法相会見(2021年1月8日)仮放免等に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「仮放免等に関する質疑について」(2021年1月8日)(外部リンク:法務省ウェブ

仮放免等に関する質疑について

【記者】
 緊急事態宣言に関する質問ですが,昨年4月の緊急事態宣言下では,特別定額給付金の一律10万円の給付など公的な生活支援対策は住民基本台帳に登録されている住民に限定されていて,仮放免中で帰国できない理由がある難民申請者ですとか,在留特別許可を求めている定住性の高い非正規滞在者や,在留期限が切れてしまった技能実習生,留学生などは支給対象外になっていました。結果,仮放免者の生活困窮や医療問題が深刻化しているというのは御承知だと思います。
 先月23日にも埼玉県の川口市長から仮放免中の外国籍住民が公的な行政サービスを受けられるようにということで法務省の入管行政としてできる緊急対策の要請があったわけですが,今回の緊急事態宣言は昨年4月の状況と比べてもはるかに深刻な状況だと思います。
 これ以上,仮放免者の生活や健康状態を悪化させないために様々なこと,在留特別許可のことですとか,仮放免でも公的な行政サービスを受けられるとか,地方自治体として対応できるように通知を出すとか,何らかの対策を法務省でも検討することが必要だと思うのですが,そういったことは考えていらっしゃるのかどうかということが1点。
 それから今,入管収容施設の問題もありましたが,仮放免されて長期収容されている方も結構多いですし,これを地方入管任せにせずに,昨年の場合は森前法務大臣が中心になって,法務省本省の方で対策本部がということだと思うのですが,クラスター感染対策として仮放免の積極的な運用を指示されたと思うのですが,そういった仮放免の積極的な運用について,今後対策本部の方で検討されるということを大臣は考えていらっしゃるのでしょうか。仮放免中の生活支援のことと,今収容中の方の仮放免許可の運用について,この2点をお伺いします。

【大臣】
 緊急事態宣言が発出されまして,国民のみならず,様々な方々の健康そして生命ということについては,等しく大切にしていかなければならないと認識をしております。仮放免中の方を含めまして,外国人の方々が新型コロナウイルス関連の情報につきまして,適切にアクセスすることができるというのがまず第一でありますので,孤立化させないということについての尽力については,私自身しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 以前にもいろいろな形でお答えをさせていただいているところでありますが,仮放免中の外国人の方々につきましては,本人が希望する場合は,居住地などを当該市町村に通知している状況であります。そして,各所管の省庁,また市町村におきまして,提供可能な行政サービスについては適切に対応するというルールになっておりますので,そういったところについては徹底していく必要があると思っております。
 出入国在留管理庁といたしましても,外国人御本人からの希望の聴取,市区町村への通知につきましては,更に徹底してまいりたいと思っております。
 また,出入国在留管理庁におきましては,仮放免中の外国人の方々が生活に困窮している場合につきましては,所轄の地方出入国在留管理局等に御連絡・御相談をいただき,帰国の支援も含めまして,個別にきめ細やかな対応を行うということであり,一人一人に寄り添って対応していくということを基本としているところでございますので,是非そういった意味で,御相談いただきたいと,重ねてお願いしたいと思っております。
 さらに,在留特別許可を行うか否かにつきましては,従来から,在留を希望する理由,素行,人道的な配慮の必要性などの事情をそれぞれ総合的に勘案しながら判断をしている状況でございまして,現在の状況下におきましても,個別の事案ごとに適切に判断を行い,制度を適正に運用していくということに努めてまいるということでございます。
 また,御指摘の入管収容施設の感染防止対策ということでございますが,昨年5月に感染防止マニュアルを策定いたしました。これに基づき,仮放免の活用を含めまして,様々な措置を講じてきたところでございます。
 仮放免を許可するか否かということでありますが,我が国における在留状況,健康状態,逃亡するおそれの程度などの事情につきまして,総合的に判断しておりまして,現在の状況下におきましても,個別の事案ごとに適切に判断を行い,制度を適切に運用するということに努めているところでございます。
 なお,仮放免制度に関する様々な御指摘・御意見は,かねてから申し上げているとおり,非常に重要な問題と受け止めております。現在,入管法改正案の検討をしている状況でありますが,この仮放免の状態が特に長期化することがないように,そうしたことの解消を優先課題の一つとして位置付け,速やかに立案作業を進めてまいりたいと思っております。
 新型コロナウイルス感染拡大の折でございますので,これまでこうしてきたからというだけにとどまらず,あらゆる側面から情報を入手しながら,適切にこの1か月,感染拡大にならないように努めてまいりたいと思っております。

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