難民専門部会(第19回・2014年12月11日)

難民認定制度に関する専門部会開催状況(リンク切れ)

○第19回会合 平成26年12月11日(木)
 「難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)(案)」について最終的な確認の議論を行い,報告をとりまとめた。

第19回 難民認定制度に関する専門部会 議事概要

1 日時
平成26年12月11日(木)午前10時から正午まで

2 場所
法務省10階入国管理局会議室

3 出席者(敬称略)

(1)難民認定制度に関する専門部会
山本部会長代行,横田顧問,石川委員,滝澤委員,田中委員,西海委員,野口委員,柳瀬委員,渡邉委員

(2)法務省
井上入国管理局長,杵渕官房審議官,丸山審判課長,山下警備課長,小新井参事官,君塚難民認定室長,内田在留管理業務室長,根岸企画室長 他

(3)オブザーバー
外務省
UNHCR駐日事務所

4 議事概要
「難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)(案)」について最終的な確認の議論を行い,報告をとりまとめた。委員から出された主な意見や質問は以下のとおりであった。

○ 難民条約の解釈の際に拠るべき規範の記述について,ウィーン条約第31条の内容が引用されているが,それ以外にも条約の形成過程等に関する第32条等があり,これを併記するか,関連規則として言及するなど,第31条に限定しない形の表現にしたほうがよいのではないか。

○ 併記をすることに異論はないものの,国際法の専門家は別として,一般の読み手が果たして詳しく理解できるかという懸念がある。ウィーン条約の「関連条文」に基づき,と整理すれば第31条に限定はされないだろう。

○ 条約の的確な解釈に関する提言部分を考えるに当たり,冒頭の制度を取り巻く国際・国内的動向の部分では,ジェンダーだけでなく性的指向に言及している一方,提言の中では,ジェンダーだけに限定されているが,「性的指向」についても例示として併記してよいのではないか。

○ 文脈上,あくまで性的指向に起因する迫害のおそれが認められるかが問題となるものであり,UNHCRのガイドラインにもあるように,新しい形態の迫害という意味で提言の中に記述されてよいのではないか。

○ 世界では,性的指向はほぼジェンダーと同じように扱われていると認識しており,日本社会でも最近特に議論がされている。政府も性的指向に関する差別をやめるべきと啓発しているということもあり,提言で性的指向を併記しても問題ないのではないか。

○ 現実問題として,もちろんジェンダーもそうだが,提言に掲げるだけで安易に難民該当性があるとの誤解を持たれることが気になる。例えば,実際の事案で,同性愛を理由に異議申立てをしたが,本国で(女性と)結婚していたことが判明し,日本でもまた別の日本人(女性)と結婚したというケースが見受けられる。そのため,安易に方向性として記述してしまうと,こうした事案への対処が非常に困難になることが懸念される。

○ 性的指向に関しての差別は絶対に許されないが,そのことと,それを難民条約上の迫害の一つの形態として認めるということは別問題で,その点についてこれまで議論はなされていない。やはり調査官・参与員が適切に判断できるような,明確な形で示さないと,単純に「性的指向」ということだけを示すと,実務担当者が判断に相当苦しむのではないか。

○ 法学の世界でもジェンダー法学というものが確立しつつあり,学際的なものとして認知されている。そういう意味で,例示列挙としては,ある意味成熟した概念で普遍性を持ったジェンダーが代表例としてはわかりやすく,適切ではないか。

○ もともとは,例示をせずに「的確な条約解釈による保護を図っていくべきである。」としていたところ,それを一歩進めてジェンダーについては言及するという点では前進である。

○ 締め括り部分である「おわりに」の骨子は,①制度の在り方について国民的議論が喚起されるべきものである。②本報告書が政策懇談会の活発な議論に資することが期待される。③検討結果を踏まえて法務省において速やかに制度設計がなされ,適正・迅速な難民認定の取組が推進されることが期待される。という3点のメッセージに集約されるべきであり,外国人労働者受入れ政策との関係,再定住の問題,その他資金援助等を含む難民政策の問題は,継続的な検討課題として整理した方が報告書としてわかりやすく,全体との整合性が取れるのではないか。

以 上

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