法相会見(2021年4月9日)名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について」(2021年4月9日)(外部リンク:法務省ウェブ

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について

【記者】
 名古屋出入国在留管理局で収容されていた外国人の死亡事案について中間報告が取りまとめられました。
 改めて法務省として,中間報告で重要視している点と,最終報告に向けた対応の見通しをお伺いします。

【大臣】
 今回の中間報告につきましては,第三者の方々にも加わっていただき行った調査により現段階で判明している事実関係に基づきまして,亡くなられた方の収容中の診療経過等の客観的な事実関係を取りまとめたものでございます。
 本件は,庁内の診療室や外部病院での診療などの医療的な対応を行っていた中で死亡に至った事案であり,こうした客観的な事実関係を早期にまとまった形でお示しするということが重要であると考えまして,この中間報告に至ったものでございます。
 死亡に至る対応状況の適否などにつきましては,死因につきまして一定の結論を得た上で判断をすることが適切であると認識しておりますが,本件に関しましては,司法解剖を実施した解剖医による鑑定が継続中ということでございまして,現時点で死因の判明には至っていない状況でございます。
 今後,司法解剖の結果を踏まえまして,適切な時期に最終調査報告と必要な改善策を取りまとめる予定でございます。

【記者】
 今の関連ですが,まだ解剖の結果が出ていない,はっきりしていないということで,中間報告の段階です。今回の入管側の点滴等をしない対応が極めて不適切だったのではないかという批判が多々出ております。
 その中で,4月に向けて入管法改正の審議,本当に本格的に審議入りするつもりなのか。やはり入管側の今回の対応がはっきりしない中で,改正案が審議入りすることは問題ではないかと思います。
 この点大臣どうでしょうか。

【大臣】
 今の中間報告におきましては,その方の診療の状況につきまして,客観的に事実関係をお示ししたもので,これをしっかり踏まえた上で対応策を考え,改善策を講じるということであります。解剖医の方の最終的な鑑定結果がまだ出ておりませんので,その結果を待って,対応策を検討していくということでございます。
 冒頭に申し上げたところでありますが,3つの点を私は指示しておりまして,1点目はもちろん事実関係の解明でございます。過去のいろいろな事例もございましたし,その中におきましても,まず第一は,健康管理ということです。
 そして,その手法につきましても,しっかりと施設内の状況等,また,外部の医療機関との関係もございますので,そういったことも含めて,まずは収容者の健康状態をしっかりと把握できるようにしていくことが大事であると思っておりまして,これはしっかりと指示しており,今実践しているところであります。
 また,できることはいろいろな形で,この調査結果が出る出ないにかかわらず最善に対応してまいりたいと思っております。その意味で,この鑑定結果を待つことと,そして同時に対応すべきことにつきましては対応すると,このような流れで行っているところであります。
 今回の入管法改正の審議の前提になるというような御指摘でありますが,必ずしもそういうものではないと思っておりまして,こちらも十分な時間等をかけて,適切な時期にしっかりと報告をしてまいりたいと思っております。

【記者】
 そのことの関連ですが,これが前提とはされないものの,送還忌避罪の創設とか,新たに入管の権限が再拡大するような流れになっています。
 今回入管の対応が果たして適正だったか否かという結論がない中で,入管の権限が拡大される方向で改正法案が進んでいく。これはやはり問題なのではないでしょうか。

【大臣】
 今回の入管法改正の元々の背景の中に,退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず,送還を忌避する者が後を絶たないという状況,また,迅速な送還の実施に支障が生じており,退去強制を受ける者の収容が長期化するということの要因となっているということを踏まえまして,長いプロセスを経ながら,入管法の改正をお願いしているところであります。
 今回の事案でございますが,そういう中であったとしても,この問題は,この方の様々な健康の状態とかいろいろなことを踏まえた医療的な体制の部分に係ることであり,そこのところは命に関わることですので,問題があったのかどうか,事実関係の解明をした上で対策をしっかりと講じる,その中にはしっかりとした医療体制の構築というものも含まれるということであります。
 前提としている状況ではなく,元々そういう問題の背景の中で,入管法の改正をお願いしているということです。

【記者】
 その関連ですけれど,入管収容が長期化した背景というのは,御存じのように,2016年,安心・安全なオリンピックを進めるために,入管法の厳格化ということを進めたことが背景にあると思うんですが,この点について一言頂きたいのと,もう1点,海外から批判されている難民認定率0.4%という,先進国では最低で,20%から50%という中で非常に低い難民認定率,この点についての改善というのは,大臣お考えでしょうか。

【大臣】
 後者の方でありますが,分子と分母がありまして,そしてその対応につきましても,数字の中で単純に比較できるものではなく,適正な手続をし,真に難民とすべき方はしっかりと難民認定をしていくという,極めて基本に則った動きをしております。
 しかし,同時に,UNHCRからも様々な御指摘がございまして,そういったことを参考に,絶えず改善をしながら,この間,進めてきたものでございます。
 その意味で,ちょっと御指摘がございましたが,数値をもって,それが直ちに他国と比較してというようなことにつながるものではないと考えております。
 適正な手続でしっかりと一人一人の事案に即して判断をしていくということでありますし,その結果については参与員の皆様にも御審理をいただいているという状況でございます。

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