我が国における難民認定の実態に関する質問主意書&答弁書
一 難民認定申請者について
1 2026年3月に公表された「令和7年における難民認定者数等について」によれば、2025年の難民認定申請者のうち、1,713人が二十歳未満であった。そのうち、難民認定申請時に在留資格を有していなかった者の数を示されたい。また、難民認定申請回数別の内訳を示されたい。
一の1について
令和7年に難民認定申請(出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)第61条の2第1項の難民の認定の申請をいう。以下同じ。)をした者のうち、難民認定申請時に二十歳未満であったもので在留資格を有していなかったものの数は213人(速報値)であり、このうち入管法第22条の2第1項の規定により本邦に在留していたものの数は147人、一時庇護上陸(入管法第18条の2第1項の一時庇護のための上陸をいう。)の許可を受けたもので当該許可に係る許可書に記載された期間を経過していないものの数は0人、不法に本邦に在留していたものの数は64人(いずれも速報値)である。
その余のお尋ねについては、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。
2 「令和7年における難民認定者数等について」によれば、2025年に仮滞在を許可した者は73人であった。このうち、二十歳未満の者の数及びその年齢の内訳を示されたい。
一の2について
令和7年に仮滞在(入管法第61条の2の4第1項の仮滞在をいう。)の許可を受けた者のうち、当該許可を受けた時点で二十歳未満であったものの数は33人(速報値)であり、その年齢別の内訳は、0歳が14人、1歳が10人、2歳が3人、12歳が1人、13歳が1人、14歳が1人、17歳が2人、19歳が1人(いずれも速報値)である。
3 2025年の難民認定制度の「濫用」の件数を示されたい。
一の3について
令和7年に地方出入国在留管理局等(地方出入国在留管理局及び地方出入国在留管理局支局をいう。以下同じ。)における振り分けの段階で明らかに誤用・濫用的な案件として振り分けられたB案件又はC案件(「難民認定等事務取扱要領」(平成17年5月13日付け法務省管総第823号法務省入国管理局長通知別添)に「B案件」又は「C案件」として記載されているものをいう。以下同じ。)の数は、B案件が1,615件、C案件が981件である。
二 案件振り分けについて
「難民認定等事務取扱要領」(2024年6月10日一部改正)は、難民認定申請案件を「難民条約上の難民若しくは法第2条第3号の2に規定する補完的保護対象者である可能性が高いと思われる案件又は本国における個別事情により人道上の配慮を要する可能性が高いと思われる案件」(A案件)、「難民条約上の迫害に明らかに該当しない事情を主張している案件」(B案件)、「再申請である場合に、正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返している案件」(C案件)及び「上記以外の案件」(D案件)の四類型(以下「四類型」という。)に振り分けている。
1 現時点において四類型の定義に変更があるか示されたい。変更がある場合、その内容を示されたい。
二の1について
お尋ねの「四類型の定義」について、現時点で変更はない。
2 B案件について、「難民認定等事務取扱要領」は「…生命、身体若しくは身体の自由が脅威にさらされている若しくはその他の人権の重大な侵害のおそれがあるとは言えないこと又は国籍国の保護を受け得る状態にあることが明白なもの」を対象案件の一つとしている。一方、出入国在留管理庁出入国管理部長発出「難民等認定申請においてB案件に振り分けるのが適当な案件の指定について(通知)」(2025年5月1日)において、政府は「各国の出身国情報等に基づき、早期にB案件へ振り分けるのが適当な案件を別紙のとおり指定します」としている。
(1)当該通知を定めるに当たり、参照した出身国情報等を国別に示されたい。
二の2の(1)について
出入国在留管理庁においては、令和7年5月に取りまとめた「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」(以下「ゼロプラン」という。)を踏まえ、御指摘の「当該通知」により、B案件を類型化し、地方出入国在留管理局等における振り分けの基準として活用することとしているところ、当該基準の内容や策定過程については、お尋ねの「参照した出身国情報等」を含め、これらを明らかにすることにより、難民認定等に係る審査の事務に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。
(2)申請者が「国籍国の保護を受け得る状態にあることが明白」か否かの判断は、申請者の個別事情に応じて判断されるべきものである。同通知において「早期にB案件へ振り分けるのが適当な案件」を指定しているとのことだが、どのような場合において、申請者の個別事情を考慮することなく「国籍国の保護を受け得る状態にあることが明白な」案件に指定することが可能と考えるか、政府の見解を示されたい。
二の2の(2)について
御指摘の「同通知」において「B案件への振分け及び在留制限の実施に当たっては、出身国情報を始めとした申請者の本国における一般的事情や申請者の個別的事情などといった事情を総合的に考慮し判断する必要があります」としているとおり、お尋ねのように「申請者の個別事情を考慮することなく「国籍国の保護を受け得る状態にあることが明白な」案件に指定すること」は行っていない。
3 B案件への振り分け後の対応について、「難民認定等事務取扱要領」は、「申請書等の提出資料により難民該当性及び補完的保護対象者該当性を判断できるとき」等については、「面接による事情聴取を要しない」としている。迅速な難民保護、手続の効率化の観点から、A案件へ振り分けられた案件についても、同様に判断できるときは、「面接による事情聴取を要しない」とすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
二の3について
お尋ねについては、「難民認定等事務取扱要領」において、「面接による事情聴取を要しない案件として、①A案件のうち、申請書等の提出資料から難民該当性又は補完的保護対象者該当性があることを判断できる案件(中略)が挙げられる」としているとおりである。
三 難民審査体制について
1 2025年5月に公表された「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」(以下「ゼロプラン」という。)において、政府は「2026年中に新規受理した申請の六か月以内(平均)の処理を目指す」としている。2023年、2024年及び2025年中に新規受理した申請について、平均の処理期間をそれぞれ示されたい。統計をとっていない場合、ゼロプランの評価に支障を来すと考えるが、政府の見解を示されたい。
三の1について
前段のお尋ねについては、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。
後段のお尋ねについて、出入国在留管理庁としては、ゼロプランにおいて「2026年中に新規受理した申請の6か月以内(平均)の処理を目指す」としていることを踏まえ、令和8年になされた難民認定申請について、お尋ねの「平均の処理期間」を把握することとしており、必ずしも、御指摘のように「ゼロプランの評価に支障を来す」とは考えていない。
2 ゼロプランにおいて、政府は「※ただし、今後の難民等認定申請者数や長期未処理案件の処理状況等によって変動があり得る」としており、長期未処理案件の処理状況は政府にとって重要な課題であると考える。以上を踏まえて、以下の統計を明らかにされたい(速報値でも差し支えない)。統計をとっていない場合、ゼロプランの評価に支障を来すと考えるが、政府の見解を示されたい。
(1)直近時点の難民認定申請中の者のうち、案件振り分けの導入前に難民認定申請をした者の数。
(3)2015年から2025年までの各年における難民認定申請受理案件のうち、直近時点の難民認定申請係属件数。
三の2の(1)及び(3)について
令和7年末時点において未処理の難民認定申請のうち、お尋ねの「案件振り分けの導入前」である平成27年9月以前に受理したものは0件(速報値)である。
また、令和7年末時点において未処理の難民認定申請のうち、平成27年から令和7年までの各年に受理したものは、平成27年が零件、平成28年が6件、平成29年が24件、平成30年が56件、平成31年及び令和元年が182件、令和2年が99件、令和3年が161件、令和4年が404件、令和5年が2,127件、令和6年が5,430件、令和7年が7,480件(いずれも速報値)である。
(2)直近時点の難民不認定処分に対する審査請求中の者のうち、案件振り分けの導入前に難民認定申請をした者の数。
(4)2015年から2025年までの各年における難民認定申請受理案件のうち、直近時点の難民不認定処分に対する審査請求係属件数。
(5)2015年以前の難民不認定処分に対する審査請求受理案件のうち、直近時点の未処理の案件数。
(6)前記(5)のうち、審理終結件数。
(7)2015年から2025年までの各年における難民不認定処分に対する審査請求受理案件のうち、直近時点の未処理の各案件数。
(8)前記(7)のうち、各年の審理終結件数。
三の2の(2)及び(4)から(8)までについて
お尋ねのよぅな形での統計をとっておらず、お答えすることは困難であるが、出入国在留管理庁としては、ゼロプランにおいて、「2026年中に新規受理した申請の6か月以内(平均)の処理を目指す」等、難民認定申請に対する「平均処理期間」に係る目標を掲げていることを踏まえ、「難民認定申請の平均処理期間」を把握することとしており、お尋ねのよぅな「審査請求」に係る「統計をとっていない場合」に「ゼロプランの評価に支障を来す」とは考えていない。
3 2026年4月1日現在の難民調査官に指定されている者の数を地方局別に示されたい。
三の3について
令和8年4月1日現在の難民調査官に指定されている者の数は344人であり、その内訳は札幌出入国在留管理局が33人、仙台出入国在留管理局が18人、東京出入国在留管理局が152人、名古屋出入国在留管理局が23人、大阪出入国在留管理局が31人、広島出入国在留管理局が35人、高松出入国在留管理局が10人、福岡出入国在留管理局が42人である。
4 2026年4月1日現在の出身国情報の収集等に専従する職員の数を示されたい。
三の4について
令和8年4月1日現在の出入国在留管理庁におけるお尋ねの「出身国情報の収集等に専従する職員の数」は12人である。
四 難民認定者等について
1 2025年に難民として認定された者(審査請求手続における認定者を含む。以下同じ。)について、以下を明らかにされたい。
(1)難民認定申請回数別の複数回申請者の数。
(2)退去強制令書発付後に難民として認定された者の数。
四の1の(1)及び(2)について
令和7年に難民と認定した者(審査請求(入管法第61条の2の12第1項の審査請求をいう。以下同じ。)手続において認定した者を含む。以下同じ。)187人のうち、2回目の難民認定申請に対して難民と認定したものの数は2人(速報値)、3回目の難民認定申請に対して難民認定したものの数は2人(速報値)であり、退去強制令書発付後に難民と認定したものの数は3人(速報値)である。
(3)難民認定申請から難民の認定を受けるまでに要した期間別の内訳。
(4)難民認定申請から難民の認定を受けるまでの平均日数、最短日数及び最長日数。
四の1の(3)及び(4)について
お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。
(5)四類型別の内訳。
四の1の(5)について
令和7年に難民と認定した者187人のうち、お尋ねの「四類型別の内訳」は、把握している限りにおいて、A案件が163人、B案件が0人、C案件が2人、D案件が12人(いずれも速報値)である。ただし、三の2の(1)及び(3)についてで述べた「案件振り分けの導入前」に難民認定申請をした者及び導入当初に難民認定申請をした者であって統計をとっていないため振り分け状況を把握していないものが10人いる。
2 2025年に難民としては認定されなかったものの、補完的保護対象者と認定された者(審査請求手続の結果、在留を認められた者を含む。以下同じ。)について、以下を明らかにされたい。
(1)難民認定申請回数別の複数回申請者の数。
(2)退去強制令書発付後に補完的保護対象者として認定された者の数。
四の2の(1)及び(2)について
令和7年に難民と認定しなかったものの、補完的保護対象者と認定した者(審査請求手続において認定した者を含む。以下同じ。)83人のぅち、2回目の難民認定申請に対して難民と認定しなかったものの、補完的保護対象者と認定したものの数は14人(速報値)、3回目の難民認定申請に対して難民と認定しなかったものの、補完的保護対象者と認定したものの数は4人(速報値)であり、退去強制令書発付後に、難民と認定しなかったものの、補完的保護対象者と認定したものの数は3人(速報値)である。
(3) 四類型別の内訳。
四の2の(3)について
令和7年に難民と認定しなかったものの、補完的保護対象者と認定した者83人のうち、お尋ねの「四類型別の内訳」は、把握している限りにおいて、A案件が44人、B案件が0人、C案件が13人、D案件が20人(いずれも速報値)である。ただし、三の2の(1)及び(3)についてで述べた「案件振り分けの導入前」に難民認定申請をした者及び導入当初に難民認定申請をした者であって統計をとっていないため振り分け状況を把握していないものが6人いる。
3 2025年に難民及び補完的保護対象者のいずれにも認定されなかったものの、人道的な配慮により在留を認められた者(審査請求手続の結果、在留を認められた者を含む。以下同じ。)について、以下を明らかにされたい。
(1)難民認定申請回数別の複数回申請者の数。
(2)退去強制令書発付後に在留特別許可された者の数。
四の3の(1)及び(2)について
令和7年に御指摘の「難民及び補完的保護対象者のいずれにも認定されなかったものの、人道的な配慮により在留を認められた者」(審査請求で「理由なし」とされたものの人道上の配慮を理由に在留を認めた者を含む。以下「当該者」という。)522人のうち、2回目の難民認定申請に対する当該者の数は53人(速報値)、3回目の難民認定申請に対する当該者の数は14人(速報値)、4回目の難民認定申請に対する当該者の数は5人(速報値)であり、退去強制令書発付後に在留を特別に許可したものの数は25人(速報値)である。
(3)四類型別の内訳。
四の3の(3)について
令和7年の当該者522人のうち、お尋ねの「四類型別の内訳」は、把握している限りにおいて、A案件が182人、B案件が1人、C案件が63人、D案件が258人(いずれも速報値)である。ただし、三の2の(1)及び(3)についてで述べた「案件振り分けの導入前」に難民認定申請をした者及び導入当初に難民認定申請をした者であって統計をとっていないため振り分け状況を把握していないものが18人いる。
(4)審査請求により当該在留が認められた者の数及びその国籍の内訳。
四の3の(4)について
令和7年に審査請求で「理由なし」とされたものの人道上の配慮を理由に在留を認めた者3人の国籍別の内訳は、スーダンが2人、アフガニスタンが1人である。
4 政府は、本国における情勢不安を理由に本邦への在留を希望する者に対して、在留資格「特定活動」での在留を認めることとしている。「入国・在留審査要領」第12編第2章第30節によれば、当該「特定活動」で在留している者について、政府は在留資格「定住者」への変更を原則認めていない。
(1)当該「特定活動」で在留する者に対して、当該「定住者」への変更が認められる場合はあるか示されたい。ある場合、どのような場合に認められ得るか、政府の見解を示されたい。
四の4の(1)について
お尋ねの「当該「特定活動」で在留する者」であっても、人道上の配慮を必要とする特別な事情がある場合には、「定住者」の在留資格への変更を許可することもあり得るが、具体的にどのよぅな場合に許可するか否かについては、個別具体的な事情により判断すべきものであるため、一概にお答えすることは困難である。
(2)「令和7年における難民認定者数等について」によれば、2025年には493人が、本国情勢等を理由に人道配慮による在留許可を受けている。この493人の中に、当該「特定活動」が付与された者は含まれているか示されたい。含まれている場合、その人数及び国籍別の内訳を示されたい。統計をとっていない場合、本国における情勢不安を理由に本邦への在留を希望する者への保護の実態を把握することが困難と考えるが、政府の見解を示されたい。
四の4の(2)について
御指摘の「本国情勢等を理由に人道配慮による在留許可」を受けた「493人」のぅち、「当該「特定活動」が付与された者」は204人であり、国籍別の内訳は、ミャンマーが195人、アフガニスタンが7人、ロシアが2人(いずれも速報値)である。
五 審査請求について
1 「令和7年における難民認定者数等について」によれば、2025年に審査請求により「理由あり」とされた者及び「理由なし」とされた者のうち、390人に口頭意見陳述等期日が実施され、3,040人には実施されていない。口頭意見陳述等期日が実施されていない3,040人のうち、「口頭意見陳述申立書」を提出していた者の数を示されたい。
五の1について
審査請求に係る口頭意見陳述(行政不服審査法(平成26年法律第68号)第31条第1項本文の規定による意見の陳述をいう。以下同じ。)及び質問(同法第36条に規定する質問をいう。)の期日が開かれなかった3,040人のうち、口頭意見陳述を申し立てた人数の合計は、1,313人である。
2 難民審査参与員について、2026年4月1日時点の東京出入国在留管理局、名古屋出入国在留管理局、大阪出入国在留管理局における「常設班」の数をそれぞれ示されたい。
五の2について
お尋ねの「常設班」の数は、令和八年4月1日時点で、東京出入国在留管理局に27班、名古屋出入国在留管理局に5班、大阪出入国在留管理局に7班である。
3 難民審査参与員のうち、現時点で常設班を構成しない者はいるか示されたい。いる場合、当該人数及び理由について、政府の見解を示されたい。
五の3について
令和8年4月1日時点で、お尋ねの「常設班」を構成しなかった難民審査参与員は24人いるが、その理由については、難民審査参与員の班の構成について、出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和56年法務省令第54号),第58条の9第1項の規定に基づき異なる専門分野の難民審査参与員によって班が構成されるよう配慮されているほか、諸般の事情を勘案して個別具体的に判断されていることから、一概にお答えすることは困難である。
六 訴訟について
難民不認定処分取消請求訴訟及び難民不認定処分無効確認請求訴訟について、2025年に提起された件数及び終局裁判がなされた件数をそれぞれ明らかにされたい。また、難民不認定処分の取消し若しくは無効が確定した後又は難民認定処分の義務付け訴訟で国側が敗訴した後、難民認定がなされず、在留資格が付与されなかったケースはあるか示されたい。ある場合、当該理由について、政府の見解を示されたい。
六について
出入国在留管理庁において把握しているところでは、難民不認定処分取消請求訴訟及び難民不認定処分無効確認請求訴訟について、令和7年に提起された件数は38件、同年に終局裁判がなされた件数は第一審、控訴審及び上告審の合計で37件である。
また、難民不認定処分取消請求訴訟、難民不認定処分無効確認請求訴訟又は難民認定義務付け訴訟のうち、同年において国の敗訴が確定した事案については、その確定後、難民の認定が行われた。
右質問する。