国会質疑等(2001年8月7日)北川れん子議員(社民・衆)質問主意書[入管収容、退令手続]

第151回国会 質問第111号 衆議院議員北川れん子議員「出入国管理及び難民認定法における退去強制手続に関する質問主意書」(2001年6月26日)(外部リンク:衆議院ウェブ

[151衆-111] 010626質-北川れん子(社民)_010807答-小泉純一郎首相 [入管収容・退令手続](合体版)[PDF]

答弁書111号 衆議院議員北川れん子君提出出入国管理及び難民認定法における退去強制手続に関する質問に対する答弁書(2001年8月7日)

出入国管理及び難民認定法における退去強制手続に関する質問主意書

出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)における退去強制手続については、入管法第二四条各号への該当性を判断するための違反調査、審査段階で行われる収容および同施設や在留特別許可の可否、難民認定基準などこれまで様々な問題点が指摘されてきた。

収容および同施設について「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(以下「自由権規約」)に基づく人権委員会(以下「規約人権委員会」)は第四回政府報告に対する最終見解において次のように指摘している。

「19.委員会は入国管理手続き[退去強制手続き]の決定がでるまでの間に収容されている人々への暴行やセクシャル・ハラスメント(性的いやがらせ)に関する苦情申し立てに関して懸念を有する。これには過酷な収容状態、手錠の使用、隔離室への収容が含まれる。(略)委員会は、締約国が収容の状態を再調査し、必要ならば規約第7条及び第9条に沿った状態にする措置をとることを勧告する。」

2001年5月25日に出された法務省人権擁護審議会の最終答申「人権救済制度の在り方について」では「公権力による人権侵害」として「捜査手続や拘禁・収容施設内における暴行その他の虐待等、固有の問題がある。」と事実関係を認めている。他方、その救済手段としては「行政処分に対しては一般的な行政不服審査や個別の不服申立の手続が整備されている。」「捜査手続や拘禁・収容施設内での虐待等については、不審判請求を含む刑事訴訟手続のほか、内部的監査・監察や苦情処理のシステムが設けられている。」として、独立した人権救済機関の取り扱い対象としていない。

この答申に先立ち同省入国管理局は「入国管理局収容施設における新たな不服申立制度の導入に関する意見募集」として不服申立制度を提案、パブリックコメントを求めている。このことは、人権擁護審議会最終答申がいう不服申立の手続が、未整備であったことを証明するものである。「新たな不服申立制度」という部分的見直しでは問題の抜本的解決にはつながらない。「公権力による人権侵害」には、不服申立制度や不審判請求、内部監査・監察は機能せず、早急なる独立した人権救済機関が求められている。

規約人権委員会最終見解は述べる。

「10.そのなかでも特に委員会は、警察や入国管理局職員による虐待に関する苦情申し立てを、調査や是正のために持ち込むことができる独立した機関が存在しないことを懸念する。委員会は、締約国によってそのような独立した組織または担当者が遅滞なく設置されることを勧告する。」

入国管理局が提案する「新たな不服申立制度」や人権擁護審議会最終答申は、規約人権委員会最終見解に沿うものではなく、入国管理に関わる事案を人権擁護推進法に基づく新たな人権救済制度の適用外におこうとするものである。

以上の点に鑑み、以下質問する。

一 現時点での入国管理収容施設ごとの被収容者の国籍別人数及び収容期間を明らかにされたい。

一について

平成13年6月27七日現在の入国者収容所及び収容場ごとの被収容者の国籍・地域別人数及び収容期間別人数は、別表一及び別表二のとおりである。

なお、札幌入国管理局、広島入国管理局下関出張所、高松入国管理局、福岡入国管理局那覇支局及び福岡入国管理局鹿児島出張所においては、同日現在の被収容者は無い。

二 行政手続による長期の収容が自由権規約に反するという、規約人権委員会の「最終見解」についてどう考えるか。また退去強制手続において全件収容主義が自由権規約に反するという指摘についてどのように考えるか。

二について

市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和54年条約第7号。以下「規約」という。)第28条1に基づいて設置された人権委員会(以下「委員会」という。)が我が国の第4回政府報告を検討して1998年(平成10年)11月5日に採択した最終見解(以下「最終見解」という。)は、そのパラグラフ19において、「委員会は、収容の厳しい条件、手錠の使用及び隔離室での収容を含む、出入国管理手続中に収容されている者に対する暴力及びセクシュアル・ハラスメントに関する申立てについて懸念を有する。入国者収容所の被収容者は、6か月間まで、また、いくつかの事例においては2年間もそこに収容される可能性がある。委員会は、締約国が収容所の状況について再調査し、必要な場合には、その状況を規約第7条及び第9条に合致させるための措置を採ることを勧告する。」と述べ、御指摘のように「行政手続による長期の収容が自由権規約に反する」とは述べていない。政府としては、収容が長期にわたることをもって、直ちに規約に反するものではないと考えている。なお、入国管理局においては、退去強制手続によって収容された者について、収容期間が長期にわたるため、その者の年齢及び健康状態等にかんがみ、身体の拘束を解く必要が生じたときには、仮放免制度を弾力的に運用するなどして対応することとしている。

また、最終見解には、お尋ねのような「退去強制手続において全件収容主義が自由権規約に反するという指摘」は存在しない。

三 各収容施設における運動はどのような場所で、どの程度の頻度で行われ、どれぐらいの時間を一回につき要しているか、明らかにされたい。これらは被収容者処遇規則第28条に違反していないか。違反しているのであればどのような是正措置をとっているか、合わせて示されたい。

三について

お尋ねの各収容施設における被収容者の運動については、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)第61条の7第6項に基づき定められた被収容者処遇規則(昭和56年法務省令第59号。以下「処遇規則」という。)第28条に、「所長等は、被収容者に毎日戸外の適当な場所で運動する機会を与えなければならない。ただし、荒天のとき又は収容所等の保安上若しくは衛生上支障があると認めるときは、この限りでない。」と規定されているところ、収容所等の所長等は、保安上の支障から毎日戸外の適当な場所で運動する機会を与えることは困難であるものの、被収容者に対し極力運動の機会を与える配慮をしている。

具体的には、入国者収容所においては、戸外の運動場において、一週間に3回から5回程度、一回当たり30分間から40分間程度の運動の機会を与えているほか、一週間に2回から7回程度、時間と行動区域を限定して居室から出ることを認め、施設内の多目的ホールで他の居室の者と卓球などの軽い運動をするなどの機会を与えるいわゆる開放処遇を実施している。また、地方入国管理局においては、構造上戸外の運動場がない施設を除き、一週間に2回から5回程度、一回当たり15分間から30分間程度の運動の機会を与えており、構造上戸外の運動場がない施設では、早期に退去強制できる見込みがない者について、極力入国者収容所に移して運動の機会を与える配慮をしている。

四 入浴についてはどのような頻度で、どれぐらいの時間を要して行われているか。その際、立ち会う職員は同性か。

四について

お尋ねの入浴については、処遇規則第29条に、「所長等は、被収容者の衛生に留意し、適宜入浴させるほか、清掃及び消毒を励行し、食器及び寝具等についても充分清潔を保持するように努めなければならない。」と規定されていることに基づき、各収容施設において、一週間に2回以上入浴する機会を与えることとしており、一人一回当たりの入浴時間は10分間から20分間程度である。また、処遇規則第40条の2第1項には、「所長等は、女子の被収容者の身体及び衣類の検査並びに入浴の立会は、女子の入国警備官に行わせなければならない。ただし、女子の入国警備官が不在の場合は、入国警備官以外の女子の職員を指名して、その者に行わせることができる。」と規定されていることから、同項に基づき、女子の被収容者の入浴の立会については、女子の入国警備官等が行っている。また、男子の被収容者の入浴の立会については、明文の規定はないものの、男子の入国警備官が行っている。

五 収容施設で十分な診療が行いえない、あるいは診療不可能な病気等の診療について、どのような対応をしているか。また被収容者がよりいっそうの診療を求める場合は、どう対応しているのか。収容施設の行う診療と自費診療ではどのような点において違いがあるか。

五について

お尋ねの診療については、り病又は負傷した被収容者に対して医師による必要な診療を受けることを保障することは収容施設の長としての当然の責務であり、処遇規則第30条第1項にも「所長等は、被収容者がり病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならない。」と規定されている。このため、医師が常駐していない収容施設においては、り病又は負傷した被収容者を必要に応じて外部の医療施設に連れて行くなどして診療を受けさせ、医師が常駐している収容施設においても、当該医師の専門又は設備等の制約により、当該医師又は施設では十分な対応ができない疾病等の診療については、外部の医療施設に連れて行くなどして専門医による診療を受けさせており、費用は国が負担している。

また、被収容者が収容施設の提供する診療では十分ではないとして自費で外部の医師による診療を求める場合には、所長等は、収容施設に常駐する医師等の助言及び指導を受けて、その必要があれば処遇規則第四十条に基づき入国警備官の看守の下に外出を許可し、専門医の診療を受けさせることとしている。

六 この10年間に法務大臣が在留特別許可の裁決を行った事案について、「日本人との婚姻による」等なんらかの分類を行っているか。行っている場合、その分類と各年のそれぞれの件数を明らかにされたい。

六について

法務大臣が入管法第50条第1項に基づき在留を特別に許可した案件については、許可の事由に基づく分類は行っていないが、平成3年から平成12年までの各年の在留資格別の件数は別表三のとおりである。

七 再上陸拒否期間について定めた入管法第5条第9項は「両親に付き従って」など本人の意思と関わりなく本邦に不法入国・不法上陸・不法滞在することとなる。再上陸拒否期間は退去強制された未成年者に対しても一律に適用されるか。

七について

お尋ねの「再上陸拒否期間について定めた入管法第5条第9項は『両親に付き従って』など本人の意思と関わりなく本邦に不法入国・不法上陸・不法滞在することとなる。」の趣旨が必ずしも明らかではないが、上陸拒否期間について規定した入管法第5条第1項第9号は、同号所定の事由に該当する者であれば、未成年者であっても適用される。

八 未成年被収容者について入国管理局以外の施設に保護、収容することはあるか。あれば、その保護、収容施設と人数を明らかにし、その法的根拠を示されたい。

八について

被収容者が成年であると未成年であるとを問わず、収容令書又は退去強制令書によって収容することができる場所については、入管法第41条第2項、第52条第5項及び第55条第4項の規定に基づき、入国者収容所、収容場のほか、法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所として、出入国管理及び難民認定法による収容令書又は退去強制令書によって収容することができる場所(昭和28年法務省告示第368号)により医療法(昭和23年法律第205号)にいう病院、診療所又は助産所、検疫所、警察署及び収容される者が乗ってきた船舶等とされており、平成13年6月27日現在、入国者収容所又は収容場以外に未成年者を収容している場所はない。

九 この10年間に被収容者から通信希望があった件数およびその可否の内訳、申請の理由を明らかにされたい。

九について

お尋ねの各収容施設における被収容者からの通信希望について、平成3年から平成12年までの各年の収容施設ごとの通信(通信文)・通話(電話)別の取扱件数(被収容者による通信文又は電話の発信申出を取り扱った件数及び外部から被収容者への通信文を取り扱った件数)、実行件数(被収容者が実際に通信文の発受又は通話を行った件数)及び非実行件数(被収容者が通信文若しくは電話の発信申出を取り下げ又は所長等が通信文を領置し若しくは電話の発信を許可しなかった件数)は、別表四のとおりである。

被収容者による通信文又は電話の発信申出についてはその理由を付することとしていないので、お尋ねの「申請の理由」については把握していない。

一〇 被収容者が原告となり訴訟当事者となっている場合、裁判への出廷は許可しているか。許可していない場合、その理由を明らかにされたい。

一◯について

被収容者から民事訴訟又は行政訴訟の裁判出廷のための外出申出があった場合は、入国者収容所長又は地方入国管理局長が処遇規則第40条第1項に従い判断することになるところ、民事訴訟又は行政訴訟においては、訴訟代理人によって訴訟を遂行することが可能であること、訴訟中のすべての被収容者に対し裁判に出廷するための外出を認めた場合には、処遇規則第40条第2項の規定により看守のために入国警備官を配置することが必要となり、入国警備官の人数との関係上、公務の遂行に支障を生ずるおそれがあることなどから、一般的にはこれを許可していない。

もっとも、被収容者に対して退去強制令書が発付されている場合は、入管法第52条第3項の規定に基づき速やかに送還しなければならないところであるが、送還実施までの間に裁判所が被収容者の収容されている施設において期日外尋問を行う決定をしている場合においては、期日外尋問の終了まで送還を見合わせることとして被収容者の裁判を受ける権利を阻害することのないよう配慮している。

右質問する。

[了]

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