法相会見(2022年8月10日)出入国在留管理行政

葉梨法務大臣初登庁後記者会見の概要「出入国在留管理行政に関する質疑について」(2022年8月10日)(外部リンク:法務省ウェブ

出入国在留管理行政に関する質疑について 

【記者】
 先ほど冒頭の御発言にも少しありましたが、外国人労働者の受入れに関して伺います。古川前法務大臣は先月末の記者会見で、外国人技能実習制度について、目的と実態にかい離がない仕組み作りといった見直しに向けた考え方を示しました。また、「長年の課題を歴史的決着に導きたい。」とも述べていました。葉梨大臣はこうした考えを引き継ぐのでしょうか。また、労働力不足が更に深刻化するおそれがありますが、外国人労働者の受入れについて、葉梨大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 私自身も、技能実習の法律あるいは特定技能の法律のいずれも、法務委員長として携わらせていただきましたし、またその検討の段階においては、副大臣として関わりました。
 古川前大臣の問題意識はよく分かります。実態と目的にかい離が生じていないか、あるいは先ほどの総理の指示にもありましたが、様々な形で失踪事案などが起きている。そこをよく点検していかなければならないということで、勉強会を開催されて、非常に問題点を整理されたため、私もしっかりと受け止めていかなければいけないと思っています。
 今後、政府において、どういう形の制度として見直していくのかということを、関係閣僚会議あるいはその下に置かれた有識者会議で検討していくことになりますので、今現在、具体的な方向性について私が述べる時期ではないと思いますが、古川前大臣の問題意識は、非常に重く受け止めています。

【記者】
 先ほどの大臣のお答えにもありましたが、特定技能制度と技能実習制度の見直しについて、有識者会議で見直すことの検討を進めていくことになるだろうとのお答えがありました。とは言いつつも、技能実習については、問題が多い制度ということで、様々な指摘があります。そうした制度の存廃や統廃合について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 様々な形で問題点が指摘されているということについては、今もお答えをしましたが、副大臣時代あるいは委員長時代に、実際に野党の方々と様々な話合いをしながら、なぜこのような失踪事案が起こるのかということを、実際に公開されていない書類を秘密会の理事懇で見るといったことで調査を行ったこともありました。
 その上で、やはり様々な問題があることは間違いありませんが、それをどういった形で見直していくか、制度面なのか、運用面なのか、様々なオプションがあり、そういうことを私と官房長官がヘッドになりました「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」の下に有識者での検討を行っていこうという段階ですので、制度の統廃合あるいは何かを廃止するといったことを、今予断を持ってお答えできる段階ではないということです。また、有識者会議の議論を踏まえ、見守っていかなければならないと思います。

【記者】
 日本の難民の認定状況についてお伺いします。難民認定状況は国際水準を大幅に下回っているとの指摘がありますが、この現状について、改善の必要があると思われるかどうか、もしあるのであれば、どのような方法が考えられるかを教えてください。

【大臣】
 難民認定について申し上げますと、確かに日本の場合は、他国と比べて、数的には非常に少ないとの指摘がされていますが、中東の難民の方々は、どちらかというと、ヨーロッパの方に文化的な側面もありますので、そちらを指向するという要素もあるということですから、必ずしも数だけをもって、一概に少ないと判断するのはいかがかということを前提とした上で申し上げますと、UNHCRともしっかりと連携をとりながら、適切な難民認定ができるような形を、適正化に取り組んでいかなければならないと思います。
 そういった意味で、入管法の中で、あるいは今回ウクライナの話もありますし、また、真に庇護を必要とする方々をどういった形で、しっかりと庇護・援助していくかということも、場合によっては法律改正が必要になる場合がありますので、しっかり考えていかなければいけないところはあるだろうと思います。

【記者】
 入管難民行政について質問します。先ほど、技能実習制度・特定技能制度については、関係閣僚会議の中で、有識者会議で検討したいというお話でしたが、有識者会議の構成メンバーについて、古川前大臣はまだ検討中、年内にとのことでしたが、ある程度進んでいらっしゃるのかどうか。
 それから、昨年の通常国会の衆議院の法務委員会で、入管法改正案の審議が進まずに、結局改正案は廃案になりました。大臣は当時法務委員長をされていましたが、なぜ廃案になってしまったとお思いでしょうか。難民の問題とも関係するかもしれませんが、秋の臨時国会に、どのような法案を再提出するかということの前提であると思いますので、現時点での大臣の御見解をお願いします。

【大臣】
 事実関係を言いますと、入管法が廃案になったときは、私は農水省にいましたので、法務委員長ではありませんでした。その後、筆頭理事をしており、そのときの状況は聞いていますので、お答えできる面はあろうかと思います。
 まず、有識者会議の構成ですが、先ほども申し上げましたように、まだその段階ではないということで、現在、具体的なことは決まっていませんが、関係閣僚会議の下に有識者会議を持って、秋に検討を始めようということは決まっていますので、これからしっかりと人選も含めて考えていきたいと思います。
 そして、入管法のお話ですが、様々な議論があり、私の聞いている話では、おおむねのところで与野党で合意の寸前まではいった、当時、私は法務委員会の理事ではありませんでしたが、相当話は進んでいましたが、なかなかやはり入管の不祥事の問題等々があり、先に進まなかったという話は、当時私も伺ったことはあります。今、入管法で考えてみますと、もちろん必要性という意味では先ほど出ました、庇護を必要とする方の問題、あるいは強制送還、あるいは全員を収容するということが本当に良いのかという問題、様々な問題があり、それに対して何らかの解決策はとっていかなければならないのは間違いありません。ただし、今回の臨時国会は、会期がいつになるかということもありますが、例えば9月下旬から始まったとして、必ずやらなければいけないのが、裁判官、検察官の給与法、これが一つ入ってきます。そういう中で、どういう形のものが提案できるかということは、会期との関係もありますので、与党の国対とも相談しながら考えていかなければならないと思っています。

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