法相会見(2021年5月28日)名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について」(2021年5月28日)(外部リンク:法務省ウェブ

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について 

【記者】
 スリランカ人女性の関連でお聞きします。最終報告に向けて作成,調査していると思うのですが,スリランカ人女性と面会した大学生や女性支援者たちが,中間報告でスリランカ人女性が面会で訴えていたことや,精神科医の指摘が一部反映されていなかったことなどに強い不信感を抱いておりまして,入管庁の部付検事らの聴取を拒否しているとお聞きしました。
 最終報告書にスリランカ人女性の状況を知る面会者の証言や指摘が盛り込まれないとなりますと,その客観性・公平性に改めて疑問符が付くことになると思うのですが,こういう状況でも最終報告書を出していくおつもりなのか。
 また,支援者らは入管庁とは別の警察や検察,国会での独立した調査を強く望んでいます。この点についての大臣の御見解をお願いします。

【大臣】
 この件につきましては,御本人の体調が時々刻々変わる中にありまして,病状等も含めて医師の診断を仰ぎながら,また外部の病院にも通いながらということで,様々な関係の方がいらっしゃる案件であり,その中で,中間報告を出させていただいた上で,国会におきましても様々な御意見をいただいたところでございます。
 出入国在留管理庁に対しましては,そうした御指摘を受け止めつつ,必要に応じて追加的な事実の確認を更に行った上で,第三者の方々とともに,飽くまで公平・客観的な観点に徹して,事実関係を評価・検討し,可能な限り速やかに最終報告を取りまとめるようにと指示しているところでございます。
 この方針は変わりませんので,こうした形で,様々な努力を重ねながら,対応してまいりたいと指示しておりますので,私としては,最終報告を待ちたいと思っております。

【記者】
 今の御質問に関連してくると思いますが,スリランカ人女性の件について伺います。今国会で成立が目指された入管難民法改正案が,5月18日に断念されました。
 しかし,スリランカ人女性の死の問題は全く解決されていません。
 20日の参議院法務委員会で,上川大臣は,施設内の監視カメラの公開について,保安上の観点から公開は適切ではないと述べられ,開示に否定的な立場をとられております。入管に収容されている間に,スリランカ人女性に何が起こったのかを解明し,事件の全容を知るためには,監視カメラの映像の公開こそが最も適切な選択肢ではないでしょうか。
 上川大臣は,2020年9月17日の法務大臣就任に当たっての大臣訓示の中で,菅総理からの六つの指示について触れられました。その中には,きめ細かな人権救済の推進,そして,「世界一安全な国,日本」を作るための施策の推進という指示が含まれており,上川大臣はこれらの課題について,「重要かつ喫緊の課題であると認識しており,具体化に向けて,迅速かつ着実に取り組みたい。」と述べておられます。
 「世界一安全な国,日本」を実現させるためには,言うまでもなく,そこに暮らす日本人のみではなく,あらゆる形で日本を訪れる外国人の人権も含めて,保護,尊重されなければならないことは言うまでもないことではないでしょうか。
 それとも,治安機関,組織に関わる者の保身という意味で,世界一安全だということをおっしゃったのでしょうか。監視カメラ映像が公開されない理由が,保安上の観点と言いますが,それは,上は法相御自身から,下は入国管理局の現場職員に至るまでの保身と地位保全上の安全を言っているようにしか聞こえません。それは,人一人の命より大切なものなのでしょうか。
 これまでのあざとい保身のような答弁を法務大臣が続ければ,日本という国の信用がますます落ちていきます。日本は世界の人々が注目する五輪を開こうとしている国のはずです。現代はグローバルの時代です。全世界が,上川大臣の回答を見ています。誠実なお答えをお願いいたします。

【大臣】
 ただいま約1ページに渡りまして,御意見を賜りました。そうした御意見につきまして,私自身は謙虚に受け止めさせていただきたいと思います。
 何よりも大事なのは真相究明であると考えておりますので,正に今最終報告書の作成に向けまして,中間報告以降いただいた様々な御指摘を含めまして対応している状況でございます。
 最終報告書のなるべく速やかな作成と公表を指示しているところでございます。そうした中で今のようなおっしゃっていただいたこともありますが,私自身はそういう姿勢で,これまでも,また,これからも臨んでまいりたいと思っております。
 もとより人権は非常に大事なことであります。今日ここでこうして皆さんいらっしゃいますが,一人一人と,本来ならば一対一でということもあろうかと思いますが,共同の記者会見という形の場の中で,御質問に対して,私自身は誠実にお答えしてまいりました。
 人権ということについても,これは人権を尊重する,尊重しないということだけのイエスかノーかというレベルの話ではなく,本当に内心の意識に深く関わることであると考えております。
 言葉で言うだけでなく,内心のそうしたものが重要であり,いろいろな形で,そのことについて,子供の時からもそうですけれども,考えていくことが大事だと思っております。その意味で今回いろいろな形で御指摘いただいたことも,私自身は深く受け止めてまいりましたし,これからもそうしてまいりたいと思っております。
 ビデオのことについてお触れいただきまして,ビデオ開示につきましては,保安上の観点からの取扱いということでございますが,慎重な検討を要するということであります。
 情報公開法などの法のルールに基づいて開示する,開示しないということがございまして,この種のことについては非開示という扱いをさせていただいているところであります。
 また,亡くなった方の名誉,尊厳の観点からも,慎重な配慮を要するのではないかと考えておりますし,正に今最終報告に向けまして,第三者の方にも入っていただきながら,客観的な調査・検討をお願いしているところであります。これまで3つのことについて私自身申し上げてきたところでもありますけれども,今のような判断の中で相当ではないと考えているということを,改めて申し上げたいと思っております。

【記者】
 続いてビデオの件ですけれども,繰り返し保安上の理由ということをおっしゃっているわけですが,名古屋の入管にはスリランカ人女性の遺族の方も中に入って様子を見ています。
 それでもなお,保安上の理由が生じるというのは,どうも理屈に合っていないように聞こえます。遺族たちが,引き続きビデオの開示を求めていて,それは見せられないということに対して,これは差別ではないかと受け止めているのは,やはり理不尽な,理屈に合わない説明を受けているからです。
 そういう意味では,保安上の理由ということの具体的かつ論理的な説明をしていただきたいと思います。スリランカ人女性の遺族の傷ついた心はほったらかしにされたままで,同じ説明を繰り返すということであれば,その傷ついた気持ちを法務大臣自らが踏みにじったまま放置しておくということになります。
 是非,具体的・論理的な説明をお願いいたします。

【大臣】
 お尋ねの件でございますけれども,これにつきましては,国会の中でも,この間答弁をしてまいりました。
 私自身,今最終報告に向けまして,事実を解明すること,そしてそれを公開するわけでありますので,それに向けて鋭意努力をし,そしてその事実を通して真相の究明を図るということ,そのことが御遺族の方への御説明をしっかり尽くすことにもつながると,こういう考え方で動いているところでございます。
 その意味で,最終報告書の作成におきましても,しっかりと様々な御指摘を踏まえた上で検証し,改善の方向に向け対応してまいりたいと思っております。
 論理的うんぬんという話がありましたけれども,今申し上げてきた答弁の内容と変わるものではございません。

【記者】
 先ほどの一問目の面会や支援をした大学生,女性たちが欠けている,つまり部付検事の聴取を拒否している状況でも最終報告を求めるということは,そもそも客観的な証拠が欠けているという意味で不十分ではないかという指摘につきお答えいただいていないのでお願いします。
 それから,今週土曜日に築地本願寺で,スリランカ人女性をしのぶ会を2時から開催いたします。是非,上川大臣ということでなく,一個人として,しのぶ会に参加するつもりがあるか。
 そして,再三にわたって,私も含め多くの記者たちがここに駆けつけている理由が,なぜ動画を出せないのか,これに対して全く適切な回答が法務省,入管庁,そして大臣ができていないということだと思います。
 遺族のみならず,支援者や面会した学生たちは,動画を出さないということに対しても強い怒りや疑問を持っています。もし問題がない動画であり,職員が適切に対応しているのであれば,少なくとも,最終報告書を出す際には,遺族に対しては動画の提示を行うべきだと思うのですが。大臣のこれまでの答弁ですと,おそらくこの動画を見ていないということだと思うのですが,それほど問題のある動画なのか,せめて最終報告書を出した後には,遺族にしっかり事実を提示するべきだと思います。
 この点についても再三聞いておりますが,もう一度御見解をお聞かせください。

【大臣】
 調査についてはいろいろな御指摘をいただいてきました。そういったことを掘り下げていくという姿勢は大事だと思います。
 今のような拒否をされているというところはよく把握しておりませんが,是非お話を聞かせていただくということも大事ではないかと思います。
 一方で,何かがなければ全てが無であるということではなく,取り得る情報の中で最善を尽くしていくということが,責任ある立場として大事ではないかと思っております。もちろん,是非その方たちのお声も伺えたらなと思います。それが第一点目であります。
 しのぶ会が行われるということを,今初めてお伺いをさせていただきました。今までも,個人としてということと,法務大臣としてということと,いろいろな形で申し上げてきたところでありますが,お悔やみを申し上げる,また,私自身は直接お会いしたことがない方ですが,亡くなられた方ということで,また,御兄弟もいらっしゃるということであります。
 その気持ちは,しのぶ会という形で皆さんがおやりになって,そして,御遺族の今の置かれている状況,また,日本で今滞在していらっしゃるということでありますので,改めて心からお悔やみを申し上げたいと思っております。
 動画については,先ほど来,3点申し上げてきたところでございますので,しっかりと最終報告に向けまして,第三者の方にはしっかりと見ていただき,そのことを客観的に受け止めていただくということが何より大事だと思います。
 客観性・公正性というものをもし外すとするならば,この報告書そのものの信頼感がなくなるということにもなりますので,誠意を持ってしっかりと対応していくということについて,最終報告に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

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