法相会見(2020年11月24日)国連人権理事会恣意的拘禁作業部会の意見書に関する質疑について;入管法改正等に関する質疑について

法務大臣閣議後記者会見の概要「法相会見(2020年11月24日)国連人権理事会恣意的拘禁作業部会の意見書に関する質疑について;入管法改正等に関する質疑について」(2020年11月24日)(外部リンク:法務省ウェブ

国連人権理事会恣意的拘禁作業部会の意見書に関する質疑について

【記者】
 今回,国連の恣意的拘禁作業部会が,我が国におけるカルロス・ゴーン被告人に対する措置が恣意的拘禁に当たる旨の意見書を発表しました。これに関して大臣の御所見をお願いいたします。

【大臣】
 御指摘の意見書が公表されたことについては承知しているところでございます。
 我が国の刑事司法制度でありますが,個人の基本的人権を保障しつつ,事案の真相を明らかにするために適正な手続を定めて適切に運用されており,そのような制度の下で行われたゴーン被告人に対する我が国の措置は,恣意的拘禁に該当しないと考えております。
 それにもかかわらず,今般,我が国の刑事司法制度を理解せず,ゴーン被告人側の一方的な主張のみに依拠した,明らかな事実誤認に基づく意見書が公表されたことは極めて遺憾であり,到底受け入れることができません。
 そのため,政府として,同作業部会に対し,異議申立てを行ったところでございます。
 今後も可能な範囲で同作業部会に情報提供を行い,事実誤認を正していくところでございます。

入管法改正等に関する質疑について

【記者】
 刑事手続における恣意的拘禁に対する国連の恣意的拘禁作業部会の問題について今質問がありましたが,同様に入管制度については,10月に恣意的拘禁作業部会が,日本政府に対して意見書を出しています。
 それで,今国会でも11月17日に,伊波洋一議員がこの件について質問されたのですが,そのときに髙嶋入管庁次長が国内法令に基づく適切・適正な手続で恣意的拘禁に当たらないと考えると答弁されました。作業部会からは,収容期限の上限設定や,収容における司法審査の導入などについても法改正が必要だといったような言及もあるわけですが,それについては国会での答弁はありませんでした。
 退去強制手続の在り方そのものが,かなり古い,1951年に公布・施行された出入国管理令から基本的に変わっていませんが,そういった状況の中で,入管行政独自の裁量に基づく退去強制手続の運用を適正であり,恣意的ではないと主張し続ける理由は一体何なのかということと,これについて,入管法の改正に当たってどのように反映させていくべきなのか,検討委員会のようなものが必要なのかどうかということについて,大臣の見解をお聞かせください。

【大臣】
 まず,御指摘の答弁におきまして,出入国在留管理庁次長は,御指摘の意見書の対象とされた各収容は法令に基づく適正な手続として行っているもので,これまで,政府として作業部会に対し,恣意的拘禁には該当しないと説明してきている旨述べたものであると承知しております。
 また,現在,出入国在留管理庁におきまして,意見書の内容について,精査・検討を行っているところであると承知しておりまして,私といたしましても,国会で答弁をしたとおり,今回の意見書の内容について十分に精査をした上で,関係省庁と連携しながら適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
 現在,出入国在留管理庁におきまして,「収容・送還に関する専門部会」の御提言を踏まえた入管法改正について必要な検討を行っているところでございます。長期収容等の問題に関する様々な御意見がございますが,そうした御意見にも耳を傾けながら,これからの我が国にふさわしい出入国在留管理制度の実現に向けまして,しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

【記者】
 今の点ですが,退去強制手続の在り方そのものが,正に朝鮮戦争時の1951年に公布・施行された出入国管理令とほとんど変わっていないという状況があります。これからの時代とおっしゃいますが,これだけ世界中で難民の移動が激しくなっている時代に,国際人権法を尊重するという,そういった観点がやはり新たに必要だと思うのですが,そういった点については,今回の入管法改正,特に退去強制手続に反映する必要があると大臣はお考えでしょうか。

【大臣】
 先ほども申し上げたところでありますが,退去強制手続の対象となった外国人の収容等につきましては,入管法に基づいて適切に実施されているということでありまして,個別の事情を考慮して相当である場合には,一時的に収容を解除する仮放免の措置を執るなどしているところでございます。
 我が国におきましては,人権に十分に配慮しつつ,適正な手続のもとで適切に運用するということで,収容等を行っているところですので,その意味で,これからも適切に対応してまいりたいと思っております。
 また,先ほど申し上げたとおり,出入国在留管理庁におきまして,「収容・送還に関する専門部会」からの御提言をいただきました。入管法改正に当たりましては,この御提言にしっかりと検討を加えながら,また,様々な御意見に耳を傾けながら,これからの日本の国にふさわしい形で出入国在留管理制度の実現に向けて取り組んでまいりたいということを改めて申し上げたいと思います。

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