている。

第1 平成23年における状況

1 難民認定申請数及び異議申立数


(1) 難民認定申請数
 難民認定申請を行った者(以下「申請者」という。)は1,867人であり,前年に比べ665人増加(約1.6倍に増加)した(別表1-(1)参照)。

ア 国籍
 申請者の国籍は,57か国にわたり,主な国籍は,ミャンマー491人,ネパール251人,トルコ234人,スリランカ224人,パキスタン169人となっている。

イ 申請者の在留態様等
 申請者の申請時における在留態様は,正規在留者が1,159人(申請者全体の約62%)で,不正規在留者は708人(同約38%)となっている(別表2参照)。
 不正規在留者のうち,自ら地方入国管理官署に出頭して申請した者は168人(約24%),収容令書又は退去強制令書が発付された後に申請を行った者は540人(約76%)となっている。
 申請者全体の約29%に当たる540人が,過去に難民認定申請を行ったことがある者であり,このうち正規在留者は246人(正規在留中に申請した者の約21%),不正規在留者は294人(不正規在留中に申請した者の約42%)となっている。

(2)異議申立数
 難民の認定をしない処分に対して異議の申立てを行った者(以下「異議申立者」という。)は1,719人であり,前年に比べ860人増加(約2.0倍に増加)した(別表1-(2)参照)。

 異議申立者の国籍は,50か国にわたり,主な国籍は,ミャンマー444人,スリランカ231人,トルコ213人,ネパール191人,パキスタン142人となっている。


2 処理の状況


(1)難民認定申請(一次審査)の処理数
 難民認定申請の処理数は2,119人であり,前年に比べ664人増加(約1.5倍に増加)した(別表3-(1)参照)。その内訳は,難民と認定した者(以下「認定者」という。)7人,難民と認定しなかった者(以下「不認定者」という。)2,002人,申請を取り下げた者等110人であった。

(2)異議申立ての処理数
 異議申立ての処理数は880人であり,前年に比べ429人増加(約2.0倍に増加)した(別表3-(2)参照)。その内訳は,異議の申立てに理由があるとされた者(認定者)14人,理由がないとされた者(不認定者)(注1)635人,異議申立てを取り下げた者等231人であった。

 なお,法務大臣は,異議申立てに対する決定に当たって,難民審査参与員の意見を聴かなければならないと出入国管理及び難民認定法に定められている。過去に法務大臣が難民審査参与員の意見(意見が分かれたものについては多数意見)と異なる決定をした例はない。

(注1)理由がないとされた者には,法律に定める異議申立期間を過ぎて異議申立てをした者を含む。


3 庇護数
 難民と認定しなかったものの,人道的な配慮が必要として特に在留を認めた者(以下「人道配慮」という。)は248人であった。
 人道配慮数に認定者数21人を加えた数(庇護数)269人が,我が国が実質的に庇護を与えた者である(別表4参照)。
 認定者の国籍は,ミャンマーほか3か国で,認定者数はミャンマー18人ほか3人となっている。
 また,庇護を与えた者の国籍は,18か国にわたり,うちミャンマーが214人で全体の約80%を占めている。


4 仮滞在許可制度の運用状況
 平成23年における仮滞在許可(注2)者は71人で,前年に比べ6人増加した。

 仮滞在の許可の可否を判断した人数は689人であるが,許可対象とならなかった者について,その主な理由は,

  • 本邦に上陸した日(本邦にある間に難民となる事由が生じた者にあっては,その事実を知った日)から6か月を経過した後に難民認定申請をしたこと …455人
  • 既に退去強制令書の発付を受けていたこと…337人

である(注3)。 

(注2) 「仮滞在許可」とは,不法滞在中の難民認定申請者の法的地位の安定化を速やかに図ることを目的として,これら不法滞在者から難民認定申請があった場合に,出入国管理及び難民認定法第61条の2の4第1項に定める要件に該当する場合を除き,その者に仮に本邦に滞在することを許可する制度である。
(注3)1人の申請者について許可しなかった理由が複数ある場合は,そのすべてを計上している。

第2 難民認定制度発足以降の状況

 平成23年は,我が国が難民の地位に関する条約に加入して30年目にあたる年であったところ,難民認定制度発足以降平成23年末までの間における,難民認定者数等の状況は以下のとおり。

1 難民認定申請数
  同期間中に難民認定申請を行った者の合計は11,754人で,主な国籍はミャンマー4,215人,トルコ1,489人,スリランカ853人,パキスタン836人,イラン605人の順となっている(別表5-(1)参照)。

2 難民認定数
  同期間中に難民認定された者の合計は598人で,主な国籍はミャンマー307人,イラン69人,ベトナム59人,カンボジア50人,ラオス48人となっている(別表5-(2)参照)。

3 人道配慮数
  同期間中の人道配慮の合計は1,994人で,主な国籍はミャンマー1,558人,中国80人,アフガニスタン56人,イラン41人,トルコ36人の順となっている(別表5-(3)参照)。

添付資料

1 別表1 (1)難民認定申請数の推移,(2)異議申立数の推移〔PDF〕
2 別表2 難民認定申請者の申請時の在留状況〔PDF〕
3 別表3 (1)難民認定申請の処理数の推移,(2)異議申立ての処理数の推移〔PDF〕
4 別表4 庇護数の推移〔PDF〕
5 別表5 昭和57年1月から平成23年12月末までの難民認定申請等の状況〔PDF〕
6 別紙1 1 難民と認定した事例〔PDF〕
7 別紙2 2 難民と認定しなかった事例〔PDF〕
8 別紙3 3 難民認定制度を濫用したと思われる事例〔PDF〕

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