発言者:稲富修二議員(立憲民主党) (ホームページ/Twitter/Facebook)
日付:2021年5月12日
会議:第204回国会 衆議院法務委員会
○稲富委員 立憲民主党の稲富でございます。
先ほど大臣から、ビデオ開示のしない理由を三
つおっしゃいました。我々は、とにかく、スリラ
ンカ人の女性がなぜ亡くなったのか、わずか半年
以内で、元気だった女性がなぜ亡くなったのか、
そのことがやはり今回の法案の前提であると。最
終報告が本来であれば必要であるけれども、それ
が間に合わなかった、間に合わない、そこまでは
我々も理解して法案審議をしてきたわけです。次
善の策として、いわば、今ある様々な資料を提示
し、そしてなぜこういうことが起こったのか、そ
してこれから再度そういうことが起きないように
どうすべきかということを真摯に議論する中で、
やはり当時のビデオ、見られる範囲のビデオをし
っかりと提示をいただきたい、こう申し上げてき
たわけでございます。
そこで伺います。保安上の理由ということでご
ざいますが、二〇一四年のカメルーン人男性、あ
るいは先日、山花委員が御指摘ありました、名古
屋刑務所においても、当時、理事懇でビデオ開示
をされたということでございます。マスキングを
すれば、ビデオ開示、保安上問題ないんじゃない
ですか。お答え願います。
○上川国務大臣 冒頭のところで、委員が、今回
の事案につきましてなぜ亡くなったのか、特に体
調の問題ということで御指摘がございました。そ
のことも含めまして、今回、調査を第三者も交え
て客観的にやるということで今動いているところ
でございます。
今、御質問でございますが、御指摘の東日本入
国管理センターにおきましての事案、このビデオ
がインターネット上で閲覧可能なのではないかと
の点、その経緯、これにつきましては、法務省と
して当該インターネットサイトへの公開は行って
おりません。お答えすることは適切ではないと考
えているところでございます。
また、当該ビデオに関しまして保安上の問題が
生じているか否かにつきましても、これは保安上
の事柄という性質上、お答えをすることは適切で
はないというふうに考えております。
出入国在留管理庁から報告を受けているところ
につきましては、入管施設におきましてのビデオ、
これは裁判所の証拠保全決定がされたことなどに
よりまして、裁判手続において証拠として提出し
た事例、これはこれまでにもございます。その場
合におきましても、保安上の支障、裁判での主張
立証の必要性勘案の上で、マスキング等の措置を
講じた上で必要最小限の範囲で提出をしておりま
して、あくまでも当該裁判における被告の主張、
立証したものということでございます。
○稲富委員 ありがとうございます。
第三者が加わっている、その判断に影響を与え
るかもしれないという第三番目の理由ですけれど
も、そもそも、第三者を加えるというのは、これ
は大臣が決められたこと。これは、客観、公正を
担保するためにこの人たちを五人入れたわけです
よね。この人たちもビデオを見るわけですよね。
なぜ、客観、公正なこの方々の判断を、これはゆ
がめることになるんですか。そんなことで、一々
この方々の客観性が担保できないんだったら、そ
もそも、この方々五人が客観性、公平性を担保で
きるだけの見識と立場じゃないということになり
ませんか。
だから、これは、保安上の問題、今も答えられ
ないということをおっしゃいましたし、名誉のこ
とをおっしゃいました。しかしこれは、じゃ、大
臣、お伺いしますけれども、今、スリランカ人女
性の御遺族の方がいらっしゃいます、日本に。こ
れは閲覧していいんじゃないですか、ビデオ。御
判断できるんじゃないですか。保安上の問題もな
い。名誉の問題、御家族の御意思があれば。そし
て、第三者の客観、公平性も問題ないじゃないで
すか。是非御判断ください。
○上川国務大臣 今般の事案のビデオに関しまし
ては、出入国在留管理庁から、一定の期間にわた
りまして、亡くなった方が死亡されるまでの過程
が逐一記録されているものでございます、その上
で、入国警備官が巡回などの処遇業務を行ってい
る状況も記録をされているとの報告を受けている
ものでございます。
こうした点を踏まえまして、ビデオの開示につ
きましては、先ほど来申し上げているところでも
ございますが、亡くなられた方の名誉、尊厳の観
点からも問題があるというふうに考えておりまし
て、保安上の問題、調査に影響を生じる可能性と
いう問題もあることから、仮に御遺族の方から公
開をお求めであるといたしましても、法務省とし
ては、開示は相当ではない、こう考えているとこ
ろでございます。
○稲富委員 御遺族が求めている場合であっても
ということですけれども、御遺族自身が見たい、
御覧になりたいという場合はいかがですか。
○上川国務大臣 亡くなられた方が死亡に至るま
での過程、逐一記録をされているものではござい
ます。また、処遇業務を行っている状況も記録さ
れているということでございます。
ビデオの開示につきましては、亡くなられた方
の名誉、尊厳、こういった観点からの問題がある
というふうに考えておりまして、仮に御遺族が公
開をお求めであるということでございましたとし
ても、法務省としては開示は相当ではないという
ふうに考えているところでございます。
○稲富委員 ちょっと、ごめんなさい、公開じゃ
なくて、御遺族が見るということですよ、私が伺
っているのは。その点はいかがですか。
○上川国務大臣 ビデオの開示でございますが、
また、御遺族が御覧になるということも含めまし
て、亡くなった方の名誉、尊厳の観点からの問題、
また保安上の問題、調査への影響の問題、様々の
問題を考慮したとしても、そして、御遺族の方の
思い、こういったことについては、事実の関係に
ついて、調査で最終的にしっかりとお伝えをさせ
ていただく、そして、そのために今回、体調につ
いて、医療関係、特に関係が深いこの体調の問題
を、病気の、非常に急激に変化してきたというこ
ともありまして、そういったことを中心に、事実
関係を今回調査をする、こうした中で中間報告を
出させていただきました。
そして、今、中でも皆様から御指摘をいただい
た点であります。そういったことも併せて、最終
報告でしっかりと結果を出してまいりたいという
ふうに思っております。
○稲富委員 第三者は見るんですよね、大臣。第
三者は見るんですよね。御遺族は見られないんで
すよね。なぜですか。
○上川国務大臣 今回の調査につきましては、客
観、公正の観点から、第三者の方々にしっかりと
入っていただきまして、この客観、公正の調査を
最終的にお出しする、こういう趣旨で、私が強く
指示をしたところでございます。
第三者の方々につきましては、加わるに当たり
まして、秘密保持についての御承諾をいただいて
いるところでございます。ビデオを含みましての
全ての資料、これは外部に明らかにせず、調査以
外の目的に使用されないということでございまし
て、こうした報告を受けているところでございま
す。
○稲富委員 三点の理由はいずれも説得力がない
と思います。ビデオ開示については引き続き求め
ていきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。