法相会見(2020年12月11日)仮放免に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「仮放免に関する質疑について」(2020年12月11日)(外部リンク:法務省ウェブ

仮放免に関する質疑について

【記者】
 今年の春以降,新型コロナウイルス感染症対策ということもあり,各地方入管で,仮放免許可を以前に比べて積極的に運用するようになりましたが,難民申請者や帰国できない事情がある非正規滞在者の数年間に及ぶ長期収容は,いまだに各入管で続いています。
 身元引受人などがはっきりしているにも関わらず,何回仮放免申請しても却下され続けているような被収容者がいるのですが,実際に仮放免された人と何の条件が違うのか,理由が全く不明です。
 国連人権理事会の作業部会が指摘した恣意的拘禁であるということに,こういった仮放免の条件の件も該当すると思うのですが,国連からの勧告を受けて,法務省本省と各地方入管局の間で,検討ですとか,検証をされているのかどうか。今の仮放免の条件の現状について,どのような検討をされているのか,お答えください。

【大臣】
 今の御質問について,様々な御指摘もございましたが,個別の事案につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で,一般論として申し上げるところでありますが,仮放免を行うかどうかにつきましては,入管当局におきまして,退去強制手続に至るまでの在留状況のほか,被収容者の健康状態,収容期間その他の事情を総合的に考慮し,個別の事案ごとに適切に判断を行うこととしているものと承知しております。
 また,御指摘の恣意的拘禁作業部会の意見書については,現在,出入国在留管理庁において,その内容の精査・検討を行っているところでありまして,その精査の上で,関係省庁と連携しながら適切に対応していきたいと考えております。
 その上で,出入国在留管理庁におきまして,現在,「収容・送還に関する専門部会」の御提言を踏まえた入管法改正について必要な検討を行っているところでございます。仮放免の在り方もその検討対象に含まれているところでございます。
 収容や仮放免の在り方に関しましては,様々な御意見を寄せていただいているところでありますので,そういった御意見にもしっかりと耳を傾けながら,これからの我が国にふさわしい出入国在留管理制度の実現に向けまして,検討を進めてまいりたいと考えております。

【記者】
 仮放免について,もう1点お伺いしたいのですが,仮放免の条件として就労禁止というのが,今現在仮放免になった方についております。10数年前までは,仮放免の条件に就労禁止がついていることはありませんでした。実際,就労している方も,仮放免の方でたくさんいました。
 この間,何回も質問させていただきましたが,新型コロナウイルスによる経済の悪化の中で,今まで仮放免状態で家族や親族等の身近な支援者から経済的援助を受けていた方も,そういう援助がなくなり,また,在留資格がないということで,地方自治体からの様々な公的支援も受けることができない方が続出しています。その中には元技能実習生,また,在留資格が切れてしまったような方もいらっしゃいます。
 例えば12月8日に,田村厚生労働大臣が,ひとり親世帯を支援する臨時特別給付金を改めて支給するといった政策を公表されましたが,この年末年始に非常に生活に苦しむ仮放免世帯がどんどん出てくると思います。公的支援についても受けられず,就労も駄目,それから,県外移動も駄目ということで,一体どうすればいいのかと途方に暮れている方が多いと思うのですが,法務省として何らかの対策を講じることはできないのか,就労許可や公的支援の対象にする,特定活動といった在留特別許可関係などは法務省でも検討できると思うのですが,他との関係,関係省庁との間で,何か対策を考える必要があると大臣はお考えなのかどうか,お答えください。

【大臣】
 まず就労の問題ということでありますが,在留資格がない仮放免中の外国人には就労が認められないということは,現行の仮放免制度の当然の前提として従来から変わらず維持されてきたものと承知しております。
 かつては,こうした当然の前提について,あえて仮放免条件として明記しないという場合もあったとのことですが,現在は,就労の禁止を明記することを原則としていると聞いております。
 詳細につきましては,出入国在留管理庁の方にお尋ねいただきたいと思います。
 次に,困窮等の場合の対応についてですが,基本的には,所轄の地方出入国在留管理局に御相談いただきたいということであります。在留資格を有しない仮放免中の外国人に対しては,現行制度の下の出入国在留管理の一環として公費による生活支援を行うことは困難であると考えております。
 もっとも,仮放免中の外国人の方が希望する場合は,居住地などを当該市町村に通知しております。各所管省庁や市町村におきまして,提供可能な行政サービスについては適切に対応しているものと承知しております。
 また,仮放免中の外国人の方につきまして,生活に困窮するなどの問題がある場合には,所轄の地方出入国在留管理局に連絡・御相談いただきまして,個別にきめ細やかな対応をとることとしているということでございます。
 それから,関係省庁との連携という御指摘がありました。コロナ禍において様々な課題を抱えていらっしゃる皆さんの帰国実現についてです。帰国を希望しながら航空便の状況等により帰国ができない状況にある外国人につきましては,出入国在留管理庁において関係省庁とも連携しながら,関係国と調整の上で,早期の帰国を期して必要な取組に力を尽くしている状況でありまして,これからもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 最後でありますが,仮放免中の外国人を含めまして,帰国が困難な外国人の問題につきましては,引き続き,関係省庁と連携しながら,出入国在留管理行政を所管する法務省としても,適切な役割を果たしてまいりたいと思っております。

(以上)

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